終わらない戦い

週末に久しぶりに近くのショッピングセンターに訪れたところ、賑わった姿が見られた。みんなの顔はマスクで隠れているとはいえ、笑顔に満ち溢れており、「ああ、ようやく戻りつつあるのかな」と私は少し喜ばしい気分になった。

日本で過ごしている我々にとって、世間を賑わせた新型ウイルスの感染拡大は少し落ち着きをみせている。
世間の評価としても、皆の心の中にも、まだ第2波があるかもしれない、そんな気持ちはしっかりと持っているのであろう。どこに行ってもマスクを着用していることからも伺える。
このように、我々の生活は完全に戻るわけではなく、「感染症と付き合いながら」生きていくことが求められる。

今回の新型ウイルスとはいったい何だったのか。それを改めて考える必要がある。
こう論じているは、話題の「コロナの時代の僕ら」の著者パオノ・ジョルダーノである。

この感染症がこちらにに対して、僕ら人類の何を明らかにしつつあるのか、それを絶対に見逃したくないのだ

起こるべくして起こった感染拡大

今回の世界を股にかけたウイルス感染は偶然起きてしまったのか?

巷では感染経路の出発点と言われているのは、コウモリではないかと言われているようだ。

コウモリから他の動物を経由して人間に感染してしまった。変なものでも食べて感染してしまった。そんな人間がいなければそもそもこれほど強力な殺傷能力を持ったウイルス発生しなかった。と考えている人が多いだろう。

しかし、それを招いたのはいったい誰だろうか?人口を爆発的に増加させ、本来食さないものにも手を出さずに負えなかった。そうした貧困層と接触した人が、グローバルに飛び回り、ウイルスをばらまいていく。今のグローバル社会は人と人とを繋ぎすぎてしまったあまり、感染経路を縦横無尽に作ったのだ。

また、ウイルスの立場に立つこともこの著書では重要であると説いている。

僕たち人間に勝る候補地が他にあるだろうか?こんなにたくさんいて、なお増え続ける人間。こんなにも病原体に感染しやすく、多くの仲間と結ばれ、
どこまでも移動する人間。これほど理想的な引っ越し先はないはずだ。

グローバル化が意味すること

今は人もモノも情報もすべて世界中で繋がっている。繋がることが今までの世の中ではメリットをもたらすことが多かった。

人が世界中に飛び回ることができることで、貧困地域へのボランティアにもいける、見たことのないいろいろな景色が見れる。新たな人と出会い、新たなビジネスが生まれる。

ただ、今回の感染症で人が世界中で繋がるリスクについて、警鐘を鳴らしたといえる。

今後は、人の繋がりではなく、モノと情報を世界中で繋ぐ、オンライン化が進むであろう。そしたら全ての問題は解決するのだろうか?

人口は相変わらず増え続け、消費は加速の一途をたどる。マーケットが世界中に存在するため、売れるものは作り続け、モノは増え続ける。製造にかかる環境汚染はさらに加速していくだろう。

情報も同様である。インターネットにより誰もが発信できる世の中になったことで、人口の増加は発信者の増加を意味する。様々な人が様々な価値観を世界に発信することで、情報量は増加する。その分質は保てなくなり、人は情報を取捨選択する能力、行為が必要となってくる。

また、情報の重要性が増せば増すほど、それを抜き取りたいハッカーたちはウイルスをアップデートしていくだろう。

このように、グローバリゼーション、人口爆発、情報過多社会、環境汚染、そしてウイルス感染は密接に関係し、相互に作用しあう。

この時代に繋がる必要性を改めて考える

種として繁栄するためにも人口が増加することは重要だ。ただ、爆発的な増加、そして重なるグローバリゼーション。

今は多くの人と繋がることが是とされている。特にビジネスにおいていうと世界に出ることこそまず第一歩であり、大きな目標とされている。

確かに、収益を増やすことを考えると大きなマーケットに向かうことは至極必然といえるだろう。ただし、生活としてはどうだろうか。多くの人と繋がることがそこまで重要だろうか?繋がることによるリスクが大きすぎやしないか?

人口が安定している時代であれば、それぞれに成熟した文化があり、その文化を共有することに意味を見出すことができるかもしれない。

ただ、今世界で起きている問題は間違いなく人間の人口爆発がもたらした結果であり、繋がれば繋がるほど社会問題を増幅させることになる。
しかもVUCAの時代、みんな隔離生活を行ったことで、新たな価値感を持つことができた人も多いのではないか?
鎖国時代の日本のように、オンラインサロンのように、閉じられた空間ではイノベーティブな文化が形成されやすい。残念ながら、ビジネスと生活は表裏一体。どちらだけするわけにはいかない。

今回のウイルスは我々に大きな価値観の変化をもたらした。そしてその変化はもう逆走することはないだろう。
元通りの社会の方が私は好きだ。ただ、我々が元通りに戻るわけにはいかないのである。


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