「最近なにか面白かったことあった?」

最近、僕が彼女に聞かれてとても困る質問がある。

「最近なにか面白いことあった?」

僕にとってはこの言葉が致死率100%のザキ、ドラクエの即死呪文の究極版である。

これを言われると僕は、

「うーん、無い、なあー」

と応えて、何とも言えない空気がその後に流れる。

とても居心地の悪い時間だ。



思うに、女子の言う「最近あった面白いこと」は、男子のそれとは違う。

何かの本で読んだが、男の脳は論理的で、結論ありきで話を進める為、オチの無い話を嫌う。

要するに、オチのある話になるような事、経験こそが、面白かったこと、面白かった体験なのである。

対して、女子の言う面白かったこととは、その時の感情、その体験をした時の心の動きであり、男子のそれと比べたときに、より "瞬間的" なものであるような気がする。

及び、その面白かったことを女子会、女の子同士で話し合っている時の瞬間的な感情の共有、「わかるそれー!」とか、そういう "瞬間" に重きを置いている気がする。

女子の面白かったこと、面白かった話は "進行的" で、その場で創られていく。

男子の面白かったことには、既に向かうべきゴール、オチが定められている。

なんとなく普段からそんなことを考えているので、彼女がご所望の面白かった話を出来る自信は、男女の脳の違い(?)的にも、毛頭無いので、しない。

そんな時は決まって、

「逆に何か、面白かったことあったー?」

と、聞き返すようにしている。

これも何かの本で読んだ、人は相手に質問をする時、実は相手のその質問内容の話を聞きたいのではなく、自分が話したい内容のことを質問する、のルールに則って、聞き返している。

そうやって、男女の脳の違いのせいにして、自分のつまらない人生が露呈してしまうのを避けて、「最近あった面白かったこと」という議題から逃げているのだ。



こんなことでは、いつまで経っても自分の人生に対して、満足感のようなものを得ることが出来ないと分かっていながら。



誰かが言っていた「人は幸せだから笑っているのではなく、笑っているから幸せなんだ」という言葉が、この件に関しての僕には処方箋としてピッタリだと思う。

話のオチから探すのではなく、その瞬間の感情を大事にして "笑う" という行動が僕には圧倒的に足りない。




こうやって文章を書いていて、うまいオチをどうしようか、とひたすら考えている自分に気がついた。

なかなか、 "面白かったこと" を話せるようになるのには、先が長い。

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