研究室選びに思うこと

ウチの学科は学部3年生の後期から研究室に配属される。学生は希望する研究室をどこにするか考え、教員はどんな学生なのかを見極める時期である。いまちょうどその時期でありがたいことに毎日のように希望する学生が訪問してくれる。なので、一度考えていること話していることを言語化して記録しておこうとおもい書きました。

なお、ここで書くことはいつも研究室訪問してくれた学生たちに話していることで、あくまで僕の個人的な見解で、世の中の全ての研究室をもつ大学教員が思っていることではないことをご留意頂いた上で読み進めてほしい。

自分は何に興味があるのか?

まず研究室を選ぶ前に、自分自身が何に興味があるのかしっかり考えてほしいと思う。研究室は、所属するメンバーが抱く興味関心を幅を拡げたり、それを深く掘り下げたりすることをサポートはしてくれるかも知れないが、興味関心そのもの見つけるのは自分次第。最初の取っかかりの部分は自ら見つけておく必要がある。

ただし、研究室を選ぶ段階では1つに絞っておく必要はなく、むしろ複数あったほうがいいかもしれない。研究室の教員や所属学生は、それぞれの興味関心をすでに拡げたり深めたりしているので、自分が持っていく内容に共感が得られることもあれば、経験からの失敗談や成功談を話してくれることもあるので、話を拡げられるネタとして多めにあったほうがいいかもしれない。

行きたい・入りたい研究室に迎合するようなネタではなく、自分自身でしっかり考えておいた方がいいと思う。ちなみにその研究室に入りたいがために、そこに迎合したような内容だとそれは大体バレていると思った方がいいし、実際にそれで研究室に入ってやり始めたら持続しないことも少なくないので、しっかり自分で考えてほしい。

そこにいる自分が想像できるか?

自分の興味関心がある程度分かってきたら、様々な研究室を訪問してみるとよい。オフィスアワーや訪問可能な時間を問い合わせて、しっかりアポイントメントをとって研究室訪問してみるといい。

研究室を選ぶ過程では、訪問したときに自分がその場に居ることが想像できるかどうか自分に問うてみてほしい。配属後は大学生活のなかで一番長い時間を過ごすことになるかも知れない場所なので合うか合わないかを見極めておくことをおすすめする。とはいえ、短時間では把握することも難しいので、居る学生には実際の雰囲気であったり、教員には研究室の目指すところや価値観などを聞いてみるといい。

実際に行ってみると研究室ごとの部屋の設えが違ったり、学生の雰囲気や全体の空気感に違いがあり、それぞれのカラーがある。相対的に見るためにも自分が見定めた研究室以外にも積極的に足を運ぶことをおすすめする。研究室配属が行われている期間だからこそ、見学して教員や先輩方に顔を売っておくのもいいと思う。

自分で考える

研究室訪問するとき、やはり行ったことのない場所であることが多いと思うので、友人たちと巡ることも少なくないだろう。それは自分自身が聞きたいこと以外のことを質問してくれたり気づかせてくれたりするので、研究室のことをより深く知るためには良いと思う。ただし、実際どこの研究室に行くかを決めるときには自分1人で考えた方がよい。友達と離ればなれになるのが嫌で、同じ研究室を志望しようと申しあわせしている学生を見掛けるが、実際に配属されて活動が始まり何か違和感を感じたときに他人に責任転嫁してしまう可能性も否めない。

自分ひとりで考えて、納得して決断したならば、自分自身でなんとかしなければならないという自覚が生まれると思うので他人に責任転嫁するようなことの可能性は最小化できるだろう。ただ、研究室配属は必ずしも自分の希望が通る訳ではなく、志望者が多く定員オーバーなり選考の過程で希望が叶わないこともあるだろう。そのためにも先述のとおり複数の研究室をしっかり見ておいてほしい。

あと、例えば第1志望の研究室が、希望者が多数で激戦であることが噂として耳に入ってきたとしても、妥協して第2、第3志望を第1志望に見立てて希望するという考えは極力控えた方が良いと思う。その場合でも第1志望をしっかり希望しておいた方が後悔が少ないと思う。ただ、研究室訪問の過程で第1でも第2でも、第3でも志望度がさほど変わらないという場合で、納得して決断したならばそれはそれで問題はない。むしろ、そのくらいの気持ちになれるくらい各研究室のことを深く知れるようにするとよい。けして根拠のない噂や憶測で判断するのは禁物で、自分目で見て耳にで聞いて、しっかり体験して知る努力をしたうえで決断した方がよい。

教員も人間です

研究室を選び希望を決めるためには、研究室で取り組んでいる研究やプロジェクトの内容、もってる設備などの見聞きして分かる部分と、そこに集まる学生や教員の人間性や全体の雰囲気のように実際に現場で体験して直接話してみないと分からないことも多くある。それらを総合的に判断して希望を決めたらいいと思うが、希望者を選考して配属を最終的に決定するのは教員である。そこで教員も人間であることを忘れないように。

教員もたくさん質問してくれた学生だけではなく、興味を持ってくれている学生のことは覚えようとする。別の誰かと話していたとしても、横で聞いていて相槌していたりメモを取っていたりしている学生が目に入ると興味もってもらえてるのかなと感じ取っている。また特にデザイン系の学科だとこれまでの課題成果を持って行くといいかもしれない。授業担当者であれば必ず採点をしているのですべての成果をしっかり見ていて意外と覚えている。これを作りました!と成果物の一つや二つ持って行くと思い出してくれる確率は高くなるはずなので、ダメ出しを恐れずに見てもらうといいと思う。顔と名前と成果物がつながると選考をする際に気になる存在になる。

最後に

研究室を決めることは大学生活において自分でしなければならない一番大きな決断の一つだろう。どこの研究室に行くかは人生を左右すると言っても過言ではない。ただこのエッセイで伝えたいことは、自分で考えて、自分で納得して、自分で決断するということ。そして、何があっても他人に責任転嫁しない。自分でしっかり見極めて納得して決断していれば、入ってから多少の障壁があったとしても自ら克服しようとするだろうし、できるはず。またどこにいっても与えられたタスクをしっかりやると確実に成長する。それに加えて自分のやりたいことをその中で位置づけて行けばよい。なにより、どんなかたちであっても学生たちが幸せになってくれることを教員は願っている。僕は自分の研究室に配属された学生たちはもちろん、希望してくれたけど配属が叶わなかった学生の幸せを願っている。直接研究室で指導できない学生であっても自分の学科の学生であることには変わらないので
皆大事な学生である。

これはあくまで個人的な見解であり、大学教員全員が持っている統一見解ではないことに留意頂きたい。個々の教員としっかりコミュニケーションをとって憶測や誤解ができるだけないようにしておくことは大事だと思う。このエッセイがその一途になることを願う。

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