疾走ワアド

 つい昨日、と言うか時間肌感覚的にはついさっき、じん(自然の敵P)さんがカゲロウプロジェクトの新作曲「失想ワアド」を投稿した。

 私の中で「失想ワアド」の曲解が疾走ワアドしててヤバい
(以下、Twitterでの自身のつぶやきのコピペに少々加筆加えただけ)

 この曲は、じんさんを中心とするクリエイターらによって展開されたオリジナルの世界観とそれに掛かるストーリーを描いた作品群「カゲロウプロジェクト」に連なる楽曲作品の一つであり、これまでの楽曲と同様に同プロジェクト内のキャラクターをフィーチャーした内容の作品である。今回フィーチャーされたのは「木戸つぼみ(愛称:キド)」。彼女がどういったキャラクターなのかは、実際に「失想ワアド」を聴いて想像してみてほしい。
 しかし、なんと言うか、今回発表された「失想ワアド」という作品は、単純に「カゲプロの続編」「木戸つぼみの歌」というだけではない気がする。あれはじんさんがボカロと向き合って色々なことを考え抜いた結果で、その想いが詰まった曲な気がする

 例えば、歌詞の中でわざわざ「未来」というワアドを強調して使う理由。それは「ミク」へ還す原点回帰的な思想があって、実際に曲も初音ミクが使われているのもそういうことなのかなと思う。

 カゲプロファンには言うまでもないが、カゲロウプロジェクトは「ヘッドフォンアクター」以降は「コノハの世界事情」でのミク・IAのデュエットを除いてIAが歌っている。逆に言うと、カゲロウプロジェクトも始まりは初音ミクであった。

たどり着いたのは「未来」で
そう、色めくような世界で
大人になっていく私は
変わり続けていく
変わらない想いを
大事に抱いていく

「未来」は「未来(現在)」と「ミク(原点回帰)」のダブルミーニング
「私」は、じんさん自身のこと
大人になるという変化と、音楽や創作に対する想いの大切さに気づき抱いてく

 このじんさん自信の”変化”については「『カゲプロ』作者じん ロングインタビュー 「大人を喜ばせてもしょうがない」 - KAI-YOU.net」で語られている。

 また、ボカロの特性であるところの「歌声」に特化した存在という点と、木戸つぼみというキャラ自身の性格でいうところの「声」にして伝えられないという相反した組み合わせが、今回じんさんの復活曲、原点回帰曲として最初に表現されたというのも凄く感慨深いものがある


 投稿から数分後、じんさんは改めてコメントを添えて、次のように「失想ワアド」を再びツイートしている。

"「普通なこともできない」って言われ続けた先でこの曲に会えて良かった。"
この発言って完全にじんさんのもので、曲に対してメタ的な視点であって、だけどこの「普通なこともできない」って曲の中のワアドで「「普通なこと」が難しくて」というように歌われていて、それってやっぱり曲の中にもじんさんがいるってことになるんじゃないのかな

 「失想ワアド」は「カゲロウプロジェクト」の作品であり、「木戸つぼみ」というキャラクターの作品であり、そして「じんと初音ミク」の作品だった。
 いつかカゲロウプロジェクトは「ボカロ曲ではない」と言われ、そしてじんさんは「ボカロPではない」と言われた。ただそれは別に貶して言っているわけではなかったし、また「カゲロウプロジェクト」という作品の特質を考えれば決して間違った指摘でもなかったのも確かだ。
 だけど今回の作品は、時間を経て成長したじんさんなりの、そしてカゲプロなりの「ボカロ曲」になっていたように想う。今回の作品にはカゲプロへの想いと同時にボカロへの想いも、失わないようにとワアドにして織り交ぜた作品だった。あの頃走り去った作品は「カゲプロ」だったけど、今回のカゲプロはボカロに戻ってきた、そんな気がする作品だった。素晴らしい作品だった

 「失想ワアド」を聴いてみればわかる通り、この曲は希望に満ちた曲だ。「未来」について最終的に希望を持っている。じんさんはこれからカゲロウプロジェクトをニコニコ動画で、ボカロで再始動させようとしている。それも「未来」に希望を持って ――

 時を経て確かに成長したじんさんが、カゲロウプロジェクトとボーカロイドへの変わらない想いを大事に抱えながら、これから聴かせてくれる「ワアド」はどんなだろう?「最高のメロディのフルコースを準備してるから、お楽しみに。」だって......。どうやら「未来」への希望どころか自信まで満々なようだ

 これからのカゲロウプロジェクトが、そしてボーカロイド音楽が楽しみ過ぎて大変だ。お陰様で私は昨日の今日、2時30分までこの熱をnoteにまとめる作業で眠れなかった。それもこれも、次のお誘い文を、あの夏に日に一緒に熱に当てられていたみんな宛てに出したかったからだ


”みんなで笑いあったあの秘密基地に、もう一度集まろう”


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?