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G. Gershwinの映画 アメリカ交響楽 紹介etc. (2022.2.19 21:07時点)

角野さんのコンサート前から予習したガーシュウィンについて、一部、書き起こしてみた(ヘッダーは北海道上空から撮影したもの)。映画や本を「まっさらな気持ちで」観たい・読みたい方はここで読むのをやめてください(笑)。間にCM的に星野源のツイートを挟んでおこう!


さまざまな観点から、20世紀の偉大な音楽家、ジョージ・ガーシュウィン(1898.9.26-1937.7.11)を知れば知るほど、角野隼斗/かてぃん/こじかてぃん etc.の姿と重なって来る。共通点を上げると本当にキリがないが、ピアノを弾くのが好き、色々新しいことにチャレンジしたい、色々な人とコラボしたい、作曲意欲が旺盛、大衆から人気がある・・・。

映画「アメリカ交響楽」(字幕版)
1945年6月 NYで公開

Prime Videoで鑑賞。見始めたら、約20年前に観た記憶がよみがえってきた。ジョージ・ガーシュウィンが幼い時からの亡くなる(1937.7.11)までの波瀾万丈の人生、名曲が生まれてきた過程を描いた映画。

彼の代表作、スワニー、アイ・ガット・リズム、ラプソディ・イン・ブルー、巴里のアメリカ人、キューバ序曲、ポギーとベス、ピアノ協奏曲ヘ長など、劇中ジョージがピアノを弾く(or 指揮棒を振る)シーンが観られる。ところどころ、音楽以外に、笑いを誘ったり、涙腺が刺激されるセリフやシーンがあり、2時間21分、飽きさせない展開。

やんちゃ坊主だった子供時代、家にピアノが届いて、いきなりピアノを弾き始めるシーン、15歳で学校を中退して、NYのティン・パン・アレーなどで、ソングプラガーなど、実にさまざまなアルバイトを経験し、多くの失敗も経験。前半、心に残った幾つかの名言を紹介したい。

ただのコンサートピアニストになりたくない。
ピアノはダンスや音楽家のための作曲をするための足掛かり(stepping stone)。
頭に流れる全ての音を曲にしたい。
僕はアイディアが浮かぶと、とことん挑戦する。

映画アメリカ交響楽より

ジョージの母は、音楽では食べていけない、趣味ならいいという考えの現実主義者。だが、父はジョージの意思、夢を尊重する。

父の言葉「何にせよ保障された成功なんてないんだ」は刺さった。
現実主義者の母が、普通の仕事をすることを望んでいるのに対し、ジョージは「僕には音楽が全てだ」と言い、父は「その言葉を待っていた」「夢があっていい。お前も頑張れる」と。

ジョージは、フランク教授からクラシックや音楽理論などを習った。ショパンのプレリュードOp.28-7を弾いている最中に好き勝手なジャズアレンジ(※)を加えて呆れられたりするシーンには、デジャヴ感があり、クスッと笑ってしまった。
※ 角○氏の全国ツアーの子犬のワルツより派手なアレンジだった。ガーシュウィンは小鹿なんて可愛らしいものではなく、ジャジャ馬な感じ。

フランク教授は早くから、ジョージの作曲の素養、可能性を見抜いていた。

今のアメリカは新しいことと古いことが矛盾して混じり合っている。
君の中にも同じ矛盾がある。
狼と羊。そして理想と現実。
2つの矛盾を上手に体現できるようになれば、君はアメリカの声になれる。

ポケットの中の小銭の音ではない、もっと偉大なる音楽を。
彼(ジョージ)はシューベルト、ベートーヴェンになれる。

映画アメリカ交響楽より

フランク教授は、がむしゃらに全方向に走り出したくてじっとしていられないジョージに、まずショパンを弾けと言うシーンがある。

角野さんが3年ちょっと前にツイートしていたこと、まずしっかり型を身につけろと。

あらゆる試行錯誤の後、1924年頭にホワイトマンが企画した現代音楽の実験に向け、ジョージは曲を約3週間で書き上げ、グローフェがオーケストレーションを行った「ラプソディ・イン・ブルー」をホールで弾くシーンには、ほろりと来る。この演奏、楽譜が未完の部分はジョージが即興で弾き、指揮者に合図を送っているが、そのシーンが映像でも表されている。審査員団にはラフマニノフがいるのも、同じ時代を生きていたことを知り胸が熱くなる。

ラプソディの演奏シーンは劇中で1番長く流れる。角野さんのブルーノートスケール講義と解説を思い出しながら堪能できる。

1924年頭に作曲、2月12日に初演のラプソディ・イン・ブルーで大成功をおさめ、協奏曲を学ぶ名目で渡仏(パリ)。ラヴェルに会う機会もあり、教えを乞うも、ラヴェルからは「二流の音楽家は一流のジョージに教えることはない」(この部分について詳しい記事はこちら)と断られ、むしろ、なぜあのようなリズムを生み出せるのか、質問されてしまう。

後半30-40分は、クライマックス(最終版のシーンなどは是非映画で観て頂きたい)なので、筋書きについて、ここで書くのは控えたい。

ちょっと纏めらしきことを書いてみる。。

ジョージは、生まれ育ったNY(ティンパンアレー)で見聞きした音楽、出会った人々、経験したことを全て音楽で表現したいという並外れた野心を持っていて、ラグタイム、ジャズ、ブルースなどを、ピアノコンチェルト、ミュージカル、オペラなどにごく自然に取り込み、常に聴衆の反応を観ながら、いろいろ工夫して、皆が口ずさみたくなる、身体を揺らしたくなるようなリズム、音楽を生み出してきた。言い古されてきたことだと思うが、映画を見終えた後、改めて、アメリカを代表するポピュラー音楽の父だと実感。

この映画を観て、短い人生で大量の名曲を生んだジョージが20世紀の音楽界で果たした役割の大きさに改めて感銘を受けた。

後半、1925年12月にカーネギーホールで、ジョージ自身がピアノを弾き、ダムロッシュが指揮するピアノ協奏曲へ調(NYフィル)も流れるが、1楽章、3楽章のみ(だったと思う)。2楽章は明日2/20のお楽しみということらしい(笑)。

映画の最後に再び流れる、ジョージ自身が演奏するスワニーの貴重な音源を見つけたので、貼り付けておきたい。

書籍「アメリカン・ラプソディ
-ガーシュインの生涯- 」
(ポール・クレシュ 鈴木晶訳)

1989年発行、晶文社
絶版で、古本屋では購入可能だが、(庶民には)高額なため、近くの図書館で借りた。もう少しで読み終えるので、後で感想を書くかもしれない。

書籍「もうひとつのラプソディ
-ガーシュインの光と影-」
(ジョーン・ペイザー 小藤隆志訳)

1994年発行、青土社
上記同様、絶版のため、近くの図書館で借りた。読み終えたら、後で感想を書くかもしれない。

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ガーシュウィンのピアノ協奏曲の記事

2/20は国内外に配信あり

明日2/20は、東京フォーラムに来られない方も配信で角野ショパン、角野ガーシュウィン、and... が楽しめます!配信の申し込みは以下をご参照ください!もちろん東京フォーラム組も改めて配信で楽しみたい方(私は配信チケットも購入済み)、どうぞ↓
3/5までアーカイブで楽しめます!

(終わり)

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