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「組織開発」と「動的平衡」について

参加者の皆さんへ。
講義部分を簡略化したく、前提となる「組織開発」の私の解釈を以下に付します。

組織開発とは、組織のパフォーマンス向上を目的に、組織の構造、プロセス、文化などを調整、改善する活動を指します。

「動的平衡」は、組織開発における重要な概念です。これは、変動と安定性の間のバランスを保つことを指します。組織は、変化の中にある一方で、一定のバランスを保つ必要があります。組織の目標は、継続的に変化し成長する一方で、その核となるミッションと価値を保持し続けることです。このバランスを維持するために、組織開発の取り組みが必要となります。

具体的な活動としては、以下のようなものが考えられます。

1. 組織構造の調整:組織構造が変化することで、組織は新しい環境に適応し、新しいチャンスを捉えることが可能になります。しかし、過度な変化は組織の安定性を損なう可能性があります。このため、組織構造の調整は、新たな機会を探求し、同時に既存の業務を円滑に進行させるという「動的平衡」を達成するための重要な手段です。

2. チームビルディング:チーム内の関係性の強化は、組織のパフォーマンス改善の重要な手段です。しかし、これもまた「動的平衡」を必要とします。チームのメンバーは新しいアイデアを持ち込み、変化を促進する一方で、既存の関係性や役割を尊重し、チーム内の調和を保つ必要があります。

3. 組織文化の開発:組織文化は、組織の価値、規範、信念を体現するものであり、組織の行動をガイドします。組織文化を刷新することで、組織は新しい挑戦に対応する能力を高めることができます。しかし、過度な文化的刷新は組織の安定性を損ね、混乱を引き起こす可能性があります。したがって、新しい価値観を導入しつつも、既存の価値観や規範(ノーム)を尊重し続けるという「動的平衡」が求められます。

4. リーダーシップの開発:リーダーシップは、組織の変化と安定性を導く重要な役割を果たします。リーダーは、新しいビジョンを提示し、組織を前進させる一方で、組織の安定性と調和を保つ責任も負います。ここでも「動的平衡」の概念が重要になります。


組織開発は、変化と安定性、革新と伝統、挑戦と調和といった相反する要素の間でバランスを保つ難しい芸術ともいえます。
「動的平衡」はこのバランスを捉え、理解するための一つのフレームワークであり、組織が目標を達成し、同時にその目的の実現を維持することを可能にします。
なお、「動的平衡」については「システム思考」の回で取り上げます。

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