私はお酒が飲めない

表題のとおり、私はお酒というお酒、アルコールというアルコールが飲めない。

「めっちゃ呑みそうな見た目してるー。」とか「このお酒、ジュースみたいだよ、いやほぼジュース。だから飲んでみて。」と今まで100万回言われてきたが、一切飲めない。

味が苦い。体が受け付けないのではない、舌が受け付けないのだ。

でも飲み会は好きだった。とくに会社の飲み会は。

幸い、働いてきた職場のクオリティーオブピープル(QOP)には恵まれてきた。それは職場でのことではなく、飲み会においてのことだ。同僚、上司、取締役ともに仕事の愚痴を飲み会に持ち込まないという「飲み会においてのハイクオリティー」「飲み会ハイスペック男子」をキメ込んでいた。

そして「最初の乾杯はビール」という日本の伝統風習のような行事も、飲めない私に強要もせず、私は最初っから大好きな炭酸ジュースを飲むことが許されていた。

その会社は半年に一度、組織変更や人事異動があるなにかと忙しい会社だった。男性陣は営業→本社内勤→異事業部→海外駐在→メンテナンス部等、場所の移動もさることながら仕事の内容も大きく変わることがあり、適応能力が試される会社だったため、「基本的にどこでも生きていけます」的人たちが多かった。

だからその地区合同の総勢50人規模の飲み会が半年に一度は必ずあった。

大人数の時は、会社のすぐ目と鼻の先にあったキリンビアパークを飲み会会場にしていた。座敷じゃなくてテーブルスタイル。そして長テーブルでずらっと並ぶため、大人数でも出入りしやすい。

「飲み会ハイスペック男子」たちは合計8名の女子をお偉いさん方の近くに座らせるなんてことはさせないし依頼もしてこない。だから、女子たちはかたまって好きな席を陣取る。

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※○描くの途中で面倒になってきたな。

自分の席の遠くでお偉いさんが軽い挨拶をし、一斉に「乾杯!」とグラスをちょっと上の方にかかげて、近隣の女子たちだけでグラスを合わせてグイッと一杯。

乾杯の挨拶からものの5分で席に座っていた男子たちはお偉いさんを残して一斉に席を立つ。

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※○描くのがこんなにつらいとは…

各々瓶ビールを片手に、端の女性席から順番にビールをつぎに来るのだ。ゴールはお偉いさん席だ。

もうこの光景を見るのがたまらなく好きで好きで、いっつも「いや、全員席立ったらビール注ぐ相手おらんがん。」とつっこんでた。

もちろんハイスペック男子たちは「お前ら女子たちも注ぎに行け。」とか「●●さんに注いで欲しいなぁ。」なんてことは一切言わないし、なんなら自分のグラスを片手に持ちながら瓶ビールを持って並んでいる超ハイスペック男子もいた。

職場では真面目で表情が硬い男子たちも、スーツの上着を椅子の背もたれにかけ、ゆるんだ顔で周りの男子たちと笑いながら「瓶ビール注ぎ隊」の列に並ぶ。それを見るのもまた楽しかった。

男子たちは飲みたいばかりだしほぼ自席につくことなんてないので、その間グルメ女子たちは運ばれてくるジャーマンソーセージとかおしゃれなチーズとかを男子の分も食べてあげる。

締めはもちろん一本締めだ。おしゃれなキリンビアパークの雰囲気も無視して、そこはやっぱり「ヨ〜オ」と一本締めをキメるんだ。周りのお客さんも店員さんも日本人だし、そこは優しく見守っていてくださったはずだ。

今は日本から離れてしまい、あの雰囲気をかもし出す飲み会に参加することが全くなくなってしまった。

「乾杯!」というとやっぱりあの楽しかった飲み会…いや、違うな…一緒に飲み会をしたいい職場の仲間一人一人の顔を思い出す。

また会いたいな。



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