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左官ART

【鏝絵(こてえ)】

家屋や蔵の漆喰壁に、左官職人がコテで描く立体造形で、妻飾りの一種。
火伏せや魔除けと、施主家の繁栄を願い、左官職人が個人的に贈る日本独自の風習と芸術。

描く絵のモチーフは、七福神や縁起物が多い。

画像のものは、掛川市で撮った屋台蔵(山車の蔵)の扉の上にあったもので、モチーフは海老。

丸い盤に描かれているが、そうではないものも(もののほうが?)多い。

屋台にはそれぞれ天幕や彫刻に飾る縁起物やモチーフがあるらしいのだが、それらや、または町の名前とも関係しているのかな。

日本の住宅事情が近年どんどん様変わりし、漆喰壁自体も少なくなり、鏝絵を描く左官職人も激減し、いっときは途絶えたと云われてたほどの衰退っぷりやった。

が、ここ10年ほどか、漆喰塗り壁や左官の技術を、ARTとして発信する方法や展示がウケている。その高い評価は、日本国内よりも海外のほうが多い。

漆喰壁が減った理由というのは、単純に「時間がかかる/工賃が高い」からだ。

素材として劣っているというのでは決してないのだ。

漆喰とは、貝殻や石灰岩を焼いた粉と岩海苔を混ぜ合わせ、つなぎに藁や麻の繊維を入れたもので、防火、断熱、防音、吸湿に長け、日本の風土にこれ以上ないくらいに、とても合っている建材なのである。

漆喰で塗られた壁の家で生活していたことがあるのだが、まじで快適やった。

上記したこと以外で、優れているなぁ〜と思ったことは、音響である。

音というのは、ヘッドフォンや野外でアンプの目の前で聴く以外には、必ず、絶対に何かに反響されるものなので、その反響材や形状の良し悪しが、音そのものの良し悪しに大きく影響する。
(コンサートホールとかルームとか、わけわっかんねー壁じゃないすか)

漆喰壁は、音をまろやかにやわらかくする。
ジョン・レノンの声が「バスルームボイス」と呼ばれ、まるでお風呂の中で聴くかのような優しい感じでとても良いのだが、あれに似た感じが出るのだ。

たぶん、何かを吸着して反響させてるんやろね。よーわからんけども。

同じく粉練りもんの壁のコンクリート打ちっぱなしには出せない音質と優しさであった。

ひとの話し声も、そうやって優しく聴こえてくるので、自然と雰囲気や気持ちも和らぐ。

それって、生活をするうえでめちゃくちゃ重要なことやとおもう。

あと、光の反射も同じくまろやかに優しく反射する。

いつか自分が家を建てられるようなことがあれば、迷わず漆喰の壁にする。

だが、先に書いたように、高い。

漆喰壁の工法は、土壁の上に およそ三層にわけて塗られるのだが、塗り→乾燥→塗りを重ねるので、どうしても日数がかかる。
それに完全な人の手作業。
今主流の、工場で製材されたものを現場で組む一夜城方式は取れない。

ゆえに、高い。

左官職人は、その高い工賃を払い、自身に良い仕事を経験させてくれた施主に対して、感謝と祝福の意を込めて、コテで縁起物を描き、ことほぐ。

明治の時代くらいに、鏝絵の天才職人があらわれ、芸術にまで昇華させたのだが、そう云やぁ、静岡県のひとやったな。

うだつや屋根神様や鬼瓦、鍾馗さん、ゲギョやシャチホコ、シビなどの屋根にまつわることを調べたり、旅先で、自分の住んでいる界隈には見られない風習や流行などを観るとテンションあがる。

楽しい(๑′ᴗ‵๑)

今回も無駄に #キャプション長え くてso sorry,

#鏝絵 #漆喰 #土蔵 #蔵