好きな色は、なんですか

私は、昔、小学校にあがるとき、とてもがっかりした。
赤の、ピカピカのランドセルをもらった時だ。
私は青が好きだった。黒がいいと思っていた。
赤じゃないといけないなら、姉のお古のぺったんこでシールをべたべた張った、傷だらけのランドセルが良いといったら、めちゃくちゃ変な顔をされて話は終わらされてしまった。
変わった子どもだったことは、その当時から分かっていた。
どうにも他の子供と感覚がかみ合わなかった。有難いことに周りにいた子供は面白い子ばかりで、私が変わっている子だと分かって余計面白がってくれた。私が大切にしているものを分かって、大事に一緒にしてくれるような子がたくさんいた。
夕方の色が怖くて、今が留めておけないことが絶対過ぎて、茜空を見上げて泣き叫ぶような子供だった。
赤が嫌いだったわけじゃない。
嫌いだと思ったのは、女の子の色だと言われたからだ。

青が好きだ。
緑や、黒がすきだ。
女の子というだけでそれを選択しから外されることがとても腹立たしかった。
家の裏の山の見せてくれる四季の彩りは、様々な濃淡の緑が輝き、夜にはとろりと融けるような夜の色が星や月のひかりのそばで佇む。
猫の不思議な毛の色、目の色。犬の鼻のつめたくてやわらかい色。
みんな好きな色だ。
男のでも、女のでもない。

色々な人に出会い、母親になり、子供に対して私は男だとか女だとかを言い聞かせたことはない。それがいいことかは分からない。ただ、私がそう言われて嫌だったから言いたくない。それだけの話なのだけど。

保育園で、幼稚園で、それぞれやっぱりそういう場面はあって、そのたびに長男は「男の子だから黄色にした」「先生が男の子はこの色だよっていってた」というのだけど、「母は黒や青が好き、父はピンクや赤が好き。男の子だから、女の子だからで使う色は決めなくていい。そんなことは本当はきまっていない」と話して聞かせてきた。
小学校に上がるとき、ランドセルの色は何色がいいか長男に聞くと「赤!」というので、かっこいい赤のランドセルを探した。カラーバリエーションは豊富でも、金具で男の子、女の子ははっきり分けられていて、(メーカーのではかっこいい赤いのがあったけれど、普通のものの倍の値段だった)どうしようか考えた結果、背中部分は黒の普通の、側面を赤にするというバイカラーランドセルになった。長男もかっこいいと大喜びだった。本当は背中も真っ赤のかっこいいのがあったらよかったけれど。

次男が小学校にあがるときは、ピンクが良いと言われている。
あるかなー。

もう逆にめちゃくちゃ可愛いピンクのランドセルで行ってくれてもいいと思っている。そこは次男といっしょに悩んで決めたい。
ただ、ピンクはやめなよ、とは言いたくない。


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