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ピンクの髪は「むしろ全部ピンクでもいい」と 拍子抜けするほど好評で 私と似ているあなたの瞳は まごうことなき愛に溢れており うっかり飛びついてしまったまるい背中は やはり磁石のように吸い付き私を癒し あなたが淹れてくれた珈琲は 過去最高級の愛の味がした 相変わらずなんで好きなのかは皆目わからないのだけれど 私が惚れた手は相変わらずセクシーで 1.0倍速の穏やかな時間の中 変容した私の愛があなたを包む あなたをこれからもずっと愛すると伝えた でもそれは私の宇宙
よく言い合ったのは 「お互いが好き同士なんてすごい確率だよね」 例えば1クラスで両思いの確率は400分の1という 私がこれまで出会ってきた男性は何人だろう 出会いは少ないけど割と惚れっぽい その中でここまで惚れた男はあなたただ一人 あなたは仕事柄毎日たくさんの人と出会うけど 滅多に恋することはない その中でここまで惚れた女は私一人と言う そんなことがあるのだろうか そんな一人と一人が出会い、惚れ合うなんてことが? 私の人生分の1 × あなたの人生分の1=??? 40
10年前 あなたの祈りに導かれ 私はあなたの前に現れた それは疑うほうが難しいほどのタイミングで あなたの祈りに明確に 私が呼応していた それからはずっと友達で 何も起こらなかったけれど 近くにいることに意味があったのだろうか 今度は私の祈りにあなたが呼応した あのはじまりの夜は 明確に私が呼びよせたもの そして今 私たちは離れ離れになった これはどんな祈りによるものなのか 私はあなたの本当の幸せを祈った 私はわたしの本当の幸せを祈った (あなたは何を祈ったのだろう
会える予定だった日に 都合が悪くなり別の日にしてくれと あなたからの連絡 自分の思いがけない落胆ぶりに どれだけ楽しみにしていたかと思い知る どれだけあなたを好きなのかを思い知る ただ、待つ じっと、待つ 電話では、だめだから 顔を見て伝えたいことがあるから やっぱりこれからもあなたを ずっと愛していると伝えるため あなたに会いに行く どうなるかわからなくて怖いけれど 前に進むため 会いに行く
私の中の愛が変容しようとしている 彼にだけ向けられていた愛が 彼も私も含め 私の周りへ大きく広がってゆく 自己は反比例するように小さくなり 暴れ回っていたエゴはまだ時々顔を出すものの 次第になりをひそめていく 愛は穏やかに拡がり続け 彼に向けてだけ残るのは 恋心 恋と愛は明確に別物だ しかし、本物の恋が、本物の愛への扉を開くのだ これからも私は彼に恋をし続けるだろう たとえ一緒には居られなくとも その愛しい肌に触れられなくとも 彼に恋焦がれることそのものが 私の生き
大好きな人がこんな言葉を教えてくれた 「さよならを言うのが辛い何かがあるなんて、ぼくはなんて幸せなんだろう」 そうね、そうなのかもしれない 別れがここまで辛く苦しい人と出会えたこと それは それだけの幸せがあった裏返し この人生でかけがえのない人と出会えた証 何に目を向けるのかは 完全に自分の自由だ 失ったものに目を向け 悲しみに暮れるのも 豊かに在ったものに目を向け 感謝を送るのも 「辛」に一本足せば「幸」 上に目を上げ 「ある」と一つ足せば 裏表はひっくり返
新幹線に乗ると思い出すのは あの一駅のランデブー 在来線で30分の距離を あえて新幹線に乗り 一区間 「こんな無駄も楽しいでしょ」って 子供みたいな顔 私はもう 恋に落ちていて きっとあなたも 落ちていて 二人見つめ合い 手を重ね 永遠に停まらないでと願う 無慈悲にも最速の鉄道が あっという間に私たちを運ぶ 恋の始まり 絡まる指 交わる目線 とろけるように熱かった 一区間
古書店で何気なく手にとった詩集 ビビビと来て即購入 詩を読まない私が 唯一好きだと思った詩が 載っている詩集 後日あなたに話したら あなたも同じ詩集を持っていると いくらあなたが読書家だからといって この世に万とある本の海の中 同じ詩集を偶然求めるなんて しかもこんなに狭く小さな古書店で まるであなたにビビビと来たみたいで 気持ち悪いような すこし嬉しいような そしてそんな二人が睦まじくいるためには 今となってはいったい 何をどうしたらいいものやら
なんだか気分を変えたくて 髪の一部をピンクにした 地味コンサバ好みのあなたはきっと嫌うだろう 明るいピンクのハイライト 見た目は心に驚くほどに影響する 自分は好きなことを好きなようにやる人間なのだと 見た目が心を補完する 少しだけ心が強くなる これまでファッションとは 自分に似合い 美しく見え 心地よければそれでよいと思ってきたけれど この歳になって初めて気づいた 見た目を変える面白さに もっと自分を自由に表現していいということに これも失恋の効用 失うものもあれば
あなたを想うと 苦しくて切なくて こうやって想う時間もまた不毛だと 何も生み出さない不毛な時間だと そろそろ つくづく うんざりする 身体もまた あなたを求め 苦しくて切なくて 無限地獄を彷徨う あなたの長い指 少し歪んだ顔を求め むろん叶わず 引き裂かれる 身も心も エゴを捨てられない小さな自分に 辟易する あなたを求めたとて もしも復縁できたとて あなたは私のものならず 私もあなたのものならず なれば何故求め合うのか 男と女は何故惹き合うのか 手に入らないものを
大きな川が好きだ 大きな川の河原はいい 空がどでかく広がり 風が大きく吹き抜け 水面はきらきらと輝き 人々は健康的だ 傷心のひとり旅 知らない町の大きな川のほとりを歩く 大きな川は 地元の人も旅行者も分け隔てなく優しく包む 大きな川と大きな木 それが近くにあれば 私は大丈夫だ きっと何があっても 生きてゆける 私はこれからも 大きな川と木のそばに住む そこにあなたが居ればもう何もいらないと まっすぐに 馬鹿みたいにまっすぐに 思っていた
好きなものがそっくりだった私たち 私が「○○が好き」と言うと 「それは俺の方が好きだ」と たちまち謎の張り合いが始まる 好きなおでんの具 好きなスイーツ 好きな家具…etc. また同じだね!とそろそろそれにも慣れた頃 嫌いな食べ物のない私が珍しく 「グミが嫌い」と言うと 目を丸くして「俺も」と言ったのには、笑ったね 嫌いなものまで同じかよ!って ついつっこんでしまった 近くて遠い日の思い出
さみしくて さみしくて さみしくて 何度も開くLINE まだ既読がつかない 送ったのは10時間前 忙しい彼はいつもなかなか既読がつかず 私は何度もチェックしてしまう 彼の世界では それは単に忙しいだけ 私の世界では それは私に興味がないという意味 だって私なら 好きな人からの連絡は常に気にする だって私なら どんなに忙しくてもトイレの合間に確認する だって私なら… 私なら…… それは「私の」ものさし 彼のじゃない それをしばしば忘れ 勝手に思い込み 落ち込む ただ
いいおみやげを見つけたんだ、と 出張帰りのあなたからのLINE ああ、早く渡したい、と言いながら 「最高のお土産なんだ」 「これしかないと思った」 「君そのものだと思った」と 自ら上げ続けるハードルに やや心配になる私 サプライズができない性格 子供みたいね 実際にもらったおみやげは本当に素晴らしいもので 高さMAXになったハードルを楽々超えてくれたので 大袈裟に喜ぶ心づもりをしてた私は 安堵いたしました 中身はなくなったけれど 瓶は大切にずっと持っている 「私そのも