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【#ざっくりレビュー】2019 J1リーグ第34節 FC東京戦

akira(@akiras21_)です。
王者のみなさん、ご機嫌麗しゅう。いろいろやってるうちにタイミングを逃してましたが、ぼちぼち区切りを。

【前節の振り返り】

【vsFC東京 前回対戦の振り返り】

好調をキープしていた青赤軍団に力の差を見せつけられたあの試合から半年、いよいよ借りを返すときが来ました。東京中央銀行のバンクマンに倣って100倍返しだ、ということで今節のメンバーは以下。

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注目ポイントはなんといっても和田拓也ことワー坊。前節の川崎フロンターレ戦で扇原貴宏が警告を受けて今節累積停止、そして大津祐樹が負傷したため、FC東京との前回対戦以来雌伏の時を過ごしてきたこの男が遂にピッチへと戻ってきました。

…と、ここまではいつも通りの流れですが、もう2週間以上経っちゃっていろんな方々がひと通りバシバシと振り返り尽くしただろうというのと、自分も自分でこのレビューよりも前に先にレビュー翻訳を2本もやっちゃったので、ちょっと趣向を変えてみたいと思います。最後だしね。

17節と34節をざっくり見比べてみよう

冒頭でご紹介した通り、FC東京とは半年前の17節でも対戦しておりまして、そのときはまーこっぴどくやられた(●2-4)わけです。あのときはガツガツ攻めるマリノスに対して、FC東京がそれを受けつつもカウンターでスパッと点を取りに行くという構図。どこか懐かしいなと思ったら一昔前までのマリノスが得意としていた形でした。

翻って、「今回はちょっと展開が違ったよな?」と。どことなーくお互いガツガツしていて、結構攻守の入れ替わりが多かったような印象でした。てなわけでみんな大好きsofascoreからデータを引用し、17節と34節を数字からざっくり比べてみました。

すると、なかなか興味深いことがわかりまして。なんと、2試合を通じてマリノスがFC東京を上回った項目が結構多かったんです。ちょっぴりピックアップしてみると、

◎ 支配率
◎ シュート数
◎ ペナルティエリア内シュート数
◎ パス数
◎ ロングボール数

…などなど。それじゃなんでこんなにも印象が違うんや!ということでもうちょっと見比べてみたんですが、そこに違いがありました。そう、34節の1試合の中では相手を上回っていても、その回数・割合などは17節よりも下回っていたのです。上に挙げた各項目をそれぞれ見てみると、

◎ 支配率
  74% : 57%
◎ シュート数
  20 : 12
◎ ペナルティエリア内シュート数
  13 : 9
◎ パス数(カッコ内は成功率)
  765 (91%) : 566 (84%)
◎ ロングボール数(成功数/総数、カッコ内は成功率)
  22/36 (61%) : 21/44 (48%)

※左側は17節、右側は34節の数値

…といった具合。なお、反対にインターセプト数は両チームともそれぞれ増加。マリノスは7→12、FC東京は18→23となっていました。これらを掛け合わせると今節の対戦は、

展開が起きる前に互いに奪い合っていた(インターセプト増加)
+支配率の偏りが小さい(マリノス57%:FC東京43%)
+パス数が減少し、ロングボール数は増加
=17節の膠着状態から一転、34節はトランジション合戦に

という見方もできます。もっと深く見るべきポイントとして「ボールを奪った位置」「ボールを奪ってからシュートに至るまでの時間」「最終ラインの高さ」「ボールサイドの寄り方」などなどいろいろありますが、本稿は「ざっくりレビュー」なので割愛します。そう、ざっくりだからね。

「いつもと違う」「いつも通りの」アタッキングフットボール

それじゃ「なんでトランジション合戦になったの?」ということについてですが、これはもうFC東京が当時置かれていた状況による影響に他ならないでしょう。改めて試合前のシチュエーションを整理しますと、

マリノス 勝ち点:67 得失点差:+27
FC東京 勝ち点:64 得失点差:+20

となっていて、FC東京は逆転優勝を目指すにあたって①勝利すること、そして②得失点差で上回ることの2点を達成することが求められていました。直接対決のため、スコアの上で1点差がつくとそれぞれの得失点差が2ずつ変動することになっていたので、FC東京は「4点差をつけてマリノスに勝つ」必要があったわけです。

で、4点差をつけるためには当然4点以上取らなきゃいけないんですが、今季FC東京が公式戦で4得点以上挙げた試合は17節のマリノス戦だけ。ついでにこのマリノス戦では2失点しています。こうして見てみても、ハードルが高かったことには違いありません。

そこで長谷川健太監督が採ったのは、序盤から球際の強さ、インテンシティを高めていくやり方。ガツガツとボールを奪いに行って、とにかく縦へのスピードを速めてゴールを奪いに行く。前節にディエゴ・オリヴェイラが負傷離脱するというアクシデントに見舞われながら、永井謙佑を1トップに、髙萩洋次郎をトップ下の位置に据えた4-2-3-1で中盤を厚くし、マリノス最終ラインの裏のスペースを永井に狙わせたわけです。実際、前半にはそれで得点機になったシーンもありましたね。

なぜかといえば、試合が始まる前からマリノスが有利だったからです。いつも通りブロックを敷いて相手のミスやインターセプトを待ったとしても、そんな状況でマリノスはそもそも攻める必要がありませんでした。マリノスは引き分けでも優勝でしたしね。ならば自分たちから仕掛けにいって先にゴールを奪い、局面をカオスにしてしまおう…と目論みました。今季のマリノスは先制点を許した後に逆転勝利を収めたことが2回(1節vsガンバ、9節vs鹿島)しかなかったので、そのように考えるのも頷けます。

ただ、こうした状況でもマリノスはあくまで“いつも通り”アタッキングフットボールを展開しました。なにより、マリノスのアタッキングフットボールは前掛かりになった相手にこそ強さを発揮する傾向にあったのは、今季見守ってきた皆さまならよくお分かりでしょう。先制点さえ取ってしまえば試合のペースは握ったも同然、3-0で試合を終えるのは半ば必然的だった…と振り返ることもできます。

おわりに:「終わり」は「始まり」

J1リーグ最終節ということもあり、今回はシーズン全体の流れを意識した切り取り方をしてみました。今季はリーグ戦全試合でレビューを書いてきましたが、1試合1試合それぞれ独立しているようで実はつながりがあり、「あの時のやり方がここで活きた」というシーンが数多くありました。チームも生き物なんだな、と改めて実感した次第です。

もちろん、その時その時で巡り合わせがあったり、はたまたアクシデントがあったりした中で、ここまで1年間続いてきました。それはマリノスに限らず、これまで対戦してきた17クラブも同じです。お互いがその時点でベスト、またはベターなプランを立てて試合をし、34試合終わった時点でリーグの頂点に立つことを目標にやってきました。その中でマリノスはとりわけ“継続性”を主軸に据えて、終わってみれば22勝勝ち点70、そして68得点を積み重ねることができました。

もちろん、いろんな局面・要素をいろんな角度から切り取ることは可能です。「あのとき○○だったよね」「もしもあのとき△△だったら」という話題はめちゃくちゃ多く存在します。そして、それと同じぐらい積み残した課題もあると思っています。たとえば、「ドン引きの相手を崩し切った試合って結局あったかな?」など。

この日に至るまで選手たちが重ねてきた不断の努力に対して、我々サポーターは惜しみない賞賛を送る他ありません。一方で、世界と戦うにあたって埋めるべき穴、活かすべき伸び代はまだまだたくさん残っています。「優勝」というひとつの結果、通過点を越えたからこそ、次なるステージに向けた歩みは既に始まっています。そう、マリノスはまだまだ強くなれるんです。

最後に、遅筆となり大変恐縮ですが、横浜F・マリノスに関わるすべての皆様、この度は優勝おめでとうございます。来る2020年はいよいよアジアが、世界が我々を待っています。港町・横浜から広がる大航海は、しばしの休息を経て、来年1月10日から再びスタートします。大いに期待し、ワクワクしましょう。

1年間ありがとうございました!また来年スタジアムでお会いしましょう!

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