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『朝彦と夜彦1987』(2024年1月9日〜14日)/わたしの読者さんへのいざない

元旦から多くのことがありました。
被害に遭われた方々、また心を乱されている皆さまに、お見舞いを伝えさせてください。
それどころではないという方も多くいらっしゃることと思います。
粛々と日々を行い、自らの力にして形に変えられるよう努めていきます。
どうかご容赦ください。


「わたしの読者さんを誘う」

「朝彦と夜彦1987」
9年目、4回目の公演です。
今まで、
「観劇に興味のない方に無理には」
という気持ちがあってちゃんと誘ってこなかったけど、今回はお誘いしてみようとふと思いました。

観劇経験が少ない、またはない方にはハードルが高いかもしれません。
まず場所と時間が決まっている。
「どうしてもいけない」
という方は本当にごめんなさい。もしまた機会が巡ったら、このnoteを思い出してやってください。

ここだけ抑えていただけたらとわたしが思うのは、
・上演中のお喋り、スマホをつかうなどはご容赦ください(舞台を観て笑う、泣く、などの感情表現はきっとウエルカム)。
・椅子の背に、背中をつけて、前かがみにならないように気をつけてくださいまし。前かがみ、前のめりになると、後ろのお席の方の視界を塞いでしまいます。
・できれば開演五分前までには着席していてくれたらうれしい。
というところでしょうか。

『朝彦と夜彦1987』は、過去の上演時間はだいたい80分前後です。1時間20分だ。幕間はないと思うので、割とあっという間かもしれません。

わたしはこの戯曲を、20年以上前に書いた。上演予定というお話を受けて、書きました。吹っ飛んだ。
そして9年前の2015年の初演まで、戯曲は上演されることはなかった。
よくある話かもしれないけど、長い眠りについている間、大きな心の負債でした。
その頃、三十代前半のわたしの全部をぶっこんで書いた戯曲だった。
20年が経って、わたしはこれ以上の戯曲が今後自分に書ける気がしない。それは書けたら嬉しいけど。

小説を読み続けてくださっている方ならもしかしたら伝わるかもしれない。どこかからわたしは、この頃、三十代前半までに書いていたことの、その先を考えるようになった。その頃はわたしが持っていなかった未来を書くようになった。

今ならわたしこの本は書かない。
全然書けない。

そういう戯曲に、きっとわたしよりもこの本を愛してくれているのだろうと勝手に信じている演出家中屋敷法仁が命を吹き込んで、演者たちが声にしてそれを世界に放ってくれる。
そういう瞬間を、叶うなら目撃してほしい。

わたしは読書と観劇の両方を楽しむ人間ですが、まったく違うものだと思っています。
読書は、本とわたしは一対一で、わたしだけの国で、わたしだけの速度で、本の中を泳いでいく。泳ぐのはわたし。
演劇は、それを大勢の人間でやると、わたしは捉えています。
つくり手は、目の前に立つ「朝彦」と「夜彦」という俳優たち以外にもたくさんいます。演出家、舞台監督、音響、照明、衣装、それらを統括する制作チーム、劇場スタッフ。ごめんきっともっとたくさんいる。ここ読んで「私漏れているけど!」って思ってる人たくさんいる。ごめん。
その大勢が創り上げて、客席に座るあなたが最後の一人。大切な一人。
投げかけられたものを、観客は観客の感情で思い思いに受け取る。
本の世界を泳ぐ。大勢で。時にはまったく違う方角を向いて。
わたしにとっての演劇は、そういうものです。

もちろん、どうしても一人で、自分だけの王国を大切にして泳ぎたい本はわたしにもたくさんある。
「朝彦と夜彦1987」
は、もともと大勢で泳ぐために書いた本。
できればわたしの本を読んでくださっている方々にも、一緒に泳いでほしい。

そんなことを思って、今回はいざなってみました。
大変な日々ですが、叶うなら劇場でお会いしましょう。

朗読劇「#朝彦と夜彦1987
出演
【A】 #平野良#村田充
【B】 #正木郁#溝口琢矢
【C】 #荒井敦史#健人
【D】 #桑野晃輔#加藤ひろたか

日程:2024年1月9日(火)〜 14日(日)
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール

<チケット発売中>
https://asayoru2024.com/


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