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  4-❷ 願い

 彼が1日でも早くターフに戻る事を祈りながら、それでも競馬関係者は、サラブレッドは、目の前の戦いに全集中の日々を送っていた。
 それは無論、日本だけの事ではなかった。

 凱旋門賞当日、あの名牝ムーランルージュの娘、レザンドリーを母に持つ圧倒的1番人気の支持を背負ったフォンテンブローが前評判に違わぬ強さを見せつけ
、2着に3馬身半差をつける圧勝でジャンリュクラガルデール賞を制した。

 そして、凱旋門賞には数多の世界の強豪14頭が集結した。
 仏ダービー馬ガルデリネルジェス、英ダービー馬ロゼッタストーン、米国二冠馬ヴァイオレットエヴァーガーデン、そして日本からは天皇賞秋、ジャパンカップとG1レース2勝のユーフォリアーが参戦、この4頭のG1馬が死闘を演じた。

 逃げ粘るヴァイオレットエヴァーガーデンをゴール手前50メートルで捉え、壮絶な叩き合いを制したのは、仏ダービー馬ガルデリネルジェスであった。
 2着にロゼッタストーン、3着ヴァイオレットエヴァーガーデン、4着ユーフォリアー•••着差は全て鼻差の大接戦であった

 国内に目を転じれば、あのジャックルマロワ賞で勝利に等しい銀メダル獲得のレトロワグラースが、果敢に挑んだ天皇賞秋で逃げに逃げまくり3着に粘ったそのスピードを存分に活かし他馬を圧倒、
マイルCSを制してG1レース3勝目を挙げた。

 そしてジャパンカップ•••2年前に1着賞金が1億円増額され4億円になった事
、そして東京競馬場内に国際検疫厩舎が開設された事で、日本に入国後そのまま東京競馬場内の厩舎に入厩できるようになった事が彼らの挑戦意欲を高めたのであろう•••この年のジャパンカップは、超一流の実績を持つ外国馬を、いかにして日本馬が迎え撃つか?
 とにかく話題に事欠かない、近年稀に見る華やかなジャパンカップとなった。

 凱旋門賞に参戦した、米、英、仏を代表するG1馬3頭の他に、米デルマーオークスを逃げ切った、ビューティーライラックも参戦、迎え撃つ日本馬は、前年に続いての連覇を狙うG1レース2勝、前走凱旋門賞4着のユーフォリアー、前年の菊花賞馬ハイパーレスキュー、そして今年のダービー馬スターダイナマイトが錚々たる外国馬に対抗するという構図となった。

 レースはヴァイオレットエヴァーガーデンとビューティーライラックの先行争いが激化し、最初の1000メートル58秒0のハイペースとなるも、ビューティーライラックを競り落とし、向こう正面から最終コーナー手前までに上手く息を入れたヴァイオレットエヴァーガーデンが超高速馬場の中で脅威の粘り腰を発揮、鼻差で後続の猛追を凌ぎ切り、米、英、日、でのG1レース4勝目を挙げた。
 2着同着でロゼッタストーンとスターダイナマイト、4着に首差でユーフォリアー、5着に追い込み届かず、首差で1番人気ガルデリネルジェスという結果であった。

 外国馬の各陣営が次々と、ユーフォリアーに騎乗した天才騎手を捕まえては、彼の消息を尋ね、安否を気遣っていた。

 レース終了後に行われた勝利インタビューでは、ヴァイオレットエヴァーガーデンに騎乗したロザーリオン騎手が、
「天国で駆ける未来よ!どうか、彼を守ってあげてくれ!」と叫んでいた。

 東京競馬場は、割れんばかりの歓声と拍手に包まれた。

 香港シャティン競馬場では、芝2000メートルという適距離に戻り、その圧倒的な逃げ脚で後続を引き離したユーアーマインが香港カップを制したかに思われたが
、最内を掬ったゲメインシャフトが残り50メートルで猛追、瞬間移動的な脅威の鬼脚を見せ、ほぼ2頭同時にゴールイン、長い写真判定にもつれ込んだ。

 その結果は•••ユーアーマインが初のG1制覇を香港で果たし、またゲメインシャフトも日、英、香港でのG1レース5勝目を挙げた。

 そして、香港のファンもまた、ターフへの復帰を願うエールを、彼の名前を連呼する事で表したのであった。

 PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝致します🥲🙏次回配信は12月23日土曜日午前8時です。2024年が終わりゆく。大晦日、除夜の鐘が鳴り響く時、
翔馬は?それではまた23日にお会いしましょう🥺🙏

         AKIRARIKA

🐴🐴🔥🔥💨💨🐴🐴🔥🔥💨💨🎯🎯🤭

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