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「たいする」と「くさはら」と「こころとせかい」の解説のような


さて、どうしてこの三つの詩を一緒に解説のようなことをしようとおもったのかといいますと、
この三つは詩学舎での待ち時間に続けざまに書いた詩だったからです。

私は本当に、
書こうかなぁ、
と思ったら書き始めてしまうので、
あとは詩が満足するまで書いています。


「たいあい」
というのは、
対する愛とか、
体にもつ愛とか、
考えていての造語です。

たしかさに
言い知れぬ恐ろしさ

ためらわなさに
言い含めた恥じらいを

たえられることの
言い換えを期待して

たかめられた
言い訳を立ち昇らせる


「たいあい」

こちらのまだ明るさの残る草の腹に鼻先を摺り寄せる。
そうして青臭い今にどうしても牙を立ててしまう。
そういう心情のような詩、かと思うのです。

対岸の汚れを
指に掬う

ところどころ
支え合った虫食い

徒党をくいとめた
とうめいのあいことば

あなたを明日へと送り届ける
浅い揺れの夕暮れの影

ありきたりにあいさつをして
対岸の草の尖りを鼻にすりつける

「くさはら」

平仮名をかためていく詩が好きです。
それでも柔らかで、
ちょっと
ひとつきつすると崩れてしまう砂の城。
でもその柔らかさでいいのです。
最後の一文が地面に叩きつけられるような衝撃が伝わればいいな、
と思う詩です。

心はどこにあって
どうしてふるえ
そしてそれはわたしたちをいっぱいにし
おおくのばあい
なみだとなって
このせかいへとはなたれていくのだろう

こころはかえりたいのだろうか
いっぱいにふるえて
欠片としてでも
ひとつにかえっていくように
せかいをもとめているのだろうか

わたしたちのいきたいというきもちは
こころのはっするつよいせいじつさの
すりかえなのではないか
せかいにかえりたいことを
しにたいとしないために
しんだからだからこころは
ほんとうのいみでかえられなくなるのだろう
だから

冷たい一粒を強く打ち付けていく

「こころとせかい」

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