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パッシブソーラーでSDGsな家づくり

11/4に開催された井山武司著「太陽建築」出版記念シンポジウムに伺って、とてもいいお話が聞けたのでまとめてみました。

私の語彙力では伝えきれないのが残念ですが、もっとくわしく知りたい方は「太陽建築」~母なる地球、父なる太陽~、もしくは川島範久著「環境シミュレーション建築デザイン実践ガイドブック」~自然とつながる建築をめざして~をご購入いただきたい。



1.井山武司と太陽建築


まずは、今回主催された太陽建築研究会について、少し書いておきたい。

井上氏は、山形県酒田市の生まれで、昭和51年の酒田大火後の復興に貢献された建築家です。

故井山武司さんとは、パッシブソーラー建築の先駆者であり、彼は自身が手掛けた建築を「Solarchis(ソラキス)」と名付け、生涯かけて51のソラキスを送り出している。

その建築思想は単なる省エネルギーではない。

古の建築様式を紐解き、時代を超えて、根源的なその思想を取り入れ、また、理論武装したうえで発展させている。
この思想は未来の建築様式に是非生かして根付いていってほしい。
その遺志を継いだ方たちが組織しているのが太陽建築研究会です。

以前からシンポジウムを開催したいと聞いていて、開催を楽しみにしていたので、実現されてなぜか私も感無量です😍


2.5名の講師のお話

講師の5名の先生方はパッシブソーラー建築に別々のアプローチで関わっている方たちで、各分野から見た太陽建築や井上氏の思想について、そして、持続可能な社会の構築を真に目指すために、パッシブソーラーの意味を問い、未来に繋げることの重要性についてお話してくださいました。

各講師のみなさんのお話はとてもおもしろく、わかりやすかったですし、その重要性も十分理解できました。
これをできればみなさんにお伝えしたいわけなんですが、果たしてうまく書けるかどうか・・・
私の語彙力の無さがこんなにもどかしいことはありませんね😅


3.究極の家づくり


究極の家とはどんな家か、考えたことがありますか?

わたしが普段、家づくりに携わっていて感じることは、利便性がなによりも優先されるということです。

土地選びも、周辺環境や学区や職場との利便性が何よりも優先されます。
建物も、シンプルに方角や道路付けは考慮しますが、なによりも利便性が優先されてプランニングされます。

これは当たり前だと私も思っていますが、それだけでは究極の家は作れません。
今回、このシンポジウムに参加して、それに気づかされました。


「より多くのエネルギーを使うことが裕福の象徴になっている」
この言葉にはハッとさせられました。
現在の家づくりにおいては、より新しい設備、より便利な、より高価な設備を使うことがステイタスになっています。

技術の進化で、電化製品の質がどんどん良くなり、私たちは日々、たくさんの電化製品を利用して生活しています。
低炭素やZEHなどの取り組みで、エネルギー消費の少ない住宅を建てることを推奨しておきながら、それを実現するために多くのエネルギーを使わざるを得ない、本末転倒の状況に私たちは矛盾を感じなければいけないと思います。


太陽や大地のエネルギーを活用して生活していた時代の生活様式や、建築様式には、よりエネルギー効率のいい思想や技術が盛りだくさんに詰まっています。
これらを取り入れたパッシブソーラー住宅は本当の意味でSDGsな家づくりだと思います。

究極の家づくりとは、「機械的手法に頼る前に、建築的手法を取り入れて室内環境を一定に保てる家づくり」です。


3.地球全体のSDGs

電力不足を補うための太陽光発電設備や、風力発電設備などは、その土地の生態系を狂わせ、周辺の土地に悪影響を与えています。

土地や環境を破壊して電力を発電することよりも、パッシブ(建築的手法)を取り入れた家づくりを推奨する方が、地球全体のSDGsにつながることは言うまでもありません。


熱効率の良い家(快適な室温を保てる家)を、高気密高断熱住宅や、なにかしらの建材や工業製品で作るのではなく、出来る限り建築的手法(パッシブ)でちかづけ、それでも届かない範囲を機械的手法(アクティブ)によって調整するべきです。

そしてそのカギとなるのが「太陽」。
太陽の温かさと、地球と太陽の動きによってもたらされる「風」がもたらす涼しさを有効に取り入れることで、空調設備で使用するエネルギーを減らし、さらに快適性も得ることが出来る。

このしくみが「パッシブソーラー」であり、地球そのものに対するSDGsだと思います。


4.これからの家づくり

この、パッシブソーラーを取り入れた家づくりは少しづつではありますが、広まっていくと思います。

コロナの影響で、在宅で仕事が出来ることに気づいた人たちは、こぞって田舎暮らしや2拠点生活を始めています。

必ずしも中央都市に住む必要がなくなり、中央都市に住むことがステイタスでは無くなってきています。


今後はもっと土地が広い地域で自然を取り入れた暮らしをしたいと思う人が増えていくとおもいます。

そうなれば、パッシブソーラーが取り入れやすい家づくりがしやすくなりますし、この情報社会ですから、消費者のみなさんの中にもパッシブソーラーで家づくりがしたい人も増えていくでしょう。

そんな未来にするためにも、この太陽建築を未来につなぐ思想をもつ、太陽建築研究所が、いま必要とされていると思います。

今回のシンポジウムのような機会も、もっと増えてくれると嬉しいです。


5.まとめ

良いものは無くならない。
そういう時代が来るといいですね。

利権関係が絡むので、太陽建築が爆発的に普及するのは難しいかもしれません。
しかし、着々とファンを増やして、知識人はみんな取り入れてますくらいには、いずれなると思っています。

まず、そもそも、この仕組みを知っている人が圧倒的に少なすぎると思います。
建築家でも知らない人が多いのが現実です。
というか、「興味がない」のほうが合っているかもしれません。

すばらしい考えだけど、自分には関係ない。
自分の会社には関係ない。
そう思っている人も業界には多いかもしれません。

SDGsの視点からも住環境を考える必要がある。
といったような教育を建築学科で教えてくれたらいいのに。
建築士試験に取り入れたらいいのに。
そう思います。

と、そんなことを何の力もない私が思ったところで・・・
何ができるわけでもないんですが、少なくとも、私は、パッシブを取り入れた家づくりをしていきたいと、強く思いました。

いや、私の語彙力のなさよ・・・
もっと伝えたいことは山ほどあるんですが、私にはこれが限界のようです💦

是非、下記の書籍を手に取って、読んでいただきたい。

■井上武司著
「太陽建築」~母なる地球、父なる太陽~、

■川島範久著
「環境シミュレーション建築デザイン実践ガイドブック」~自然とつながる建築をめざして~



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