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伝書鳩パーティー【毎週ショートショートnote】

「ねえ、おばあさん。私もパーティーに行かせて!」
「パーティーだって?あれは伝書鳩の集まりだよ。ただの鳩じゃ行けっこないさね」
「何よ、あんた魔法使いでしょ!」

鳩は魔法使いをひどく突つき回した。

「ひいっ、やめとくれ!」

仕方なく魔法使いが杖を振ると、鳩の姿は堂々たる体躯の伝書鳩に早変わり。鳩は上機嫌で城へ出向いた。

城の大広間は伝書鳩で溢れ、くるっくほーと賑やかだ。
しれっと紛れ込んだ鳩は、すっかりセレブの気分だった。

突然、壁の鳩時計が十二時を打った。
伝書鳩でいられる魔法が切れてしまう。
慌てて窓から飛び立ったものの、どっちに向かえばいいのやら。
うろうろ迷っていると、城の衛兵に見咎められた。

「何をしている!」
「あの、家の方向が判らなくて……」
「伝書鳩なのに家が判らないだと?さてはただ鳩が身分を偽って入り込んだな?」

衛兵は青ざめる鳩をがっちり掴むや、にやりと嗤った。

「ちょうど大広間の鳩時計を交換する時期でな。毎日パーティーに参加できるぞ。嬉しいだろう?」


(426字)ちょっとオーバーしました


【あとがき】
伝書鳩(レース鳩)は、品種的には普通の鳩(ドバトなど)なんだそうですが、やはり体格が良く、翼や足もしっかりしていて、何より飛翔能力や帰巣本能が通常の鳩とは桁違いなんだそうです。
子供の頃、憧れたなあ。大人になってからは『ハリー・ポッター』のふくろう便が真剣に羨ましかったです(笑)

シンデレラをちょっとモチーフにしましたが、古いお仲間ならこちらを想像された方もいらっしゃるかも。

*この記事は、以下の企画に参加しております。


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