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映画もののけ姫で「具体」と「抽象」による俯瞰する能力を高める練習

20代前半の頃、ある理由でお金が全くなくなった時期がありました。

その詳細についてはあまり触れませんが、ざっくり言うと、給料が入るたびにパチンコに全額をつぎ込み、散財してしまったという話です。

詳細を連想できすぎるほど、具体的な解説じゃん……^_^;

給料日だった確か10日、パチンコ屋に直行し、給料を全て使い果たした僕。

残りの1ヶ月間、お金がない生活を余儀なくされました。

幸いなことに、母親と一緒に実家に住んでいたので、僕はその1ヶ月をどう過ごすか、実家で考えることにしました。

しかし、考えても答えが出るわけでもないので、自宅で映画をぼんやりと見る日々を過ごすことにしたのです。

この出来事は、今の自分の思考力に大きな影響を与えているため、当時は親にも迷惑をかけ、自分自身も辛い時期でしたが、今では良い思い出となり、仕事にも役立っています。

その経験には感謝しています。

さて、これまで自分の体験をまとめてきましたが、これをノートに記録することの意義について考えました。以下のようなことを意図しています。

  • 映画の見方を通じて、具体と抽象の捉え方の訓練ができる

  • 訓練の後、特定の行動を取ることで、さらに思考力を鍛えることができる

つまり、お金がなくなり、映画に没頭していた当時の僕は、単純に映画を見ていたのではなく、その後の思考力アップにつながる行動を無意識に取っていたという振り返りを基に、今回の内容をまとめていきます。

パチンコに散財するという行動は、一般的にまっとうな人間の行動とは言えないかもしれませんが、こうした経験からも学びが得られることを伝えたいと思います。

少々恥ずかしい話ですが、ぜひ楽しみながらお読みいただければと思います。それでは、本題に入りましょう。


今回は、「もののけ姫」という映画を事例に、「俯瞰」「具体」「抽象」という3つの捉え方をする訓練について解説していきます。

この「もののけ姫」という物語は、累計で10回ほど見てきた映画です。

そのほかにも、当時はぼんやりと映画を見続けていた時期であり、約1ヶ月の間に100本ほどの映画を集中的に視聴していました。映画をたくさん見るうちに、頭の中が次第に以下のような構造になっていることに気づきました。

上記の画像のように、僕は映画を見ているうちに、物語の登場人物たちが大きく3つのグループに分けられることに気づきました。

なお、このような捉え方で映画を見ることは、今ではすっかりルーティンになっています。普段から、主人公に憑依したり、他の登場人物に憑依したりしながら映画を見ているので、頭の中は常に忙しい状態です ^_^;

さて話を戻しましょう。

物語に登場する人物たちを俯瞰して見ることで、各登場人物がどのような思考を持ち、どのような正義を守り、何のために行動しているのか、なぜそのような発言をしたのかなどを観察するようになりました。

各登場人物を傍観者として観察し、さらにその登場人物になりきるような視点で映画を見ることで、物語の本質的な部分が見えてくるようになります。

とはいえ、この説明だけでは、最初はなかなか理解が難しいかもしれません。

しかし、このような思考を持つことで、仕事の場でもさまざまな視点から物事の本質を捉えられるようになったと感じています。(もちろん、まだまだ未熟な部分はありますが……)

このような捉え方ができるようになったのは、最初からではなく、ある「初歩的な訓練」を行った結果です。

この訓練については、この文章の最後にまとめてお伝えしようと思います。


では、まず「もののけ姫」の物語の本質的な部分について、一緒に振り返ってみましょう。

捉え方にはさまざまなバリエーションがあり、どれが正解というわけではありませんが、僕なりの解釈をお伝えします。

この物語の大きなテーマは、「領土の取り合いを目的とした戦争を繰り広げる人間たち」や、「その身勝手な行動によって自然界の存続が脅かされる」という構図にあります。

そして、自然界と人間界の仲裁をする存在として「あしたか」が登場します。

ざっくり言うと、物語はこのような流れで進み、最終的には人間と自然が適度な距離感を保ちながら共存する道を選び、物語は幕を閉じます。

しかし、この物語の中で、僕が特に注目したのは、先ほども触れたように、登場人物たちが大きく3つのグループに分けられる点です。

もちろん、登場人物や動物たちの数はもっと多いですが、それぞれに守るべきものがあり、発言や行動の裏にはそれぞれの正義や目的、下心などが存在しています。

それぞれの登場人物の思考、守るべき正義、情緒などを想像しながら映画を見ることで、物語の見え方が変わってくることもあります。

こうした思考法を他の映画にも応用すれば、物語をより深く楽しむことができるだけでなく、自分の思考力を鍛える訓練にもなるのではないかと期待しています。


物語を振り返りながら、以下のような登場人物たちの思いや考えを連想してみました。

簡潔にまとめているので、他にもさまざまな捉え方があるかと思いますが、参考にしていただければと思います。

呪われたアシタカ

ある日、呪われたイノシシの死神が村を襲った際、村人を守ろうとしたアシタカ。

村人を無事に救うことはできましたが、その代償として彼の腕に呪いがかかってしまいます。その後、村の掟に従い、アシタカは村を去らなければならなくなり、惜しむ声を背にしつつ、旅立ちます。

放浪の中で、アシタカは国全体で起きている問題に気づきます。それは、人間による「自然破壊」と、それに対抗する「動物たち」の姿でした。

この状況を目の当たりにしたアシタカは、イノシシが死神になった原因を知り、自然界と人間界の仲裁を決意して進んでいきます。

彼が守ろうとしたのは、「サン」だけでなく、動物たちや自然界、そして神々です。

さらに、人間たちの生活や未来の子供たち、そして登場人物たちが穏やかな生活を送れる世界を作り出すことが、アシタカの最大の目的であったように思えます。

サン率いる自然界

サンはオオカミに育てられ、アシタカと同世代と思われます。彼女は自然界を脅かす人間たちを強く憎んでおり、動物たちと協力して自然界と神々を守ろうとしています。

「私たちのテリトリーを汚すな」という強い思いを抱き、人間たちと戦い続けています。

物語が進む中で、アシタカが自然界の味方をしたり、人間の味方をしたりする姿に、サンは「本当に信頼しても良いのか」と疑いながらも、どこか人間らしい暖かさを感じています。

彼女のその心の葛藤が、物語に奥行きを与えています。

人間界を率いるエボシ

エボシは人間界のリーダーであり、彼女が率いる村の平穏と、そこに住む人々の生活を守るために戦っています。

彼女にとっての正義は、人間たちの利益を第一に考えることです。そのため、戦争や自然界に対して命をかけて挑んでいます。

エボシは「自然界が人間の争いごとを邪魔している。邪魔をするくらいなら黙って見ていろ!」という意気込みで、自分の正義を貫こうとしています。

しかし、その背後で自分が操られていることには気づいていない様子が描かれています。


これまで登場人物たちの考えをまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。

実際に、登場人物たちの思考を深く理解するためには、何度も映画を繰り返し見る必要がありましたが、このようにそれぞれの思考が絡み合い、1つの物語が完成していることが分かります。

各キャラクターがなぜその行動を取り、どのように心境の変化が起こり、その結果どのような発言に繋がったのか。物語を作り上げる登場人物たちの考え方、言動、行動のすべてが、彼らの思考によって生み出されていることが理解できます。

実は、このような背景について、奥さんに話す機会がありました。すると彼女はこう言ってくれました。

「もののけ姫って、アシタカがカッコいいとか、サンとアシタカの恋物語が素敵とか、大変な物語だなぁとか、気持ち悪いシーンが多いなぁ、宮崎駿さんのベスト作品だよなぁ、ってくらいしか捉えてなかったから、そういう捉え方も面白いよね。見え方が変わる。」

この言葉を聞いて、一つの物語が完成するためには、それぞれの登場人物による感情の動きが重要だと改めて感じました。

それらの感情の動きは、僕たちが生きている現実世界でも同じです。人々の感情の動きによって、社会が形成されています。

もっと言えば、仕事だって同じことが言えます。私生活にも通じる話です。


たとえば、仕事で問題が起こったときの話をしてみたいと思います。

僕がブランド品の小売業をしていたときのことを考えてみましょう。商売をしていると、1年に数件はクレームが発生します。

商品を販売する側としては、クレームの理由がよく分からないと感じることもありますが、「具体」「抽象」「俯瞰」の視点を養う訓練をしていると、クレームを言ってくる人の気持ちが少しずつ理解できるようになります。

たとえば、次のように捉えることができます。

  • クレームを言いたくなる具体的な理由
    返品したいという気持ちが生まれたから。

  • クレームを言いたくなる抽象的な理由
    商品の印象が思っていたものと違ったから。

  • クレームを言いたくなる人を俯瞰する視点
    ただのクレーマーではなく、「心境の変化が起きただけの人」。

このように捉えると、クレームを言ってくる人たちが少し可愛く見えてくることもあります。(もちろん、そう思えないときもありますが……)

だから、クレームを言ってきた人を毛嫌いするのではなく、その人の心境に寄り添ってあげて、対応しよう。

そんな心境で対処することで、落ち着いて問題解決のスピードUPが可能になることもあるわけです。

このように、具体・抽象・俯瞰の視点で物事を見ていくと、それぞれの発言や出来事に理由があることが理解でき、状況の理解が深まります。

結果、何事もなかったかの様にスムーズに問題解決が可能になるわけです。

今回、仕事を例にお伝えしましたが、このような捉え方をすると、映画を見る視点が多角的になり、さまざまな考察が可能になります。

その考察は、日常生活における「課題の発見」や「課題解決策の幅を広げる」ことにもつながり、「物事を楽しむ視点を広げる」ことにも寄与します。

捉え方が変わるだけで、人生をより楽しむきっかけにもなり得るのです。

今回は「もののけ姫」を題材にざっくりと語ってきましたが、いかがだったでしょうか。参考にできる部分があれば幸いです。


これまで「俯瞰」「具体」「抽象」の捉え方についてお話ししてきましたが、これらは感覚的な要素が強く、文章で表現するのは非常に難しい部分があります。

そこで、僕がこの捉え方を感覚的に身につける前に行った、初級編ともいえる訓練の方法を少しだけご紹介したいと思います。

冒頭で述べたように、僕は約1ヶ月間で100本ほどの映画を視聴しました。

その中で自然に生まれた思考がありました。

それは、お金がないから仕方なく映画を見ているという感情です。そんな中で生まれた新たな感情が「映画を見ているけれど、暇に感じるし、長すぎて最後まで見るのが面倒だな」というものでした。

そこで、この退屈な状況を解決するために、先ほどの思考に繋がる初級編の訓練を思いつきました。

その訓練とは、映画の本編が始まってから約10分経ったところで「この映画の結末はどうなるのか?」という予測を立てながら見続けるという、ゲーム感覚で映画を楽しむ方法でした。

もちろん、最初は全く違う結末になることも多かったです。

しかし、何本も映画を見続けるうちに、サスペンスならサスペンス、アクションならアクション、それぞれのジャンルにおける共通のパターンが見えてくるようになりました。

登場人物の特徴や行動パターンから結末を予測し、その予測が当たる確率が徐々に上がっていく。

こうしたゲーム感覚で映画を楽しむことで、1ヶ月で約100本の映画を見切ることができました。

このような訓練を続けるうちに、次第に「俯瞰的な視点」「具体的な捉え方」「抽象的な考え方」といった、さまざまな視点から物語を楽しめるようになっていったのです。

もちろん、あなたに同じように100本の映画を見てほしいとは思っていません。

しかし、映画というものは、その時代背景をよく反映しており、未来を予測する手がかりにもなるため、映画の見方を少し変えることで、より深く楽しめるようになるかもしれません。

そうすることで、物事の捉え方や相手の感情を理解する力が向上し、人生をより豊かにするヒントが得られるのではないかと考えています。

少々難しい部分もあったかもしれませんが、全体を通してどう感じたでしょうか?

映画というものを客観的に文章で表現するのは難しいと感じながらも、このような捉え方をして映画を見ることで、映画の奥深さをより楽しむことができると僕は思います。

というわけで、今回も最後までお読みいただきありがとうございました。またお越しいただければ幸いです。


この記事の冒頭でお伝えした「プラスαの行動」について書き忘れていましたね ^_^;

実は、パチンコ屋さんで散財した僕は、アルバイト先への移動手段さえもなくなってしまったんです。なんとも恥ずかしい話ですが……。

そんな状況で、田舎に住んでいた僕には、アルバイト先までの移動手段は「徒歩」しかありませんでした。片道6キロ、往復12キロの道のりを歩いて移動するしかなかったんです。

片道を歩ききるのに約1時間、これを約20日間、ほぼ毎日続けたわけですが……恥ずかしい経験ではありましたが、これがまた思わぬ効果をもたらしたんです。

人間は運動しているときに想像力が掻き立てられ、思考力が高まるとされています。僕もほぼ毎日のように往復12キロの道のりを歩きながら「こんな考え方もあるかな?」「実際にこう役立ててみたらどうだろう?」と一人で思考を巡らせていました(笑)。

この行動を続けたことで、身につけた思考力がさらに成長したのではないか、と考えています。

毎日12キロの道のりを歩け!とは言いませんが、考えながら映画を見ること、そして歩きながら思考することは、自分の思考力、つまりクリエイティビティを活性化させる効果があるのではないかと想像しています。

僕のやらかしエピソードを都合良く、そしてちょっとかっこよくまとめてみましたが、楽しんでいただけたでしょうか?

少しでも参考になるお話ができればと思い、日々noteを制作しています。

あなたの人生がより輝くことを心より願っています。最後までご覧いただき、ありがとうございました^^

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