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朝の逆転【毎週ショートショートnote】410字

日曜の朝は近所のファミレスでモーニングを食べるのが、俺のささやかな楽しみだ。だが……

「ちょ、何これ!」

目の前に置かれたのは、てんこ盛りの唐揚げ定食。
「え?モーニングのレギュラーですよね?」
変なヒト、という顔で店員はさっさと離れていった。

翌日の月曜、今度はホメダ珈琲のモーニングが巨大なはみ出しカツサンドになっていた。どうやら馴染みの牛丼屋も、朝定食が牛丼セットになったらしい。
まるで朝メシと夜メシが逆転したみたいだ。

駅に向かうと、いつもは満員の電車がガラ空き。
首を捻りながら会社に着くと「おはよう!お疲れ様でした!」と早々に終業。
メシだけじゃなく全てが逆転したのか。

思わぬ休みに家でゴロゴロしていると、あっという間に日が暮れた。
ああ、今日は月9ドラマの日だ。カップ麺をすすりながら『ミスなか』を観始めた時、突如電話が鳴った。
会社から?
訝しみながら出ると、上司の怒声が炸裂した。

「おまえ何してるんだ、始業は夜9時だろう!」


* この作品は、以下の企画に参加しております。



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