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[積読研究会#4-6]著名作家のエッセイシリーズ

積読は未来の自分へのプレゼント

なんですよ。だから恥じる必要はありません、むしろ積極的に行うべきです、という主張を聞きかじって感銘を受けたことがある。やはり読まずに溜め込まれていく本を見るのは今でも心苦しい。でもよく考えてみたら、今の自分に無理に背負い込ませる必要も別にない。そもそも楽しみで買っているんだからもっと気楽に考えればいい。買った本は読まなきゃいけないなんて、そんな学校の宿題みたいな考え方は止めよう。

というわけで今回は文庫シリーズ。名前はめちゃくちゃ聞くけれど、小説はまったく読んだことがない作家たちのエッセイ集です。

#1『ゆっくりさよならをとなえる』(川上弘美)

一冊目はこちら。川上弘美さんのエッセイ集。川上さんのことは、理系の大学出身でもともと理科の先生だったいうことくらいしか知らない。

『物語が始まる』という本を一冊だけ読みかじったことがある。その中の一部に生物か化学の専門用語を駆使した印象的な文章があって、ああやっぱりそういい勉強をしていたんだなと思ったという非常に浅い感想を持った覚えがある。

私はどうしても小説を読むのが苦手なようで、川上さんの本もなんとなく好きになれそうな気はするのだけど、今日まできちんと読み通したことがない。『センセイの鞄』も手には取ってみたけど、拾い読みしただけだった。

よほど世界に引き込まれないと小説を最後まで読み切ることができない。読みたい気持ちはあるのだけど。

人となりを知っておけば、何かが違ってくるのかなと思って、買ってみたのがこのエッセイ。あっさりしていて読みやすい、けど、あっさりしすぎてあんまり心には残らなかった。ちゃんと読んでないけど。

#2『職業としての小説家』(村上春樹)

言わずと知れた超有名作家。好きな人があまりに多いだけに、読む前からなんだか身構えてしまって、好きとか嫌いとか言う前にあまり彼のことを知らずに今日まで来てしまった。

中学生の頃に『レキシントンの幽霊』という本を唯一読んだことがあって、夢の中の話みたいで頭がクラクラしたのを覚えている。面白かった。短編集で、どのエピソードにも幻想的で得体の知れない異界のものが出てくる。幽霊とか言っているけど、いわゆるお化けとか化け物とかは出ない。怖いわけでもない。ただ雰囲気だけがやけに不気味で、強く印象に残っている。私にとっての村上春樹はそういうイメージ。

パラパラと読んでみると、全体的に非常に真っ当で、大切なことが書かれていると思った。オリジナリティーについての章で、感銘を受けた箇所があったので引用する。

もしあなたが何かを自由に表現したいと望んでいるなら、「自分が何を求めているか?」というよりはむしろ「何かを求めていない自分とはそもそもどんなものか?」ということを、そのような姿を、頭の中でビジュアライズしてみるといいかもしれません。

なるほどなあ、と思った。要するに、超シンプルに言えば、楽しく書くのが大切ですというようなことなのだろうけど表現の仕方がやっぱり気が効いているなと思う。

#3『自殺』(柳美里)

物騒なタイトルに惹かれたのもあるけれど、パラパラと読んでみたら、日本の夭折した天才たちを時代ごとに比べている箇所があって、なんというか、昭和から平成にかけての社会の変化というか、若者像の変化みたいなものを知るのにちょうど良い内容のような気がして購入。

柳美里という作家のことも、原発事故があってから福島に移住したことくらいしか知らない。要するに私はあまりにも教養が不足しているので、どうにかするしかない。本を読むしかない。