見出し画像

YouTube無償ライブ上演を経て【舞台芸術を未来に繋ぐ基⾦=Mirai Performing Arts Fund】の賛同人になることを選択した理由

新型コロナウイルス感染症被害対策:舞台芸術を未来に繋ぐ基金Mirai Performing Arts Fund 早分かりサイト

新型コロナウイルス感染症被害対策:
舞台芸術を未来に繋ぐ基金=Mirai Performing Arts Fund

2人のプロの役者、カメラマンに18日間全力を尽くしてもらってのYouTubeでのライブ上演を終えて、疲れも全く抜けないままこちらの賛同人になるご連絡をしました。

これは私、菅野彰個人の意思でしかなく、今回その上演に関わってくださった方々とは全く無関係であるということを先にお伝えします。

今、社会的状況により、劇場、稽古場が止まっています。

今回の上演はもちろんそういう中だからできたことであり、またそうしたことが多く行われています。役者、音楽家、舞台スタッフたちも、「何もしないでいるよりは」という気持ちも、今この時に腕を磨くというワークショップ的な意図も恐らくはあり、それらの私とは無関係なコンテンツが無償であることに私自身全く異議はないです。その無償の入り口から劇場に初めて足を運ぶ方もいると思います。私自身無料で公開している自分の文章にはそういう意図もありますし、たとえばその無料公開で初めてオペラを観た自分は、収束したら必ずオペラのチケットを購入して座席に着こうと楽しみにしています。この記事が何かを否定する話ではないということも、先にお伝えさせてください。

今回の上演についての、私自身のみの話に絞ります。

正直に言えば、始まりは流れという部分は大きかったです。プロの役者たちが今稽古場も止まっているので、やれるということになり、まずやろうという気持ちの上に次々乗せられていった表現やその方法は、作る過程でそれぞれがプロの力で選び抜いていった結果です。

二度目の読み合わせまでは、私には「今たまたま稽古が止まっている役者二人に、これがワークショップになればそれが観る方との等価交換になるかもしれない」という気持ちがありました。そういう気持ちがあって、より熱心にワークショップになり得る稽古をしようと努めました。

けれど二度目の通し稽古(本番さながらに頭から終わりまで止めずに二人が演じたということです)を終えたとき、

「これは完全に仕事だ。これを無償でやったという経験を二人に負わせたくない。どういう形で回収できるかわからないけれど、対価の一部を私が立て替えるという形で渡さなくてはならない」

そう強く思いました。

動画作成をしてくださったカメラマンにも同様に思い、同じように私から対価の一部を建て替えることにしました。彼は友人でしたが、だからこそなおそれがどれだけ彼にとって「仕事」であったのかは私には目に見えます。

音楽を担当してくださった方も、途中PV用の完璧な音源を作成してくれました。

ゲネプロの日に、役者二人には「それは無償でやっていいことじゃない。私が対価の一部を建て替える。とても少ないけれど」と話しました。「だから仕事だと捉えてほしい」とも話しました。二人がそれをどう受け止めたのかはわかりません。「自分にとってそれがワークショップとして力になると思ったなら、無償配信に参加することを止めるという意味じゃないよ。ワークショップの意味合いじゃなくても、参加すること発信することに意義のある企画もたくさんある。それは自分で決めてください。今回の上演は、自分たちは仕事をしたのだと覚えていてほしい」とも話しました。

本来は私も今回の仕事に対して対価を受けなくてはなりませんが、成り行き上とはいえ私が制作という立ち位置になったので、補填は私の義務だと決めた次第です。

そんな中水面下で準備が進んでいた様々な支援の形が立ち上がっています。支援タイトルだけでは、それぞれ内容が全く違うこともわからなかったりするかもしれないと想像しています。

そうして私自身よく読んだ中で、実際に自分が行った無償上演と離れて感じられるかもしれない支援プログラムの賛同人になることを今回の上演準備中に決めたのは、

「どの仕事においても、やりたいことをしているとしても、それは仕事である」

ということが、理解されることがとても難しいと、目の前で仕事をするプロ達を18日間見つめていて痛感し、まずその仕事が守られなくてはならないと思ったからです。

私は現在、支援を受ける状況ではありません。けれどもちろん、このプログラムが守る先にいる人間の一人であるということは同じです。

【舞台芸術を未来に繋ぐ基金=Mirai Performing Arts Fund】に賛同します。


            菅野彰 2020/4/28

サポートありがとうございます。 サポートいただいた分は、『あしなが育英会』に全額寄付させていただきます。 もし『あしなが育英会』にまっすぐと思われたら、そちらに是非よろしくお願いします。