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"手"工業というジャンルを

工芸と工業の違いは何かと問われた

ぼくはこの問いに立ち止まって考えてみた

正直、みんなが期待する答えを
持ち合わせていなかった


ものづくりに携わる者として
プロセスの違いとしか
言いようがないと思っている

出来上がったものや商品は
どちらのプロセスを辿ってきたかで
価値が変わってしまうのか

そうなんだとしたら、
大量生産を前提としたプロダクトは
悪なのだろうか

職人さんが丹誠込めて
つくりあげたものにしか
尊さが宿ったり、愛着が湧かないのか

そんな世の中なら寂しい


だからぼくは、
工芸と工業の違いを明確に分けること自体に
違和感を抱いている


歴史的にはどうなのかと
ぼくなりの考察もしてみた

家内制手工業という仕組みがある

(のちに問屋製家内工業、
 工場制手工業と歩みがあるが)

農家が自ら原材料や道具を調達し
商品の生産、販売までを行う

現代的に解釈するのなら
家内制手工業は"工業"と言えるのだろうか

どちらかと言えば
職人仕事に近い"工芸"的ニュアンスで
捉えられると思う 

現代人の"工業"に対するイメージとして
【機械化された合理的生産】を
想起する人が多いからではないか

ここ100年くらいの話なんだろうな

昔は当然のことながら
機械なんてあまり普及していなかった時代

職人さんも存在していて
その道具を貸し出し、ノウハウを伝播し
農家でつくってもらうという
問屋製家内工業のはじまり

ひとつのアンサーとしては
【工芸を一般化したものが工業】
と導き出せるかなと思う

その人(職人など)にしかつくれなかったものが
誰にでもつくれるように、仕組みをつくり
合理化し、波及させていく

そんなことかもしれない


あれ


でもよく見ると、
家内制"手工業"

そうか
手工業か

手工業って
工芸?工業?

その間を表現するのに
ちょうど良い気がする


「ぼくの仕事は、手工業を生業にしています」

こんなジャンルもありじゃないかな

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