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痛ましい事件が続く。

詳細に関しては遺族の意向に従うとして。JRA側としても対応に困った事態だったんじゃないかと推測します。

筆者としても「なんでそんなことしたんやろ?」と思いますが、それはもう永遠に闇の中で知りようがありませんし、自分が納得したいがために遺族が「そっとしておいて欲しい」と言っていることを詮索する立場ではない。JRAは原因をよくよく調査して、メンタル不調が原因ならしかるべき制度を導入するべきだと思いますけどね。

しかしながら、私は騎手だけでなく、競馬に関わる人を応援したい人なので、今回の件で函館競馬場の警備について、最低限のことを、よく知りもしないのに「ゆるすぎる」と攻撃されているのをみると、いささか気分が悪いです。

なので、別に誰の目に触れるわけでもないでしょうけど(公開記事ですが、広く発信しているわけではないので)、気持ちが収まらないので書いておこうと思います。

根も葉もないことから、地元の競馬場が邪推されるのは悲しい。

もちろん、私が書いてあることが全てではないですけど…。


函館競馬場の施設は競馬場+トレセン(トレーニングセンター)

府中とか淀とかのいわゆる本場じゃない北海道開催はある意味で特殊。6月半ばから7月半ばが函館開催で、7月半ばから8月の終わりまでが札幌開催。この期間、JRAの本拠地がある美浦・栗東から馬が函館へ輸送されます。

なぜならば、競馬の開催に合わせて頻繁に輸送するとコストが掛かるのと、馬にも負担がかかります。もちろんスタッフ等の人間にも。

なので、函館競馬場には函館競馬開催のおよそ1カ月~半月程前から、厩舎関係者と馬が到着し始めます。

函館競馬場の敷地内には、レースコース・観客席・コース内公園などの競馬開催に関連する施設のほか、馬が滞在する厩舎地区と厩務員住宅、それから騎手が滞在する調整ルーム兼宿泊施設があります。他にも獣医・診療所だったり、誘導馬の厩舎、誘導馬が訓練したり地元の乗馬少年団が練習するドームみたいなものとかもあります。googleマップでみればわかることですけどね。

競馬場施設内へ通じる入口はいくつかありますが、その全てに24時間守衛がたち、通行は厳重な管理がされています。また、真夜中も数時間おきに施設全体をガードマンが複数人チームで巡回しています。

加えて、もちろん監視カメラ、セコム等の防犯設備がありますし、競馬場の周りには高層マンションや市営住宅、入院設備のある総合病院が囲んでおり、夜中に馬場内で明かりがついていたり、進入があると目撃されやすいかと思われます。

レースコースの直ぐ側に調整ルームがあり、眼の前に駐車場がある

競馬場のウィナーズサークルの奥には調整ルームがあり、そこに騎手たちは夏の間滞在する人が多いようで、その建物の眼の前には駐車場があります。馬場にも救急車やその他の「働くクルマ」が入れるように、ガードレール的についているラチは取り外し可能です。

北海道開催の間の平日は、競馬場ではなく「トレセン」であり、その馬の世話をする人々の生活施設なので、生活する人と馬の利便性を考えた施設設計になっています。

よって、調整ルームの前にはジョッキーたちの駐車場があります。ジョッキーたちは車で競馬場とその外を行き来しますが、前述の通り施設に入るには守衛さんのところで受付が必要です。これは、ジョッキーだけでなく、厩舎スタッフや調教師も同じです。

車を施設内に入れてしまえば、馬場まで車で行けますが、一般的に常識的な感覚であれば、馬場に車で侵入するなんてことは誰も考えないので監視カメラぐらいは付いているでしょうし、施錠してあるところを無理やり開けない限りはアラートも鳴らないでしょう。

じゃあ、関係者が馬場に地雷を埋め込めるじゃないか!

という意見もどこかで見ましたが、前述の通り競馬場の周りには高い建物もあり、また、監視カメラもありますから、すぐバレてしまいますし、バレてしまえば最後、そこそこ美味しい職業であるJRAの仕事を失うわけですから、常識的にあんまりやらないでしょうね。一般人が忍び込んだとしても、すぐにアシが付くでしょう。

開催日であるならまだしも、非開催日にまでジョッキーを管理・管理にしてしまうのは人道的に問題があるでしょうし、例えば駐車場を競馬非開催日は来客用の駐車場にする・・・というのも高級車を持ち込むジョッキーも多いことから危険ですし、反発が起こりそうです。

では、非開催日の夜は、馬だけを函館競馬場に残し、その他のスタッフ・騎手は函館競馬場の立ち入りを禁ずる…となると、今度は夜飼や朝3時頃から調教をつける人(これは全員ですね)が困りることになります。

函館競馬場の警備は手薄どころか、あれだけ広いですけれど結構ちゃんと監視されています。競馬場の眼の前に交番もありますしね。

JRAはきっちりした組織(だってお役所だから)

JRAも組織として私のような下々のものに対しては、かなりきっちりとした組織であり、WINSとして機能する土日や、公開調教が行われる日などは、朝も早からしっかりとスタッフを動員し、また、一般人が施設内の余計なところに立ち入らないように目を配っています。暴れた日にゃ即通報・取り押さえです。

決して函館競馬場の警備体制がオカシイから、大河くんが車で馬場に進入したわけではないのです。

警備を責めるべきとするならば、仮定の話ですが、同乗者が一般人で、競馬場に大河くんが車で戻ってきた時に何らかの方法で隠れて侵入していた場合です。しかしながら、このことは何も明らかになっていないので、明らかになっていないことをベースに責めるのは道理ではありません。

自分も例に漏れずいい加減な人間ではあるので、偉そうなことは言えないのですが、信頼をベースに社会は構築されている部分もあるので、大河くんはその信頼をベースとして構築されたシステムを侵して欲しくなかったですね。公共の福祉的な部分が崩れてしまいますから。

おまけ

ちなみに、守衛さんといえば、コロナ禍の時は本当に門限が厳しかったようで、外に食事に行っていても、夜7時半だか8時には競馬場に戻らなければ始末書問題に発展するような話になっていたとか。

たまに筆者が外食をしていると、慌てて「すみません!門限があるので注文したご飯が出てきてないんですが、もう帰ります!代金は支払います!おいくらですか?」というようなやり取りも耳にしたことがあります。

コロナ禍で競馬を続けていくために、関係者の並々ならぬ苦労があったことを間接的に知っています。(なぜ競馬を続けて行く必要があるのか、は別の話なので今は書きません)

小さな町で暮らしていると、この時期500人くらいは人口が増える(もっと多いかも)ので、繁華街へ出ると関係者とすれ違ったり、時には知り合いになったりすることもよくあります。

じゃあ、馬券に有利な情報が流れてくるんじゃないのか!?と思う人も多いかと思うのですが、実は全くそんなことはなく、さすがお役所JRAのスタッフですよ。知り合いになったとしても、競馬に関して、スポーツ新聞にでてくるような情報以上のことは話しません。

少なくとも自分の周りにはそういう話を聞いた人、話した人はいません。また、「友人・知人」として付き合っていく時に、そこを聞き出すのはマナー違反だと思っているので、自分も聞きません。

某源氏パイさんや、元地方騎手のやり方は本当に残念です。何でもかんでも真実が「即座に」明らかになったほうが良いかといえば、決してそうではないでしょう。遺された人々にとって、人生は続くものだから。

同年代の身近な人の死は、仲の良さに関わらず重く心にのしかかるものです。中学の時に1人、大学の時に1人、亡くしています。遺された関係者の心が癒えますように。

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