沖縄で「できちゃった婚」が多いのはなぜか?


 沖縄は、やはり特徴のある地域です。国内1位と47位が極端に多い県も珍しいのではないでしょうか。

 有名なのでいうと「離婚率」。しかし、それはまた別の機会に。

 統計ではでてこないのですが、「できちゃった婚」が多いのは、ほとんどの沖縄の人が感じていることです。なぜなら、

1. 中学、高校の同級生にかならず複数いる。
2. 大学生なると毎年かならず友人のだれかができちゃった婚をする。
3. 結婚式・披露宴で「子連れ」が珍しくない。(おなか大きくなっちゃたので、子どもを産んで落ち着いてから披露宴しよう!が多い)

なんてことがあるからです。

では、なぜ、「できちゃった婚」が多いのでしょうか。

答えは、
「それが沖縄の伝統だから」

近世から近代、地域によっては戦後暫くまで、沖縄の村落では、ほとんどが「村内婚」でした。同じ集落の人としか結婚してはいけないのです。そういうムラの掟があったのです。

だから、現在の80代以上は、同じムラ(集落)出身の夫婦が多い。

 お互いの親が結婚を決める「いいなずけ」みたいなこともあったそうですが、沖縄のムラでは、基本的に「自由恋愛」。

 沖縄のムラには「もーあしびー」というのがあり、仕事が終わった夜に、海岸などで若い人たちが集まり、三線ひいて歌を歌って楽しんでいました。要するに合コンです。

そこでは、三線と歌が上手い男がもてたらしいのですが、まあ、そうなりますよね。歌って踊れない私は、現在に生まれてほんとうに良かったと思います。

その名残が、エイサー。

エイサー踊る勇壮な若い男の子はカッコいい。それに女の子が惚れてしまって。カップルの出来上がり。今も昔も沖縄は変わらないかもしれません。地域差は大きいですが。
ちなみに、私は若い女の子に、「エイサーで好きになったらだめだ」と言っています。
エイサーがうまい男子はカッコいいけど、エイサーの社会に生きている男たちです。すなわち、

「えー、やーよ。イナグと俺達、どっちがだいじだばー」(おい、お前、女と俺達どっちが優先なんだ。もちろん、俺達だよな)

の世界。先輩後輩の関係が絶対で、彼女はそれ以下。それは結婚しても続きます。先輩に飲みに誘われたら絶対にことわれません。

 もーあしびーを続けているうちに、自然にカップルができ、みなと行動を別にする。共同体なので、プライバシーはありません。誰と誰が付き合っているかは、公然の秘密。

 昔は、沖縄だけではなく、日本各地に「夜這い」というものがありましたが、相手はだれでもいいというわけではありません。第一、いくら昔とはいえ、戸締りしていている狭い家に夜中に侵入できるはずがないではないですか。

 ようするに、「今晩行くからね」「うん」という合図があり、彼女がカギを開けてまっているのです。

 そうこうしているうちに、子どもができます。

 それも、共同体社会なので、すぐに皆に知れ渡ります。こどもができたので、親に報告して、親がそれを認めて、というより、付き合っているのはとっくに知っているし、そろそろだよなあ、なんて思っていたので。

 そこで、自宅で、ニービチ(結婚式)のお祝いをするのです。今でいうなら、人前結婚式。
 沖縄の伝統的な家は、宴会するために便利なようにできていて、部屋と部屋のあいだのふすまや障子を取り外して雨戸をはずせば、庭とつながり、100人くらい来ても大丈夫なような宴会場になります。

 ということで、近世から戦後しばらくまで、沖縄は、もーあしびー⇒かっぷるができる⇒こどもができる⇒結婚式、が珍しくなかったのです。
 その伝統は、現在でもしっかり続いているようです。良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが。

ちなみに、分かりやすく面白くするために、少しだけ誇張して書いてます。でも、実は、近世近代の日本の農村も本質は同じなんですよね。似ている風習はたくさんあります。

ただ、本土の場合は、農村における階層差が歴然としているために、同じ階層の家の人と結婚します。名主は名主と、小作人は小作人と。だから、村を越えて遠くのムラにお嫁に行くことも多かったのです。そのあたりが、沖縄のムラとは違いますよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?