なんのために

波野發作

ドラフトが繰延になったので、今夜は少し時間ができた。
運営ジャム的な話を1時間だけしてみよう。
第3回までの理事主導でOBはサポートメンバー的な立ち位置だった運営事務局と違って、自主公演のような第4回の運営はほぼ参加者の一部である。
運営事務局を預かる身としては、こういう情報発信もしていかなければならない。
(正確には第3回は小野寺ディレクターという稀有な存在あっての成功という側面はあるがその辺については次回以降どこかで改めて)

金曜日に「オリエンテーション」という集会を行った。
当日は言わなかったんだが、これは本来のNovelJamにはないシークエンスであって、初の試みだった。
前回までは、募集の前に説明会というものを行っていた。
その後はNovelJam当日になるので、事前説明会的なものは本来はなかったのだ。そもそもそんなものいらない。「ブンゲイのハッカソン」とか言えば、誰でもピンとくるし、ハッカソンって何?とか思うんなら山田さんの漫画を読めばいい。わざわざ渋谷まで集まってもらって話すようなことではない。チャーシューメンに何が載ってるかを店員に聞くな。チャーシューと煮玉子だよ。いや、煮玉子は店によるか。

なので、今回のオリエンテーションは目的ベースで言うんであれば、
「変更点説明会」である。それ以上でもそれ以下でもない。
誤解のないようにあえて言っておくと、「しっかりNovelJamの下調べをしなければならない」などと言いたいわけじゃない。そもそもそんなものなくても平気なように企画しているし、説明が必要なほど難解なイベントじゃない。ふらっと来てパパっと書いて、OK!だって全然いいんだ。

そもそも、前回までの参加者がそんなにみっちり説明を受けているわけでもない。前述の通り、説明会があったわけではないし、文書が2,3種類届いて流し読みして、参加してヒャッホイってなったっていうのが実情だ。
むしろ今回はわざわざ集まってもらったので申し訳ないぐらいのことである。

それと、今回オリエンテーションという形で集会を行ったのは、前回まであった当日講演の代替として、米光さんの記念講演を実施したかったという側面もある。当日審査がなくなったことで、参加者と審査員が同じ空間に集まれる機会も減ったわけで、少しでもそういった場を用意したかった、という側面も否定しない。米光さんの好意で時間を作ってもらえたのというが一番の理由ではあるけれど。そして、たぶんなんだけど、参加者の真剣さはそれを目の当たりにした米光さんを通して、審査員のみなさんにも伝わると思う。やっぱり現場で向かい合うって大事なんだなと。

惜しむらくは時間が足りなかったことか。どうしても他に日程が取れなかった関係で平日夜になってしまったけれど、土曜日に開催して3時間ぐらい時間を取ったほうがよかったようには思っている。それであれば、変更点以外の話もできた。今後の課題にしたい。

前段はここまで。本題に入ろう。
ある人から「なんのためにやるのか」と問われた。
なんのためなんだろう。この問いかけは参加者としてなんのためにやるのか。であるので、運営側としては「人それぞれでしょうね」としか答えられないのだけれど、それは無責任ではあるので、運営なりの回答を用意しなければならない。

ぼく個人の運営としてのモチベーションは、「継続と継承」である。前回からの継続。そして次回への継続。NovelJamというバトンを次世代にも届けたい。その橋渡しとしての自分がいると思っている。継承させたいのは苦労話ではない。試行錯誤を終えた完成形としてのNovelJamを渡したい。なので、私が担当する期間は、可能な限りいろいろなことを試していくことになると思う。課題は次々に生まれる。これは製品開発のシークエンスとしてはアタリマエのことだ。NovelJamという製品を世界に広めるために、今、継続して開発を行っているわけなのである。

誤解のないように付け加えると、開発途上の中途半端な企画をみなさんに押し付けようという話ではない。そうではない。今回実施する内容は、第4世代NovelJamとしては完成体である。絶対に必ず楽しんでいただけるNovelJamとして皆さんにご提供している。初代フィットが、最新型のフィットより不便だからといって、初代フィットが不良品ということにはならない。その当時はその当時でベストの企画であったし、今回は今回で、ベストの企画でお届けしている。ただ、どうしてもやってみないとわからないところはあるので、そこはお付き合いいただきますよということだ。なにごともトライ&エラーではあるが、全項目で成功すると思ってトライしている。エラー前提ではトライしないのであり、今回NovelJamも成功のためにさまざまなチャレンジをしている、ということである。

オリエンテーションで、5000円の収益もなかなか手元に届かないという話をした。正直なことを言うと、トップランナーは少し入ってくるぐらいにはなる。前回ぼくのチームは単価をものすごく高くしたので、当たり前だけど回収は早かった。第2回もまあそれなりだった。第1回も。ただし、これはぼくがBCCKSで他にも何冊も出していて、そことの合計金額で5000円を超えやすくなっているということなので、NovelJam参加作品オンリーの人が、なかなか現金化出来ないのは事実である。事実なので、事実として伝えたが、「お前は5000円も手に入れられない」と言ったわけではない。NovelJamの会場に来て、椅子に座って、ただ帰る。そうであれば、そいつに誰も何も与えてはくれないだろう。差し入れのお菓子を少し分け与えることしか、ぼくらにできることはない。

しかし。だ。NovelJamの参加者は、椅子に座るために三鷹に集まるのではない。差し入れのお菓子を食べるために参加費と交通費を負担し、貴重な休日を捧げて、そこに集まるわけではない。過去三回のぼくもそうだったし、今回のみなさんもそうであるだろうし、次回以降のまだ見ぬ人々も、そうであろうと思う。

じゃあ、なんのために?

そこがわからないのだ。やる前は。ぼくは3回出て、3回とも違った。3回とも終わってから「ああ、そのためだったのか」とわかる。3回もやっててそのザマなのに、これから始まるみなさんになんのためにやるのかなんて、答えられるわけがないじゃないか。

2週間後、それまで影も形もなかった22作品がいきなり誕生している。この光景は、結構くるものがある。それは3回やっても変わらなかった。それは保証できる。
そこで個々の参加者が、何を得たのか、何を失ったのか、何に気づいたのか。それはわからない。本当に「人それぞれ」としか言いようがない。過去の参加者の多くが、参戦記を遺している。受賞した者、手ぶらで帰された者。やるだけやった者。成果が出なかった者。手も足も出なかった者。すぐに忘れた者。さまざまだ。ただ、全員に共通することは、人生のその年の年表には、間違いなく「NovelJamに出た」という項目が追加されるだろうということだ。それがすべてなのかもしれない。

なんのために?

NovelJamに出るために?
2週間後、また読みに来てください。
そして、なんのためにNovelJamに出たのか、教えてください。

さて、だいたい1時間経ったので今日はここまで。
波野Pでした。もう寝る。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
波野發作
頭の上から足の先まで、本読みで物書き