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オススメ参考書5 荻野の勇者を育てる数学Ⅲ 荻野暢也著

オススメ度 ☆☆☆☆


受験生のときに僕自身が本書で勉強した。僕は著者の授業を代ゼミの単科で取ったこともあったが、不真面目な生徒だったので復習をしないどころか授業にもまともに出席していなかった。結局数学Ⅲの授業というのはほとんどまともに受けたことがなく、受験生時代には色々参考書を買ったりもしたがまともに1周できたのは本書だけだった。実質的に僕は本書のみで受験にのぞんだ。

それでも、第一志望ではないのでなんとも言えないが、早稲田の理工には合格点をおそらくだいぶ上回って合格できた。数学は60点中45点くらいだと思う。ちなみに僕の年は記憶では受けた応用物理学科は180点中、90点弱が合格点だった。物理が40点中30点、化学が20点中10点、英語が60点中40点くらい。物理はミスが多く予想より低かったが英語が自分としては奇跡的に勘がさえていた。自己採点なのである程度上下はあると思うが。ただ、僕は当時数学Ⅲについては積分だけを見ても面積や体積は得意だったが、評価などはさっぱりだったのでどんな出題でも点数が取れたかはあやしい。

そういうこともあり本書はよくも悪くも思い出補正がのっている部分もあるかもしれない。それでも予備校講師の目線と受験生の目線、双方から見られる参考書は少ないのでなるべく客観的なことを書いてみようと思う。


本書は92のテーマを扱っており、全て見開き1ページで例題2つと練習問題という構造になっている。数学Ⅲの基礎を固めるための本だ。教科書やそれに近い網羅系だとどの分野も同じ分量、同じ熱量で書かれている気がするのだが、本書は受験に重要な部分に多くのページが割かれている。特に積分に半分近くのページを割り当てている。これは賛否あると思うが、僕自身はある程度肯定的。やはり数学Ⅲは微積分だ。学校によっては数学Ⅲをやる時期が遅いことも多いと思うので、全分野を完璧にするというよりは重要分野をまず固めてしまうというのが得策なのかなと思う。
ただ、複素数平面もそれなりに重要な分野だと思うのだが本書での扱いは軽い。ここは注意。


何回も改訂されてきた本書であるが内容はほとんど変わっていない。水の問題がなくなった。最近はあまり出題されないということだろうか??
新しく登場したのは部分積分USAversionである。テーブル法などとも呼ばれる手法だが2回以上部分積分を行う場面においてはかなりはやい。
気を付けたいのは解説は決して丁寧ではないということ。いたってシンプルで行間を読む必要がある。式変形も省略されているところがあり、なんでそうなるのかわからず詰まったことも受験生時代は多数あった。これもどちらが良いというのは人によるのだが、僕自身は解説がある程度詳しいものが好みなのでこの本を取り上げるのは意外性があるかもしれない。
それでも、問題のセレクトが素晴らしく、また、微積分においては特に著者は定評がありいわゆる予備校の解法というのが良く学べる。
それゆえ、今でも数学Ⅲの基礎固めとしては本書を生徒にすすめることが多い。



(どんな人に向いているか)


数学Ⅲの基礎的な典型解法を学びたい人である。しかし、入門書として使うには少し不親切で難しい。学校で習った人や、他の本で先取りした人向けか。


◎数学Ⅲの基礎固め
◎網羅系は量が多すぎてこなせない人
〇数学Ⅲの先取り入門



(問題のレベル)1~5or6(10段階)


基礎的な公式の適用から。著者は基礎レベルの参考書については数学Ⅲしか出していないので、ⅡBの基礎的な振り返りもある。
難しいものは減衰関数の積分や平均値の定理がからむ漸化式の極限。空間の回転体や不等式で表された立体は中堅私立など受けるところが過去問で出していないならやらないのもありか。分数関数の極値(安田の定理)は網羅系などではあまり扱われない。



(気になる点)


大体前述のとおりだが、解説が詳しくない点と分野によっては扱いが少ない点だろう。
また、あまり厳密寄りではない。厳密な数学を好む生徒には向かない部分もあるかもしれない。
傘型分割は後ろに発展として図形的な説明があるものの答案には特にない、記述式の答案としてはどこまで書けば良いかの明示がなく受験生は答案作成しづらい部分も。
本書は傘型は円錐+円柱から円錐をひくという考え方をとっている。
直観的でわかりやすいものの図で説明するのが難しいため、個人的には円錐の側面積×厚さを考えるほうが答案が書きやすい気がする。


※参考書を批判する目的ではなく良いものを紹介する目的です。すべての参考書で気になる点を挙げています。

youtubeの参考書紹介も是非ご覧ください。

オプスタ


僕が代表講師として立ち上げたオンラインプロジェクトです。
オンラインでコーチング、学習マネジメント、個別指導等を行っています。
受験生に最適な学習を届けようというコンセプトです。

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