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WORLD SPINS 〜追悼、アンジェロ・バダラメンティ

V.A. "PEAKS MANIA" (1992 / WARNER)

『ツイン・ピークス』『ロスト・ハイウェイ』など、デヴィッド・リンチのサントラを担当したアンジェロ・バダラメンティが亡くなりました。享年85歳、家族に見守られながらの自然死だったそうです。

『ブルー・ベルベット』の現場で出会ったふたりは、リンチもバダラメンティも互いのことをパートナー以上の存在=兄弟と呼んでいました。

われわれはこんなふうに仕事をする。まず、ピアノの前に座ったアンジェロの横に、私が腰を降ろす。私が語りかけると、アンジェロは演奏を始める。言葉を音楽にしていくんだ。言わんとすることが理解できない時には、何ともひどい演奏になる。そんな時は「そうじゃないよ」と声をかけ、少しばかり言葉を変えてみる。すると違う演奏が始まる。でも「それも違うなあ」と言って、また別の言葉をかけてみる。こんなやりとりを通して、感触をつかんでもらうんだ。そうして私が「そう、それだ」と言うと、アンジェロは魔法を使い始めて、正しい道筋をたどっていく。
これがほんとうに楽しいんだ。家が隣りだったら、もう毎日でもやりたいくらいさ。でも彼はニュージャージーで、私はロサンジェルスだからなあ

デヴィッド・リンチ『大きな魚をつかまえよう』

『ツイン・ピークス』のテーマ曲を作る際、撮影した映像を見せるのではなく、リンチが口伝えで「森の中を少女が歩いている……暗い森だ……頭の上をふくろうが飛ぶ」と説明するのを聞きながら、バダラメンティがピアノを即興で弾いてるうちにあのフレーズが偶然生まれ、リンチが「最高だ! 1音も変えないでくれ!」と念押ししたというエピソードが大好きです。

またあらためてバダラメンティについて詳しく書くつもりです。
謹んでご冥福をお祈りします。

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