実績を考える動画の補足

本日、「未経験からクラウドソーシングで翻訳者になるアイデア」という動画を出しました。この動画では、「クラウドソーシングで実績や経験をアピールしたいときに備えてどんなことができるか」ということをお話しております。もしよろしければぜひ。

ただ、この実績と経験についてはしっかりと理解しないと経歴詐称などになってしまう場合もあります。そのため、念のためここで細かい補足をしておくことにしました。

動画の趣旨の確認

クラウドソーシングサイトでは、「こういう仕事があります、誰かお願いします」という募集に対して、「私に任せてください、私にはこういう経験があるのでお力になれます」という提案文を送ることでマッチングが成立します。このときに送る提案文の書き方についてのノウハウは色々ありますが、ここでは割愛します(そのうちまとめて動画にしたりするかもしれません)。

この提案文を送るときや、またクラウドソーシングにプロフィールを登録するとき、未経験であるよりも経験者である方が選ばれやすいこともあります。クライアント目線ならスキルの高いフリーランサーに依頼したいのが当然ですから、経験者の方がその確度が高いと判断されるのは全うな話です。しかし、最初は誰もが未経験者です。翻訳会社で翻訳者として働いたことがあればそれはまごうごとなき実績ですが、クラウドソーシングに登録したいという場合、そういった実績や経験がないことの方が多いでしょう。

では、未経験者はアピールポイントを作ることができないのでしょうか。いえ、工夫次第である程度の経験や実績としてアピールできるものを持つことはできます、というのが動画の趣旨です。

クラウドソーシングにおける経歴や経験

クラウドソーシングでのギグワークでは、職務経歴書や履歴書の提出を求められることはそれほど多くありません。そのため、実績や経験をどのようにアピールするかというと、プロフィールや提案文の中でということになります。

そのフォーマットは確定したものではないので、アピールできるようなことはすべてアピールが可能です。例えば、「大学時代には〇〇を専攻していましたので、〇〇についての記事は専門的な目線から執筆できます」といったようなアピールも可能であるわけです。この意味では、例えば翻訳においても「翻訳学校では〇〇を専攻しましたので、お力になれると思います」といったようなアピールは可能でしょう。もちろんこれは実際にそういった専攻があった場合の話で、嘘はいけません。

言い換えると、クラウドソーシングにおけるプロフィールや提案文では、実績や経験として評価対象になる条件が履歴書や職務経歴書における『実績や経験』よりもやや広い(厳しくない)と言えるのではないかと思います。

「経験がある」とはどういうことか

動画内でも触れていますが、一般的にビジネスシーンでの実績や経験というのは、他人や第三者からの評価があって初めて認められるものであるのではないかと思います。そのため、例えば「将来は医療翻訳をやりたいから、医療系の専門書を自分の勉強のためにノートに日本語訳して書き写している」だとか、「自分の勉強のために映画のセリフを翻訳してノートにまとめている」といったようなことは自学自習の範囲であり、「仕事として客観的な評価を受けている」わけではないので、これを「医療翻訳の経験があります」と言ったり「映画翻訳の経験があります」と言ったりするのはNGと捉えられることが多いだろうと判断できます。

しかし例えば、「大学で映画を自主製作して公開した際、その字幕翻訳を担当した」であれば、「映画翻訳の経験がある」と言い換えると語弊がある(一般的な映画産業における字幕翻訳であるようなミスリードを誘ってしまう)ものの、「自主製作の映画字幕を作成した経験がある」というアピールは可能でしょう。クラウドソーシングにおけるプロフィールや提案文としては、場合によってはかなり魅力的な一文です。

このように、第三者からの評価を得られるような関連した経験があれば、それを「経験がある」としてアピールして良いのではないか、というところから、動画内では3つのアイデアをお話しています。

最後に: 表現に注意

ただし、誤解を招くような表現は、最悪の場合経歴詐称として捉えられてしまう可能性もあります。

前述の「大学での自主映画製作」を「映画翻訳の経験がある」と言ったり、動画内で紹介している「パブリックドメインの翻訳をして公開した」を「出版翻訳の経験がある」としたりすることがこれに当たります。例えば「パブリックドメインの翻訳をして公開した」なら、「パブリックドメインの翻訳をしてnoteで公開し、多くの人に高評価をもらっている」などの具体的かつ客観的指標で伝えることが重要です。

どこまでがOKでどこからがグレーなのかは判断が難しいところですが、一般的に言えば「ミスリードを誘うような言い方」は避けるべきであると言えばあとは常識的判断で考えて良いかと思います。言い換えれば、「どういう実績・経験があるか」をできるだけ具体的に伝えることが誤解を避ける上でポイントになるでしょう。

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