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深爪

寂しいの『び』を
研いで研いで
まるくする
分かりやすいかわいさを求めてしまう白々
さみしいの『み』は
椿の花びらからゆるやかに助走をつけて
磨硝子を曇らせていく

やさしい場所を探して
減っていく飴玉
本音は砂になって鋭利
星屑にもなれず
読み進められない歌集に
頰を寄せて隕石の真似
ありとあらゆる涙ごと蒸発させたい時がある


(2024年2月徳島新聞徳島詩壇入選作品)

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