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世界を救う伝説のクリスマス・ソング

クリスマスを知ってるか?

今年もクリスマスがやってきました。
この時期の定番ソングといえばやっぱり5年連続“全米シングル・チャート1位”を獲得しているマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(94)ですね。
この曲はチャートイン総週63週目となり、首位を獲得した時点でのチャートイン総週の最長記録になるそうです。

しかし
今回ご紹介するのはこの曲がリリースされる10年前に発表された曲。
バンド・エイドによる「Do They Know It’t Christmas?」(84)です。
この曲はアフリカ(エチオピア)の飢餓問題に対するチャリティー・ソングで、当時のイギリス、アイルランドのロックやポップスのトップ
・ミュージシャンが集結して収録が行われました。
このアイデアはみなさんご存知「We Are The World」の先駆けとなりました。

もちろん日本にいるみなさんはクリスチャンであるかは置いておいて、クリスマスの時期を楽しんでいるでしょう。
一方で、明日を生きれるかもわからない人々にとって、クリスマス(楽しい時期)とは。
「Do They Know It's Christmas」はそんな疑問を投げかけ、多くの人々に救済を呼びかけました。



Band Aid(バンド・エイド)

プロジェクトの発起人はブームタウン・ラッツのボブ・ゲルドフ
ミッジ・ユーロ(ウルトラヴォックス)と共に曲を書き、デヴィッド・ボウイやポール・マッカートニーなどの重鎮的ミュージシャンや、U2のボノやスティング(ザ・ポリス)らが参加しました。
この曲の画期的であったところはレコード会社やマネージメントを飛び越えての参加を可能にしたことでした。

(ちなみにクイーン(フレディー・マーキュリー)の人生を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディー」のラストでも有名な「ライヴ・エイド」もボブ・ゲルドフの功績です。)


バンド・エイド(84年)参加アーティスト

Adam Clayton, Andy Taylor, Bob Geldof, Christopher Allen, Dennis D.T. Thomas, Francis Rossi, Gary Kemp, George Michael, Glenn Gregory, Gordon Sumner, J.T. Taylor, Jody Watley, John Keeble, John Taylor, Johnnie Fingers, Jon Moss, Keren Woodward, Marilyn, Martin Kemp, Martyn Ware, Midge Ure, Nicholas James Bates, Patrick Cusack, Paul Hewson, Paul Weller, Paul Young, Peter Blake, Phil Collins, Rick Parfitt, Robert Kool Bell, Roger Taylor, Sarah Dallin, Simon Crowe, Simon Le Bon, Siobhan Fahey, Steve Norman, Tony Hadley

Discogs

ポール・マッカートニー、デヴィッド・ボウイはメッセージコメントで参加


この曲の中でも僕が(多分多くの人も)好きな歌詞が
"Well tonight thanks God it's them instead of you" <それ(飢餓の犠牲者)が君ではなく彼らだったことを神に感謝しよう>
という部分。

当時は歌詞を担当したボブ・ゲルドフに対して、共にプロデュースをしたミッジ・ユーロがこの歌詞を採用するのに消極的でしたが、ボブ・ゲルドフは本音を伝えたいと押し切ったそうです。

やはり相当な想いで書かれたこの一節には心にくるものがあります。

そして、この部分はDo They Know It's Christmas?の象徴的なものとなりました。
バンド・エイド20(後述)ではこの部分を誰が歌うか?問題があったそうですが、ロビー・ウィリアムズによると、オリジナルでこの部分を歌ったU2のボノが
「みんな、あのパートを歌いたかったんだ。でも、みんながエゴを丸出しにする前に、ボノがこう宣言した。“あれは俺のパートだ。俺がやる。他の奴らは引っ込んでろ!”それで話は終わったよ」
と『The Sun』紙に話したそうです。


終わらないムーブメント

エチオピアの深刻な飢餓問題に対して1984年に発足したバンド・エイドは5年後にバンド・エイドⅡとして、2004年にはバンド・エイド20として新たな世代に受け継がれています。

そして2014年にはバンド・エイド30としてエボラ出血熱の支援を目的に新たに再結成されました。

ワン・ダイレクションやエド・シーランなど2010年代を代表するポップ・アーティストに加え、引き続きボノが出演しているのが感慨深いですね。



〈参考〉

・Apple Music

・西寺郷太.『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』. 新潮文庫. 2012

・Ako Suzuki."U2のボノ、「あのパートは俺のもの」".BARKS Japan Music Network. 



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