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消えた住宅設備5選

私が建築の世界に身を置いて30年・・・その間に消えた住宅設備を5つご紹介したいと思います!



1.窓関係

この30年で一番変わったのが、「窓」だと思います。

熱効率や、低炭素、ランニングコストの面でも重要な要素になる、「窓」。
そして、雨漏りの原因の中でも大きな割合を占めるのも「窓」なんです。

そもそも、昔は窓枠の素材はアルミサッシ一択でしたが、今は複合サッシや樹脂サッシが主流となっています。
熱効率を重視している時代のニーズによるものだと思います。

その他に、窓関係で変わった要素は下記の通りです。

①出窓

ひと頃、おしゃれなお家には必要不可欠だった出窓ですが、現在ではまったく見かけなくなりました。

雨漏りの原因になりやすく、外壁の張替の際のコストが上がることや、出窓部分が結局物置になってしまうケースが多く、かえって景観を損ねる可能性があるなどの理由です。
ひょっとしたら、もうメーカーでも既製品は作っていないかも?
オーダーならあると思いますが、注文住宅での採用はほとんど見かけなくなりました!

②天窓

これも昔は「明り取り窓」と言って、需要がありました。
吹き抜けの斜め天井につけて、昼は太陽を取り込み、夜は夜空を見上げるなんて売り言葉もよく耳にしたものです。

実際、明かりが取りにくいお部屋には有効な最高の手段には違いないのですが、日光を取り入れるため、夏はとにかく熱い!
そして、経年劣化で雨漏りがしやすい。(特に雪国では劣化も早い)
というデメリットがあり、現在ではほとんど見かけなくなりました。

採光計算上、どうしても必要な場合は設置することもなくはないですが、これを率先してお勧めしているハウスメーカーはいないのではないかと思います。

③浴室窓

今も昔も、水回りは北側に設置することが多く、当然日当たりが悪く暗いのが当たりまえです。なので昔はとにかく出来るだけ明るくするために幅いっぱいの窓を設置するのが普通でした。

しかし、いまは換気扇の性能も上がり、ランニングコストが安くなったこともあり、窓を開けて換気をする必要が無くなったので、窓を設置しない人が増えています。

窓があると無いとでは建築費用もいくらか変わってきますし、掃除の手間も、カビなどの発生リスクも減らせます。
なので、窓はつけないほうが効率的と考えるお客様が増えてきています。
アパートやマンションだと窓がないのが珍しくないため、その方が良いと知っている若い方が多いのでしょうね?

2.親子ドア

昔はリビングや玄関のドアに「親子ドア」を設置することが多かったのですが、最近はまったく見かけなくなりました。

引っ越しの際の荷物の出し入れがしやすいことが設置理由の一番の目的だったのですが、最近は家そのものが小さく効率的にできているため、ドアだけ大きくしたところで廊下や階段で荷物が引っかかってしまいます。
ドアだけ大きくする必要が無いというわけです。

普通の片開きドアのほうが建築費用を押さえられるのもメリットの一つです。

3.ベランダ

物干しスペースとして、昔はベランダを作ることがステイタスだった時代もあったように思います。
ベランダは防水や排水が必要になるので、設置するにはコストがかかるため、あきらめる人がいるほど人気かつ、ハードルが高い設備だったと記憶しています。

しかし、今はベランダを作る人はほとんどいません。
おすすめするハウスメーカーもないのではないでしょうか?
但し、お客様のなかにはかたくなにベランダが欲しいとおっしゃる方もいらっしゃいます。
そんなときはベランダをつける場合もありますが、数年後には壁や窓でふさいで、サンルームにされる方が多いです。

なぜなら、防水は劣化しやすく、排水は雨漏りしやすく、天気の悪い日は物干しにも利用できず、掃除の手間だけは年中かかるからです。
室内のサンルームなら天気に左右されずに洗濯物が干せますし、掃除も他の部屋と一緒に掃除機をかけて終了です。メンテナンスにお金をかける必要もありません。
いまや、ベランダを作るメリットは一つも見当たらないというわけです。


4.吊り棚

言わずと知れた、キッチンの吊り棚です。

キッチンと揃いの吊り棚を設置することはかつては主流でしたし、常識でした。入れるものなどなくても、吊り棚はセットで設置するものでした。

現在は対面キッチンが主流になって、吊り棚があると空間が分断され、閉鎖的になってしまうこともあり、吊り棚をつける人はほとんどいなくなりました。
高い位置に収納があっても出し入れしにくいし、危険も伴うので、ハウスメーカーでもお勧めしていないのが現状です。

そういえば、床下収納庫もあまり設置しなくなりましたね。
床下点検口は設置しますが、断熱性能を優先しているのも原因の一つかもしれませんね。

5.下足入れ

玄関の片側に必ずあった下足入れですが、最近ではほとんど見かけなくなりました。
現在はシューズクロークというスペースを設けるのが主流です。
下足はもちろん、防寒具や雨具、ベビーカーや、お子さんのスポーツ用品、季節によっては除雪用品などが置ける、多目的なスペースです。

下足箱よりも格段に収納力が上がるため、人気です。


6.まとめ


時代とともに、設備機器の性能アップとともに、移り変わる住宅様式ですが、もう出尽くしてしまった感がある住宅設備が、今後どう移り変わっていくのか、また見守ろうと思います。

ちなみに、これからなくなると予測しているのは「窯業系サイディング」と「瓦屋根」でしょうか?
ガルバリウム鋼板の性能が良すぎて、これがどちらも主流になってきている気がします。

そして、個人的に注目しているのは「太陽光発電」です。
蓄電がある程度一般化されればいまよりまた動向は変わると思いますが
どう変わるのか楽しみです。

以上、この30年でなくなった住宅設備5選でした❣😱


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