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がんや糖尿病などを予防することができる食事とは何か


今、がんや糖尿病などの病気の予防に関する情報があふれています。

特に食事に関する情報は多くなっています。

食事は毎日とるものなので世間の関心が高いのもうなづけます。


食事に関しては、野菜や果物は今も昔もヘルシーな食べ物だと思われています。

タンパク質は魚やチキンがよいという話もよく聞きます。


一方で炭水化物は悪者にされがちではないでしょうか?

では肉はどうなのでしょうか? 

情報があふれているため、健康意識の高い人はがんや糖尿病などの病気の予防するために何を食べるべきか迷いがちではないでしょうか? 

医療はEBM(根拠(エビデンス)に基づいた医療)という概念があり、学会がガイドラインを作って標準的な診断や治療を定めています

栄養学においても、研究がすすんでいてエビデンスに基づいた情報が出てきました。

その情報の中には、「◯◯を食べるとがんや糖尿病などの病気を予防する」という情報の根拠として、「研究によると、○○を食べた人の方が××になるリスクが低かった」などとグラフを示している資料があります。


こういったデータをエビデンスといいますが、エビデンスには強弱があります。

1つの研究結果ではエビデンスは弱いのです。

最もエビデンスが強いのは、信頼できる複数の研究を取りまとめて解析した結果になります。

1つの研究では偶然だったかもしれないし、若い男性アスリートなど特定の集団にしか認められないパターンだったかもしれません。

しかし、複数の研究が同じ結果を証明していれば、それはかなり信頼できる情報であると分かります。

このような「信頼できるエビデンス」が最近食品でわかってきました。

詳しくは「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」を参照していただければと思いますが、ここではがんや糖尿病などを予防することができる食事について簡単にまとめました。



がんや糖尿病などの病気を予防する、健康に良いとは何か

ここでいう「病気を予防する」、「健康に良い」とは、「動脈硬化が進んで脳卒中や心筋梗塞になってしまったり、糖尿病になってしまったり、がんになってしまう確率が低くなる」という定義です。

数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良いと現在考えられている食品は以下の5つとなります。

①魚
②野菜と果物(フルーツジュース、ジャガイモは含まない)
③茶色い炭水化物
④オリーブオイル
⑤ナッツ類

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』より引用


このうち③の「茶色い炭水化物」とは、玄米やソバ、全粒粉を使った茶色いパンなど、精製されていない炭水化物です。


逆に、健康に悪い(=脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、がんなどのリスクを上げる)と考えられている食品は以下の3つとなります。

①赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)
②白い炭水化物
③バターなどの飽和脂肪酸

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』より引用

つまり、白米や小麦粉を使った白いパン、うどんといった精製された炭水化物、牛肉や豚肉、バターは避け、玄米や全粒粉を使ったパン、蕎麦、魚、野菜、果物、オリーブオイル、ナッツなどに置き換えばいいのです。

白米は摂取量が少なければ少ないほど、糖尿病のリスクが低いと報告されています。

また、じゃがいもは逆に「白い炭水化物」に含まれています。

このような食事をすると、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、がんなどの病気を予防し、健康を維持したまま長生きする確率を上げることができます。


ちなみに、健康に良いかもしれない食品に分類されている(少数の研究で健康に良い可能性が示唆されている)のは、


ダークチョコレート、コーヒー、納豆、ヨーグルト、酢、豆乳、お茶

健康に悪いかもしれない食品に分類されている(少数の研究で健康に悪い可能性が示唆されている)のは、

マヨネーズ、マーガリン

だそうです。

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』より


気になる方は「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」を読んでいただければと思います。


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さらに、参考になる情報の一つがハーバード公衆衛生大学院で作成された「健康的な食事プレート」です。

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健康的な食事プレートは、ハーバード公衆衛生大学院の栄養学専門家とハーバードヘルス出版の編集者によって作られた資料で、健康的でバランスのとれた食事をするために作成されました。

健康的な食事プレートについてのさらに詳しい情報は、ハーバード公衆衛生大学院栄養学部の栄養ソース(The Nutrition Source)、 http://www.thenutritionsource.org とハーバードヘルス出版、 health.harvard.eduを参照してください。


野菜と果物をできるだけ多くする-プレートの2分の1

色があり種類が豊富になることが大切です。

ただし、じゃがいもは血糖にあまりいい影響を及ぼさないので避けましょう。

野菜を多く摂取することは、収縮期血圧、拡張期血圧ともに減少すると報告されています。

さらに、果物の摂取は2型糖尿病のリスクを低下すると報告されています。

特にブルーベーリー、ぶどう、りんごの摂取は2型糖尿病のリスクの軽減に強く関与している可能性が示唆されています。

糖尿病の予防に良いということです。


全粒穀物を選ぶ-プレートの4分の1

全粒穀物とは全粒の小麦、大麦、雑穀、玄米、またそれらから作られた全粒粉パスタなどの食品のことです。

全粒穀物は精白パン、白米、他の精製された穀物に比べて、血糖やインスリン分泌への影響が比較的軽度だといわれています。

全粒穀物には胚乳、胚芽、表皮の3つの部分があって、それぞれに健康に良い栄養素が含まれています。

しかし、全粒穀物を精製すると胚乳のみが残ります。

つまり、精製された穀物には栄養素が豊富な胚芽や表皮(ふすま)が除去されてしまいます。

平均1日2~3回分の全粒穀物を食べた人は、ほとんど食べなかった人よりも2型糖尿病を発症するリスクが30%低くなると報告されています。

さらに、一部の白米の代わりに玄米を食べると、糖尿病のリスクが36%低下する可能性が報告されています。

全粒穀物も糖尿病の予防に良いということです。


タンパク質のちから-プレートの4分の1

魚、鶏肉、豆、ナッツ類はすべて健康的なタンパク源です。

赤肉をあまり食べないようにし、ベーコンやソーセージなどの加工肉の摂取を控えましょう。

赤肉は豊富にタンパク質が含まれていますが、飽和脂肪酸も多く含まれています

食事によって健康に良くない栄養素も含まれている場合があるのです。

筋肉をつけたい人は、赤肉をたくさん食べたいと思われるかもしれませんが、健康への影響を考えると他のタンパク質の食事とバランスよく食べることが大切です。


健康的な植物性油-ほどほどに

健康によい植物性油には、オリーブ油、キャノーラ油、大豆油、コーン油、ひまわり油、ピーナッツ油などがあり、これらを選びましょう。

半硬化油は体に良くないトランス脂肪が含まれているので避けましょう。

低脂肪であれば健康的だという認識は間違いであると念頭に置いて下さい。

マーガリンは健康に良くないトランス脂肪が含まれており、牛脂などの動物性脂肪には飽和脂肪酸が含まれています。

トランス脂肪や飽和脂肪酸は健康に良くない(がんのリスクが高まる)と知られているため、多く取りすぎることは避けましょう


水、コーヒー、お茶を摂取する

糖分入りの飲料は避け、牛乳や乳製品は一日当たり一、二杯におさえ、ジュースは一日あたり小さいコップ一杯にしましょう。

砂糖を加えたソーダやフルーツジュースは体重の増加とともに2型糖尿病、痛風などのリスクを高める可能性が報告されています。

逆に甘い飲み物の摂取を減らすと体重の減少、2型糖尿病のリスクを低下させると報告されています。

スポーツドリンクは1時間以上のトレーニングを行う人が炭水化物、電解質、および水分を摂取するように設計されています。

そのため、通常時にスポーツドリンクを飲むと過度な糖の摂取につながります



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以上、がんや糖尿病などの病気の予防ができる食事についてまとめました。

ただし、注意してほしいのは、加工肉、赤い肉、白い炭水化物などは「健康に良くない(がんや糖尿病などのリスクが高まる)」と説明しているのであって、「食べるべきではない」と主張しているのではないということです。

例えば、ケーキが好きな人がケーキを全く食べないと、人生が全く楽しくなくなってしまいます。

健康を考慮しつつ、好きな食品を少し食べるという食事もありうると思います。

何を食べるべきかメリットとデメリットを考えた上で、選びましょう


日常の薬剤師業務体験や生活体験をもとに記事を書いています。 よろしければサポート頂けたら嬉しいです。