〈ライアーと音楽療法〉バッハの「平均律クラーヴィア曲集」のタイトル、音律について。(Equal&Well)
私は、2000年代、毎月、夜行列車で、
ドイツ・ミュンヘンに通っていた。
ライアー・オーケストラで、
ライアーを弾いていたからだったんだけどね。
そこで出会った人と話すうち、
私は、バッハを特に弾くようになった。
決定打は、
ライアー製作者の
ホーランド・ゲルトナーさんと、
バッハのインベンションとフーガの
デュオをしたことにある。
それから10年くらいして、
コンスタンスのボーデン湖が氾濫して、
水害のあった年だったのだけど、その時に、
ホーランド・ゲルトナーさんに、
バッハ、楽しかったね、
と思い出話しをしたら、
そうだったっけ、忘れた。。だって。
も〜。。
でもまあ、そこで、ライアーの音色が、
バッハの音楽に似合うんだな。。と感じたよ。
音の返りと言い、音の立ちと言い、残響と言い、
かっちょいい。
ゲルトナーのライアーは、マイスターらしく、
ドイツの誇りであるバッハの、
そのバッハの音色を考えた楽器でもあるのかな、
とも感じたよ。
ゲルトナー工房にいた、
マンフレート・ヨエックスさんや
ザーレムのホルスト・ニーダーさん達の楽器も、
これまた、バッハに合う楽器だと、
あの頃は感じてしまった。
他の製作者のライアーは、あまり知らないので、
それらについての感じは、言えないよ。
これらライアーが、もしも、16世紀に存在し、
キリスト教の楽器と認められていたなら、
チェンバロ類のオルヌマン(装飾音)は、
発展しなかったのではないかと、
音楽歴史をひっくり返すようなことも考えた。
ところで、日本語で、
「平均律クラーヴィア曲集」というと、
第1曲目に、シャルル・グノーが、
旋律をつけ、1小節足して、
アヴェマリアを作曲したことで、有名だ。
しかし、この日本語のタイトル、疑問だ。
なんでまた、「平均律」なんて、
日本語翻訳タイトルをつけちゃったんだろう。
そういう誤訳、なんで修正しないんだろう。
バッハの曲集のオリジナルタイトルは、
Whol Temperiert
2単語をくっつけて、
Wholtemperiert
「良い」とか、「より良い」とかの意味だ。
フランス語だと
Bien-temperament
temperament 「タンペラマン」は、
性格とか、気質とか、心理学にも使う。
bien 「ビアン」は、
良い、とか、うまい、とかの意味だから、
「いい感じの音律」であって、
平均律とは、言ってない。
平均律の「平均」は、equal「エクアル」だから、
混同しては、いけない。
だから、
このバッハがつけた楽譜のタイトルを
正しい日本語にすると、
「良音律」とか、
「良調音律」とか、
と言うべきだよね。
まぁ、ネーミングは、センスもあるだろうけどね。
意味は、こんな風に間違えちゃったら、悲劇だな。
「ヴォールテンペリエルト」とか、
「ウェル・テンパード」とか、
ベロ噛みそうだし、ややこい。
「ヤングツー」とか、
「ヴェルクマイスター」とか、
音律を作った人の名前で言うのも、
分かりくいし、避けたいなぁ。
バッハの「平均律クラーヴィア曲集」、
まだ、「平均律」を使っていない時代に、
平均律は、ないし。。
「バッハの良音律クラーヴィア曲集」
「バッハの良調音律クラーヴィア曲集」
どう?
マニアック過ぎかな?
しっくりこない?
じゃあ、こんなのは?
「バッハのちゃっぷい音律クラーヴィア曲集」
ふざけ過ぎかな?
えへへ。。