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THINK TWICE 20201213-1219

12月13日(日) DO YOU DARE?

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Netflixで配信されている『ダッシュ&リリー』。

これが日本なら山崎賢人と土屋太鳳が主演しそうなスイーツ系ドラマも、ストランド・ブックストア、ジョニ・ミッチェルの歌詞、ザ・ウェイトレシーズの「クリスマス・ラッピング」、不思議の国のアリス、クリスマス直前のニューヨーク───と、同じような筋立てでも、小道具や背景が変わるだけで、日本人のサブカル中年おじさんにも楽しめてしまうという好例。

J・D・サリンジャーの本棚に隠されていた赤いノートブックをきっかけに、主人公たちの恋物語を手助けするのは、ニューヨークのちょっと変わった愛すべき隣人たち。スマートホンやSNSやメールが無かった時代には人と人がつながるのは、こんなにも困難で、こんなにもロマンティックだったんだなあ、としみじみ懐かしくなったな。

1話30分未満で全8話。楽しくて一瞬で見終わると思います。


12月15日(火) BEST20

いつ始めたのか記憶にも無いのですが、ここ数年ずっと発表している今年のベストを今日発表しました。

で、いつも〈積み残し〉というか「あ、こっちにしておけばよかった」という盤を発表した後に発見してしまうのですが、今回も残念ながら(?)ありましたよ、一枚。

orchid mantis『Far From This World』───これは絶対20枚の中にねじ込んでおきたかった!

このアルバムからの楽曲「never know why」は先日アップしたTHINK TWICE RADIO VOL.7にも収録したのですが、リリースされたのは先月20日とはいえ、誇張無く毎日のように聴いてるんですよね。それなのに……。

アトランタ州ジョージア出身のトーマス・ハワードのソロプロジェクト"orchid mantis"は2014年に活動を開始。初期作はサンプリングを駆使したサイケデリック〜アンビエント色の強い作風でしたが、この『Far From〜』はネオアコ/ギターポップ/オルタナティヴ・フォーク/ニューウェイヴ的な歌もで、仕事中や就寝前などふとしたときに流しています。それなのに……。

この人の特徴はなんと言っても多作であること。3ヶ月おきくらいに続々とEPを配信でリリースし、アナログも来年リリースする予定。欲しいなあ。

ちなみに"orchid mantis"とは日本語で言えば、蘭+カマキリ=ハナカマキリのことです。名前だけでも覚えて帰ってください。


12月19日(土) Holiday Musicのすすめ

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本日出演した南海放送ラジオ「Smile mix」でお届けしたクリスマスソング特集を、スタジオに持参していたアンチョコを元に再構成しました。

日本人にとったらHoliday Musicというと、休日に掃除や洗濯でもしながら聴く音楽……みたいなイメージがあるかもしれませんが、欧米では聖なる日、つまりクリスマスソングそのものを指します。

古今東西、クリスマスソングというのはひとつのジャンルとして認知されていて、欧米ではレコード屋に行けば、季節モノではなく、常設で"Holiday Music / Chirstmas Music"コーナーは絶対にあるし、それ専門のコレクターとか、1年中クリスマスソングばかりかけているラジオ局さえあります。

番組には何年も出演させてもらってますが、たぶん今まで一回もやったことがないクリスマスソング特集を今日はお届けしました。

1 - The Waitresses / Christmas Wrapping

1978年にオハイオ州のアクロンで結成し、その後、ニューヨークで活動したニューウェイヴバンド。たった2枚のオリジナルアルバムしか残していませんが、パティ・ドナヒューという女性ボーカルの、ちょっとハスッパな歌声がとにかく魅力的で、その後のニューウェイヴバンドの女性ボーカルたちにもものすごく影響を与えてます。
この「クリスマス・ラッピング」はラップ(Rap)と包装紙のラッピング(Wrap)がダブル・ミーニングになっている非常におしゃれな曲です。今でもクリスマス関連のコンピなんかに収録されていたり、クリスマスを舞台にしたドラマや映画のBGMにもよく選ばれています。そういえば、日曜日に紹介した『ダッシュ&リリー』でも第一話で使われていましたね。

2 - The Free Design / Close Your Mouth (It's Christmas)

1968年にシングルオンリーでリリースされましたが、現在は『You Could Be Born Again』というアルバムのボーナス・トラックとして、CDなどには収録されています。フリー・デザインはニューヨーク出身のファミリー・グループ。長男のブルース、次男のクリス、長女のサンディ、次女のエレンのデドリックきょうだいが、家族ならではの美しいコーラスを聞かせてくれます。曲はものすごくポップですが、非常に複雑な構成でイントロ、Aメロ、Bメロが7/8拍子、サビが8/8拍子になっています。

3 - The Bird and the Bee / You and I at Christmas Time

The Bird and the Beeが先月配信でリリースしたばかりのクリスマスアルバム『Put up the Lights』から。内容は「そりすべり」「リトル・ドラマー・ボーイ」みたいな定番ソングのカヴァーが中心なんですが、この曲は彼らのオリジナルです。

4 - JW Francis / Wonderful Christmastime

みんな大好きポール・マッカートニー作のクリスマスソングを、オクラホマ出身で現在はニューヨークで活動しているシンガー・ソングライター、JW Francisがカヴァー。これもつい先日配信でリリースしたクリスマスEPから。

以上、4曲をお届けしました。

クリスマス・ソングというのはただただ楽しくてハッピーな曲も多い一方、人の心を厳粛な気持ちにさせる力、あるいは孤独感やセンチメントを肯定してくれるような力強さもあると思うし、クリスマスはそうでもないけど、クリスマス・ソングは大好き───というぼくみたいな人も多いはずです。まだまだ紹介したい曲もたくさんあるので、今後は毎年、特集を続けてみたいなと思っています。

今日から一週間はこちらでどうぞ。

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