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電波塔のペン先

広々とした水色に
雲がポツリたなびけば
不完全を許されたような気がした
今もミートソースがちらつくワイシャツは
おひさまがにじんでいることにして
なるべく日常へとろ過していく
すくえなかった君の言葉が胸に絡んで
無邪気の底に潜む針を呪った
離れていくグラスに
孤独の広さが伝播して
行くあてを失ったポピーが
目にしみる午後のこと
結局なにも許せないまま
椅子に沈みゆくぬくもり
犬歯で縫い止める唇を誰も知らないまま
投げ出したローファーを句読点にして
今破きたい風があること
小指がまだ熱を帯びていること
コンクリートの荒野で僕らだった
不死身の言葉を今もさがして

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