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再起|横浜F・マリノスvsサンフレッチェ広島 - 2024・J1第13節 観戦雑感

長きにわたった国内外での連戦を終え、1週間半の中断明け緒戦となったFC岐阜戦(天皇杯・2回戦)は延長PK戦の末、辛くも勝利。

リーグ戦での再起を期した町田ゼルビア戦(第18節)は、先制点こそ挙げるも、1-3で敗戦。先制からの逆転負けはシーズン4度。試合後にはブーイングや怒号が飛び、「積み上げがない」「先が見えない」「気持ちが見えない」などの声も聞かれるようになった。

…という状況で連戦残り8試合を戦うことになった、横浜F・マリノス。ぶっちゃけキツすぎる。しかも相手は試合巧者のサンフレッチェ広島。なんだか試されている感じがしたので、ふと思い切って久しぶりに筆を執ることにしました。

試合概観

先発メンバー

【横浜FM】
前節・町田戦からの変更は、宮市亮→井上健太のみ。
サブメンバーは、吉田真那斗、山村和也に代わって、エドゥアルド、水沼宏太が名を連ねた。

【広島】
ここまで全試合フル出場だった佐々木翔が警告累積で出場停止。また、川村拓夢が海外クラブ移籍に向けて離脱。
これに伴い、東俊希がDF登録となり、満田誠、志知孝明が先発メンバー入りとなった。

スコア

2' 加藤陸次樹(広島)
27' ヤン・マテウス(横浜FM)
77' 大橋祐紀(広島)
87' アンデルソン・ロペス(横浜FM)
90' ヤン・マテウス(横浜FM)

試合展開

広島は、前節・東京V戦と同様に、マリノス陣内で2-3-5にシフト。構造的優位を担保しつつ、ハーフスペースやマリノスDFライン裏のスペースを活用した攻撃を仕掛け、早々に先制した。

序盤の主導権を握られたマリノスは、井上健太がDFラインに加勢して、守備の安定を図る。ボールを持てるようになってからは、主に井上、ヤン・マテウスのいるサイドで1on1を仕掛け、手数少なめに速攻を展開。狙いに沿って、ヤン・マテウスが同点弾を決めた。

その矢先、永戸勝也にアクシデント発生。すかさず左CBの渡邊泰基が左SBに入り、エドゥアルドを投入。以降は様子見とリスク管理をしつつ、やがて「1on1の局面を作れるスペース探し」というベースに回帰。チャレンジパスが増えるも、前半は1-1で折り返す。

後半も基本線は同じだが、特に2IH(天野純、渡辺皓太)によるサポートの動きが増加したことで、攻撃のスピードや圧力が増す展開に。

すると、52分に満田誠が2枚目のイエローで退場。1人少なくなった広島は、4-3-2/5-2-2併用型の可変システムで対応するが、マリノスは数的優位を活かし、主導権を握っていく。

リスクを避ける広島の守備に、マリノスも攻め急がない。虎視眈々と好機を狙うが、マリノスのスローインからのミスに起因するショートカウンターで、1人少ない広島に再度リードを許してしまう。

マリノスはやや攻めあぐねながら、左サイド奥深くに切り込んだ宮市亮のクロスボールに、アンデルソン・ロペスがうまく合わせて再び同点。間髪入れず、ヤン・マテウスの見事なコントロールシュートでマリノスが逆転に成功した。トリコロールに染まった三ツ沢のスタンドが、一気に沸く。

アディショナルタイム6分に突入しても、あくまで好機をうかがい、優勢のまま試合を進めたマリノスが勝利。1.1万人が詰めかけた三ツ沢に、歓喜の瞬間が訪れた。

観戦雑感

劇的展開にシビレた人も、きっといたでしょう。

ポジショニングにしろ、運動量にしろ、全体的に「パスが回る距離感」を意識したのか、間延びすることがなかった印象です。特に天野、渡辺皓の運動量は凄まじく、ハーフスペースを中心に位置取り、マリノスのプレーエリアを前に進める上では欠かせない働きをしていました。

満田の退場による数的優位を獲得した後は、より縦パス、抜け出しなどが数多く見られ、本来的な試合運びを随所に披露。これが浮上の糸口となることを願うばかりです。

一方、細かい部分ではミスも散見され、ピンチや失点を招いてしまった点は反省したいポイントです。失点は2つとも自分たちのミスが起因しており、改善の余地が見られました。この試合に限ったことではないけど、ミスをするなら、チャレンジした結果であってほしい…!

後は、プレー選択における柔軟性。リスクテイクするのは監督も選手も一緒なので、試合の趨勢を読んだ上で「ここは守るところ」「ここは攻めるところ」といったイメージやビジョンを、よりくっきりと共有できると理想的でした。重ね重ね、チャレンジした結果のミスであってほしいです。それはこっちにも伝わるからね。

試合前にハリー・キューウェル監督が口にしていた「ハードワーク」が、目に見えて分かりやすい形で結実したのは好材料。運動量に裏打ちされたゲームモデルが、この連戦でどこまで通用するのかは気になるところです。それでも、選手たちにとっては報われた試合になったでしょう。

立ち上がりこそ、気負いしているようなムードがほんのり漂っていましたが、単純明快な狙いと選手個々の機転、そして貴重な勝ち点3と共に、あらゆるきっかけを手にしたことが何よりも大きかった。そんな横浜の夜でした。ほんと、勝ってよかったね。

おわりに

試合当日の朝に思い立って、勢いでササッと書いたわりには、そこそこまとまったと思う。ゲン担ぎになってれば幸いです。あと、こういう時の三ツ沢はいいね。

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