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THINK TWICE 20210613-0620

6月13日(日) Marchin' in the Rain

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インスタントシトロンの長瀬五郎くんがコメント出演するK-MIX『ようこそ夢街名曲堂へ!』をラジコで聴きました。

ようこそ夢街名曲堂へ! | K-MIX SHIZUOKA |
2021/06/12/土 21:00-21:55

https://radiko.jp/share/?sid=K-MIX&t=20210612210000

ぼくがレギュラーで出演しているラジオ番組でシトロン特集を組む予定だし、五郎くんから「もっちゃんの名前も出してるので聴いてみて」ってお知らせがあったので。

今回の再発プロジェクトは片岡さんの夭折がきっかけだったけれど、それ以前から、シトロンの残した楽曲はけっして正当な評価を受けていると思ってなかったから、それがどんなタイミングであれ、レコードとして世に残ったのは素晴らしいことです。

シトロンのファーストが出た1995年は、ぼくも高円寺のレコード屋で働きはじめた時期。今ある自分の素地が培われたと言っていい。また2002年はアルバム『A.M.』をリリースした年。青春というありきたりな言葉じゃ語りたくないくらい、濃厚で、それでいて爽やかな時間の流れ、さまざまな刺激をキャッチし、枝葉を自由に拡げていた───思いかえすだけでわくわくするような時代でした。

今の若者云々とは簡単に言いたくないけれど、ぼくらの時代のほうがもうちょっと不自由で、アナログだった分、楽しさはもちろん、傷ついたり転んだりしたときに流れる血は温かったように思います。

あの頃に戻りたいなんてちっとも思いませんが、それでもたまには自分たちだけの楽しみとして、思い出を反芻することは悪いことじゃないよね。


6月15日(火) Astro Music

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小林亜星さんが5月30日に亡くなられていた、というニュース。驚きました。伊藤アキラさんの死去に対して、愛惜の情とユーモア溢れるコメントを発表されたばかりだったのに。

本業の作曲家としても一流で、役者やタレントとしても活躍された亜星さん。1974年放送の『寺内貫太郎一家』は、家族全員で居間に集まり、腹を抱えながら観ていたし、亜星さんが男性チームのキャプテンを務めていたクイズ『ヒントでピント』も『笑点』や『サザエさん』同様、日曜日になるとかならずチャンネルを合わせる番組でした。亜星さんの曲を聞くこと、また、その姿をテレビで見かけると嬉しい気分になったのは、そうした子供時代の記憶と彼の存在が分かちがたく結びついているからだったと思います。

死因は自宅での転倒が原因だったそうですが、水木しげる先生も、カート・ヴォネガットも自宅内で転んで亡くなってしまいました。ご長寿の天才は自宅が鬼門なのでしょうか。

ちなみに今日の日記のタイトルは亜星さんの個人事務所の名称。サン・ラか、ヤン富田か、って感じでかっこいいですね。あと、てっきりペンネームだと思いこんでいた《亜星》が本名で、慶應義塾高校時代のクラスメイトに冨田勲さんと林光さんがいて、小林さん含めて3人とも医者の家系という共通項があるそうです。でも、亜星さんは期待されていた医者の道を、親の内緒でこっそり蹴って、音楽の道を志したので勘当を喰らい、冨田勲さんも高額だったシンセサイザーを個人購入した時、金策で苦労されたそうなので、けっして親のスネをかじっていたわけではなさそうですが。

ただ、古くは平賀源内、森鴎外、手塚治虫のように、医師でありながら、その道で革命的な仕事を為す人が多かったのは、なにか理由がありそうですね。


6月16日(水) 親しげな未来

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ヤン富田さんといえば───オーストラリアのパースを拠点に活動しているPeople Taking Picturesの新曲「The Marrow ft. Pow! Negro, Aquatic Mind」は、ヤンさんがプロデュースした、いとうせいこう『MESS/AGE』(1989年)のアウトテイクス? といった雰囲気の、サイケデリックヒップホップチューンでめちゃくちゃかっこいい。


6月18日(金) Welcome To The Jungle 

音楽だけでなく、ファッションやグルメ、ゲームや玩具といったジャンルでも、一度大ブームを起こしたものが下火になり、ふたたび何年後かにリバイバルすることってよくあるけど、SpotifyがRelease Raderでオススメしてくれた30曲くらいのリストの中に、ドラムン・ベース/ジャングル物が2曲も入っていると「おやおや?」って気持ちになります。

トライアスロンはTHINK TWICE RADIOのVOL.10でも紹介した、ジョージア州サバンナ出身のバンド。初期はザ・スミスとかジザメリっぽいニューウェイヴ/ギターポップだったのに、リリースを重ねるごとにエレクトリックな音になって、とうとうこんなんになっちゃいました。でも、悪くないだろ。

現在はイギリスに拠点を置いているイタリア出身のDJ KISKが、変名プロジェクトとしてやっている"Apparel Wax"の新譜も、今までのディスコハウス的アプローチからガラッと変化して、ドラムン・ベースに。

下火になっていたとはいえ、そのあとも種火を守るようにずっとシーンを支えていたアーティストたちだけでなく、例えば、このpinkpantheressというクリエイターが、1997年にAdam Fがリリースしたドラムン・ベースの大名曲「Circles」をリエディットして「Break It Off」という曲を作ったところ、TikTokで火が付いたそうなんですね。

TikTok的なチャカチャカした動画とドラムン・ベースってたしかに親和性も高いですし、そのへんがこのリバイバルの原動力になっている、のかも。


6月18日(土) Ridin' in The Rain

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朝10時から放送した『インスタントシトロン特集』。今回、ご紹介した楽曲は次のとおりです。

M-1 Instant Cytron / Marchin'in The Rain (from "Change This World")
M-2 Instant Cytron / Walkin' in Wonderland (from "Cheerful Monsters")
M-3 Wham japon / ズッコのうた (V.A. "Taste Of Sweet Love 2")
M-4 Instant Cytron / My Melodies (from "Little Gang Of The Universe")

まずは真っ白な状態でシトロンの音楽を楽しんでほしくて、ともちゃんの訃報についてはあえて触れませんでした。来月もシトロン特集をお届けすることにしたので、どうするかまた熟考したいと思います。

で、番組内でもお話しましたが、1曲目に"Marchin'in The Rain"にしようと決めたときには、どっちかというと雨の少ない日が続いていたし、放送当日にピーカンだったらどうしようと思っていたんですね。しかし、蓋を開けてみれば、ちょうど自転車で放送局まで行けなくもないくらいの雨。スタジオに着く頃にはちゃんとびしょ濡れになっていました(笑)。これもきっとともちゃんの仕掛けたイタズラかな、と。

そういうわけで来月の放送もお楽しみに。

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