特性要因図の悩みは具体化で解決
はじめに
QCサークル活動の特性要因図で悩んでいませんか?
この記事は私がサークルリーダーを長年やっていく中で身につけた特性要因図の悩みを解決していったノウハウを記載させていただいています。
特に、「6.要因を挙げる (中骨、小骨、孫骨を記入する)」について力をいれてつくらせていただきました。
この記事が特性要因図の悩みの解決に役立ってくれれば幸いです。
1.特性因図と連関図のどちらを選択するか
現状把握で採取したデータが「数値データ」から問題点をだし場合はQC七つ道具の特性要因図を使用します。
「言語データ」から問題点を出した場合は新QC七つ道具の連関図を使用します。
2.特性要因図でやっていること
問題点から重点要因までを考えを道筋をたてて体系的にわかり易く
見えるように表現する道具。
原因の分かっていない「抽象的な問題点」から「具体的な要因」を
繰り返し抽出して、より具体的な要因「重点要因」を絞り込んでいきます。
下の図のように問題点を大骨~孫骨を使用して絞り込んで重点要因を見つけていく工程になります。
3.特性要因図を作る前に知っておくこと
4.特性を決める
現状把握で絞り込んだ問題点を特性にします。
(この問題点が数値データで表された問題点の場合は特性要因図、言語データだと連関図を使用する。)
特性は「数値データ」を使い「悪さ」を表したものになります。
「数値データ」を使うのは現状把握で数値化したデータをQC七つ道具を使い表現したからです。
「悪さ」で表すのは特性が「現状把握で分かった問題点」だからと言うのと、
特性要因図では「問題点を絞り込んて行く作業」なので悪さで表さないと問題のない所まで解析をする範囲に入ってしまいます。
なので現状把握で「悪さ」を「数値データ」で表せれないものは新QC七つ道具の連関図を使うことになっていくと思います。
・1つの特性に対して1つの特性要因図を作成する。
下記例の場合は「寸法の不良」と「傷の不良」の2つの特性(仕事の結果を表すもの)が含まれている。
2つの特性が混ざっていると特性要因図で解析をする時に要因が混ざってしまい、どの要因がどの特性に対して挙がっているのか分からなくなるので特性ごとに分けて作成する。
5.大骨を記入する
要因を4つ~5つぐらいに分類する。大きく分けて「人、機械、材料、方法、測定、環境」に分けられています。
大骨に入る要因は4M、5M、4M+E、6M などと呼ばれていて、
この中から特性に対して当てはまるものを抽出して大骨に記入します。
参考までにですが、私は下のような表に特性を記入して、工程や環境を見たり考えながら思い浮かんだ大骨候補をメモしてます。
メモをする理由は漏れがないようにするのと意見の共有を狙っています。
あまりありませんが要因を挙げているうちに大骨を分けた方が良いときに参考にもなります。
6.要因を挙げる (中骨、小骨、孫骨を記入する)
・要因を挙げる時は「主語+述語」で具体的に表現する。
特性要因図は具体化を繰り返し行い重点要因を抽出する工程です。
なので具体的に表現をするために要因を「主語+述語」で表現します。
上記表を見てもらうと要因ごとにどの様な道筋を進み、各要因がどんな状況になっているのかが分かります。
このように具体的な要因を挙げて孫骨まで要因の状態が具体的に表されていると、まだ挙げていない要因を見つけやすくなります。
具体的な要因を挙げた特性要因図と問題点の部分の工程を比べてみると要因を挙げやすくなると思います。
この具体的な要因で作った特性要因図は第3者が見るても特性から孫骨までどの様な道筋を辿って来ているのか分かり易く見ることが出来るようになります。
※ 特性要因図の各項目の考え方
私なりの考え方になりますが、特性から孫骨までのとらえ方を“特性:現状把握で分かった問題点→大骨:問題のある場所→中骨:問題のある場所で出てる症状→小骨:症状を診断して分かった問題→孫骨:診断して分かった問題の原因”のようにとらえて考えています。
この考え方だと要因の方向性が定まっているので意見を挙げやすくなり深堀もやり易くなります。
上記の表のように「主語だけ」「述語だけ」の単語で要因が挙がることがあります。この要因の状態は「抽象的な要因」になっていて要因の具体化が出来なくなる原因になります。
中骨で抽象的な要因を挙げるとつられて孫骨まで抽象的な要因を挙げていく流れも出来てしまいますので注意してください。
そして、抽象的な要因ですと各要因に複数の意図が含まれており「遅い」を重点要因にしても「【なにが】遅い」のか分かりません。
仮説を立てても「眠いのは睡眠が遅いから」と重点要因を絞り込んでも抽象的なままになってしまいます。
これでは調査のステップで原因を見つけることが出来ません。
そして、決めた重点要因を特性にして再度特性要因図を作る事になってしまいます。もしくは原因を見つけることが出来ても辿り着くまで手間がかかってしまいます。
運営的な話になりますが、抽象的な要因が挙がったらメモをして具体化してください。もしくは抽象的な要因でも挙げるようにと意見も求めてください。
意見をメモをして具体化することでQC活動の基本である「人の意見を否定しない」を実行することが出来ます。
そして抽象的な意見が挙がることが新しい意見の閃きになり「人の意見に便乗」したり「ブレーンストーミング」を発生させる事が出来るかもしれません。
人の意見を否定せずに評価、改善をしていくことで意見や考え方の共有が出来るようになりサークルレベルの向上に繋げていくことが出来ます。
中骨と小骨の抽象的な要因を見ると「複数の意味が略されていて表記されていない」ので重点要因までの考え方の道筋が途切れた状態で表現されてしまいます。(「睡眠」は「時間が短い」と「時間が長い」が表記されていない等)
孫骨が抽象的になっていると「どのような問題があるのか分からない」と「何が問題になっているのか分からない」と言う状態が発生してしまいます。
孫骨の「仕事」で考えた場合、遅くまでかかったのか、早く終わったのか、仕事中に新しい仕事が入ったのか、仕事の後でなにかあったのか、明言されていないので重点要因にしてもこれでは原因に辿り着けません。
なので抽象的な要因が入っている特性要因図では要因の意味が伝わらない状態になってしまい、問題の具体化が出来ません。
また、特性と重点要因の間に何の問題が発生していたのか確認をするときに、要因が抽象的なので具体的な見方ができない状態になってしまいます。
そして他の人が見た場合、具体的な要因の道筋が途切れて飛躍している特性要因図と判断されてしまいます。
また、抽象的な要因は複数の意味が含まれているので、具体化されることで本来見えていたはずの要因が見えなくなるので「要因のもれ」が発生する原因にもなってしまいます。
なので、特性要因図の要因は「主語+述語」で具体的に表現することがとても大切で基本になります。
7.多くの要因を挙げるために
挙がった要因の良い悪いの判断は絶対にしてはいけません。
萎縮して意見がでなくなったったり、挙がった要因が新しい要因の閃きの切っ掛けになるので意見の否定をしてはいけません。
抽象的な要因でも良いので思い浮かぶ単語や要因をどんどん挙げていきメモをしてメンバーと共有し「人の意見の便乗」や「レーンストーミング」を狙います。
単語を具体的な表現にするために「主語+述語」の表現をして要因にする。
文章で挙がった意見は「主語+述語」+「主語+述語」+「主語+述語」のように一つ一つの要因に分解をする。
工程と特性要因図を見比べて挙げている要因に「抜け」がないか確認する。
参考までに下記表のように一覧にして考えた文章の要因や単語のメモを記入しておくと考えがまとまったり、情報の共有がやり易くなると思います。
8.なぜなぜ分析を使用する。
特性要因図では、なぜなぜ分析を使うのが有効と言われています。
なぜなぜ分析は特性、大骨、各要因に対して「なぜその問題が起きたのか?」、「問題が起きた要因はなにがあるか?」を考え、さらにその要因はなぜ起きたのかを考えます。
※ 人の心理的に「なぜ」で問われると責任追及をしていように感じ萎縮して
意見が出にくくなってしまう傾向があります。
なので「なに」で求めると意見が出やすくなることがあります。
なかなか意見が挙がらない時に試してみると良いと思います。
特性、各大骨、各要因に対してなぜなぜ分析をするのは視野が狭くなるのを防ぐのと要因の漏れを防ぐことが狙いです。
「なぜ?」は5回繰り返して考えて要因の深堀をしていきます。
(この5回は目安になります。)
これはいつまでも掘り下げができてしまい途中からループしてしまうことがあったり、2回3回の掘り下げでは要因のもれや重点要因まで掘り下げれていないことがあったりするからです。
なぜなぜ分析を止める目安として、具体的な行動が出来ることろまで掘り下げることができたら止めて良い判断の基準になります。
この「具体的な行動が出来る要因」というのは「この要因を対策すれば効果が出そう」な要因になります。
そしてなぜなぜ分析も「主語+述語」で具体的に表現をすることで問題点の絞り込みをしていきます。
問題の深堀をすることで根本的な原因の仮説を見つけ、問題を解決へ繋げていくことができるのがなぜなぜ分析です。
特性要因図はこのなぜなぜ分析を層別して見易く表現したものになります。
なぜなぜ分析は問題の深堀と根本的な原因を見つける方法、特性要因図はなぜなぜ分析で考えた道筋を表現する方法と見てもらえると良いかもしれません。
9.挙げた要因を確認する
特性に対して事実に基づいて具体的な要因を挙げているか確認をする。
要因が間違ったところに入っていないか、確認をする。
現地、現物、現実と特性要因図を比べて要因にもれがないか確認をする。
10.重点要因を決める
・孫骨を重点要因にする。
重点要因は問題点の原因、「孫骨を選ぶ」と言う事になります。
なぜ孫骨なのかと言うと、7.要因を挙げるで記した「特性:問題点→大骨:問題の場所→中骨:症状→小骨:診断→孫骨:原因」のように順序だてて考えると孫骨が原因になるからです。
小骨や中骨に重点要因と同じ要因があるかもしれませんが、孫骨を重点要因にしないと第三者から絞り込みを十分に行えているか怪しく見られてしまうことがあります。
なので、絞り込みを十分に行ったことが見えるよう孫骨を重点要因にすると分かりやすく他者からの見栄えも良いです。
・重点要因は複数選ぶ
重点要因は1つだけではなく2つ以上、多くて4つ程挙げるのが良いです。
重点要因はあくまで原因と思われる「仮説」になります。
もしかしたら、他の仮説の方が正しいかも知れないですし、原因が複数あるかもしれません。
なので複数の重点要因を挙げることで原因となる可能性のある重点要因を調査して正しい仮説のもれが無いようにします。
また、原因が1つだったとしても他の複数の仮説が原因ではないと言う事を示すことが出来ます。
このような事から複数の重点要因を挙げることが必要になります。
・マトリックス図を使い重点要因を絞り込む。
どのように重点要因を絞り込むかと言うとマトリックス図を使用します。
マトリックス図で評価基準と要因への評価を出して順位を着けて重点要因を選定していきます。
この評価で最高評価の要因が複数出て来る場合はそれぞれを重点要因にします。
最高評価が1つだけの場合は、最高評価と準最高評価を重点要因にします。
また、重点要因は原因の仮説を選定する工程なので必ず正しい原因を選定する工程ではないので選ぶときはシビアになりすぎないよう注意しましょう。
・マトリックス図を使っての評価
孫骨をマトリックス図を使い評価をしていきます。
評価項目は「特性への影響」が「大きい」「ある」「少ない」ので評価します。
特性によって適切な評価項目の選定や追加をしていってください。
・決めた重点要因はあいまいでも良いので根拠を明確にする。
重点要因に決めた要因は、マトリックス図の評価点数と中骨から孫骨までの要因を繋げ文章にして仮説します。
この評価点数と仮説を重点要因にした根拠(理由)にします。
・重点要因を決めたら〇で囲んだり、色を変える。
どの要因が重点要因か分かり易くして、一目で特性からの重点要因までの道筋が分かるようになる。
・決めた重点要因を現地、現物、現実で事実か確かめる。
実際に確認すると重点要因と現実が違うことがあったりするので間違いない事を確認してください。
また、確認をすることで調査の予習になります。
・重点要因を決めて調査をしたが原因に辿り着けなかった場合
重点要因を決めたのはいいが現地、現物、現実での確認や調査で原因の特定ができなかった時は、以下の道筋があると思います。
1、因の絞り込みが出来ていない。
具体的な要因を挙げての絞り込みが出来てない可能性があります。
各項目でなぜなぜ分析を使い具体的な要因を挙げると進展すると思います。
2、性要因図の要因洩れ。
現状把握でのデータや工程、現地と特性要因図を比較して洩れがないか確認をしてみましょう。
3、重点要因の選定間違い。
評価項目や点数の評価が間違ってる可能性があります。
評価項目と要因の点数付けに問題が無いか確認をしてみましょう。
4、現状把握で問題点を特定出来ていない。
上記3点を確認しても進展が無い場合は現状把握でなにか間違えている可能性があります。
手間になってしまいますが現状把握で再度データの確認、データ取りをした方が最終的に早く完了させることが出来るかもしれません。
終わりに、
以上が、私が提案させていただきました特性要因図の悩みは具体化で解決になります。
QCサークル活動の特性要因図だけで見ても色々な問題が出てきます。
私の経験では具体化していない要因で進めたり、憶測を確認せず事実にしないで進めたりするとデータの紐づけや道筋が破綻して現状把握からやり直したりすることもありました。
経験から大体の問題は抽象的なことの具体化をしなかったことが原因にありました。
QCサークル運営には色々な問題がありますが、特性要因図に悩んでいる方の問題解決の助けになることが出来れば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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