Akira Ishiguro
2020年2月22日に東京の遊工房アートスペースで行われた、「AIR交換プログラム活動成果報告会」でのレポートの模様をこちらで公開しています。
「層序を編む」というのは帰国後に提出したエッセイのタイトルなのですが、今日はそれをベースに内容を拡張した形で、話していきたいと思います。「人新世へ」「マーブレスクによる人新世の考察」「液体の通り道」という流れで話していきたいと思います。マーブレスクというのは、ここにも展示している僕のオリジナルの大理石絵画シリーズの名前です。 では、本題に入って行きたいと思います。よろしくお願いします。 "Editing stratigraphy" is the title of th
石黒昭です。お忙しい中本当にありがとうございます。 僕は2008年より独学でアーティストとしてのキャリアをスタートしました。デコラティブペイント職人の経験から、虚実の捻れたはざまの表層へのアプローチを作品にしています。近年ではマーブレスクシリーズにおいて、新しい地質年代の表層である人新世の景色を描いた絵画を国内外で発表しています。 今回のイギリスのレスターにおける遊工房とStudionAmeの交換プログラムへの参加は、人新世研究の第一人者(国際層序委員会 人新世作業部
“ 私はマーブルを描く時にいつも同じ風景を見ている。” 私はひざ丈ぐらいまで草が伸びた小高い丘のゆるい斜面に、眼下からせり上がってくる風を感じながら立っている。露が葉末を伝って地表に染み込み、地中を抜けて地下水となるまでに描く軌跡を想像する。その軌跡から重力を感じ取り、マーブルを遠近法の無い風景画と捉え、自然の造形美を見つけて、「自然の法則を抽出した線」を写し取ってきた。 地質学において地層の出来た順序では現代は完新世の時代に当て嵌まるが、それが終わり新たな地質年代に