2023年9月~10月に見た映画

☆は5段階評価です。5時間超えの「ハッピーアワー」を筆頭に、長尺の映画を結構見た気がします。おっさんになると長い映画は面白かろうがつまらなかろうがすごく疲れるという学びを得ました。

仕立て屋の恋(パトリス・ルコント) ☆☆☆

江戸の名物男 一心太助(沢島忠) ☆☆☆☆

サブウェイ(リュック・ベッソン) ☆☆

つかみどころのないストーリー展開がシュールや荒唐無稽に突き抜けることもなく、ただ散漫なだけの印象。主要人物のキャラクター描写も薄味で面白味がまったくない。地下鉄構内という舞台の魅力とイザベル・アジャーニの美貌をもってしても救えない退屈さだ。

ピンクカット 太く愛して深く愛して(森田芳光) ☆☆☆

特異なシチュエーションを活かしたエロや笑いがもっとあってもよさそうなもんなのに、そのへん工夫した形跡はあまり見られずダラダラと展開。森田芳光はロマンポルノで何をやりたかったのだろうと思う。

とはいえ美乳且つ人懐っこさを感じさせる寺島まゆみの存在だけでも低評価する気になれない。全身ピンクのファンシーな服装も似合ってる。また、ショボいなりに多幸感溢れるラストは良いと思った。そういや「そろばんずく」もこんな終わり方だったなあと思うが、良くも悪くもザ・80年代って感じの軽薄短小森田芳光ワールドは堪能できた。

さすらいのカウボーイ(ピーター・フォンダ) ☆☆☆

長い灰色の線(ジョン・フォード) ☆☆☆

豪快に皿を割るパワー、一言も喋らないオハラという極端なキャラ描写が楽しい序盤が結果的には一番良かった。それなりに感傷を誘う場面はあるものの、物語に思い入れを抱ける要素は絶無。彼らが生きた時代の価値観と、現代のそれとの隔絶ばかりを感じる。

三人の名付親(ジョン・フォード) ☆☆☆☆

砂漠での過酷なサバイバルを描く一方で、男3人が慣れない育児に奮闘する場面ではホノボノ感が漂う。尊大な役が多いジョン・ウェインのチャーミングな一面を垣間見ることができる良さがある。聖書の扱いも面白く、話を転がすアイテムとしてうまく機能してる。

勝手にしやがれ(ジャン=リュック・ゴダール) ☆☆☆☆

自由度の高い編集がベルモンドの奔放な生き様とリンクし映画は瑞々しい輝きを獲得。ロケ撮影の開放感ある画が素晴らしい。本筋と関係ないメルヴィルのインタビュー場面も異常にかっこよく、受け答えがユニーク。こういう細部にもゴダールらしさが漲っている。

いぬ(ジャン=ピエール・メルヴィル) ☆☆☆☆

忍者狩り(山内鉄也) ☆☆☆☆

ハッピーアワー(濱口竜介) ☆☆☆☆

リバー・オブ・グラス(ケリー・ライカート) ☆☆☆☆

ウルフ・オブ・ウォールストリート(マーティン・スコセッシ) ☆☆☆☆

トラック野郎 望郷一番星(鈴木則文) ☆☆☆☆

梅宮辰夫が野生のクマみたいで迫力ありすぎ。殴り合いの最中にカチコチの冷凍状態になってしまう文太と辰ちゃん。登場人物も全員アホなら演出もアホだ。ガキを引き連れてのトルコ風呂は今の倫理観だと完全アウトな表現だろう。ある意味貴重な映像と言える。

ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地(シャンタル・アケルマン) ☆☆

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(マーティン・スコセッシ) ☆☆☆☆

ディカプリオの額のシワもさることながら、デ・ニーロのニヤケ笑いは物語が進むにつれ心底恐ろしく見えてくる圧倒的凄みがある。要所要所で突発的に起こる暴力・殺人描写の妙な重さにもドキドキさせられた。長尺をダレずに完走するスコセッシ演出、絶好調。

㊙極楽紅弁天(曽根中生) ☆☆☆☆

エッセンシャル・キリング(イエジー・スコリモフスキ) ☆☆☆

話を転がすマクガフィン的な何かがあってもよさそうなもんなのに、そういうものを一切排したミニマルな作りだが、相当に薄味とも言える。逃亡の描写はそれなりにハラハラさせられるし母乳の件などインパクトはあるものの、80分という短さのわりにはダルい。

トラック野郎 男一匹桃次郎(鈴木則文) ☆☆☆☆

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