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読書レポート #10 『サムスン式 仕事の流儀 5年で一流社員になる』


この本を選んだ背景

以前にボストンコンサルティンググループの本を読み、特定の企業のやり方が書かれた本を読んで感銘を受けた。
以前書いた記事はこちら

そのため、"超大手企業のやり方"の本をまた読んでみたいと思うようになった。そんな中で本屋を巡ったところ、今回読むことになった「サムスン式 仕事の流儀」を発見した。

サムスンことサムスン電子は1969年に創業された総合電機メーカーで、現在は韓国で最も大きな企業である。韓国のGDPの2割を占めており、韓国にとって無くてはならない企業となっている。株式時価総額では世界30位ほどに位置しており、世界でも存在感を示すグローバル企業である。

韓国で最も大きな企業であるサムスンのやり方とはいったいどのようなものなのか知りたいと思い、今回読んでいこうと思った。

内容

この本は営業部門で顕著な成果を上げた方が執筆しており、営業のノウハウに関するものも多かった。しかしながら、エンジニアにも活かせる仕事の流儀は多くあった。
中でも具体的なものを以下に記す。

・「業務の証拠」を残すことを忘れるな

ビジネスは先の見えない世界であるが、この中でもっとも強力に自分を守ってくれるものは「証拠」である。エンジニアとしてはまさしく「エビデンス」がそれにあたる。

実装した機能が正しいことを証明する資料として作用し、どんな現場のどんなシステムでも必ず上長に提出する資料である。これを正しく漏れなく作ることで評価が上がることは容易に想像がつく。

・「解決策のない報告」をしてはならない

どんな現場でもトラブルは突然起きてしまうものである。そのトラブルに対する初期対応が遅いと、その後の対応が良くても不利な立場におかれることはよくあることである。

不利な立場に立たされないために、上長に迅速な報告を行うことはもちろん、問題の原因や解決策を併せて報告するべきである。こうすることで問題が深刻化する前に対策を立てることができるため、問題解決の主導権を握ることが可能となる。

・敵はなるべく作らない

社内で敵を作ってしまうと、仕事の支障のはもちろん自身のキャリア(特に昇進)の停滞を招くことになる。このため、敵を作らない方法は身に付けておくべきである。

敵を作らずに済む方法は下記の3つである。

  1. 感情のジャンピングを止める

  2. 問題解決に向けて誠実に正面突破する

  3. 理解しあえる誠実の基盤を築く

特に3番目の「理解しあえる誠実の基盤を築く」が大事である。敵を作ってしまう原因の大半は「相手をよく知らない」ことである。よく知る人がミスした場合と何も知らない人がミスをしたのでは、出方が異なる。

ビジネスのドライな場面であっても、仕事を行うのは生きた人間である。人間どうしのウェットな関係性があるかないかで対応が異なることはいくらでも存在する。

そのため、相手をよく知ることで多少のトラブルがあっても協力しあって乗り越えることが容易になる。

学んだこと

この本では業務のやり方以上に「人間力を高める」コツが書かれていたように思う。

時間を守る・服装をきちんとするといった基本的なことはもちろん、「業務の証拠を残せ」「デスクの整理整頓を行い頭の中を整理する」といった、業務に臨む上で大事な具体的行動についてはとても参考になった。

しかし、それ以上に参考になったのは「真に求められる実務型人材とは、実務の前提や並行業務との協力体制を理解した上で、そこに携わる人たちが気持ちよく仕事ができるよう『クリエイト』できる人」という概念である。

一流社員は実務ができるだけでなく、携わる人たちが求めることを公私両面で把握し適宜与えることができる人間的魅力が高い人であることをあらためて感じた。特に、他者の基本情報や趣味・仕事のスタイルや性格などを事細かに把握して相手を立てることを「クリエイト」というのは自分にとって新鮮であった。

アーシャルデザインのエンジニアは実務知識・経験以上に「人間的魅力」を前面に押し出している。私はアーシャルデザインのエンジニアとして人間的魅力を出そうと努力はしているが、正しい努力ができているかは正直自信がない状態だった。

しかし、この本から学んだ「相手を事細かに知る」ことを楽しみつつ、相手を立てることを「クリエイト」していくようにしていけばエンジニアとしての仕事をさらに楽しめるようになるだろうと感じられるようになった。

私は今年で30歳となり、より一層責任を求められる立場と仕事を行うようになるだろう。「業務を正しくこなすことは当然で、相手を良く知り相手を立てることを楽しむように仕事する」よう心がけたい。

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