脈3/4 (米子 東光園のつづき)
「出雲大社にはね…」(米子 東光園) : 卍(温泉探求部ブログ)
↑前回2021年12月 寺・石昨晩はあの後部屋に戻って、石川が新しく買ったiPad miniの仕事での使い方などを熱心にレクチャーをしてあげてから寝た。鳥取から松江までの移動は特急で1時間半かかった。自分が作った資料で一番気に入ってるページにはスーパーまつかぜと書いたが
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↑前回
露天風呂での話の内容。一人旅も好きだけど、こうやって誰かと旅行に来れば思い出や感動を共有できるから最高だな〜とか、恋バナとか、この貸切温泉のサイズで誰か来たらちょうど気まずい広さだね、とか。この冷気の中で熱すぎずぬるすぎない露天風呂を保っている湯守の人に直接お礼を言いたいね(いるか知らんけど)とか。
「明日月曜か…最高だな」「ほんと、休み取れてよかったです…普段だったら翌日に備えて気持ちの準備していく時間に、こんな何も知らない遠いところで温泉入って、夕飯の蟹のこと考えていられる…。ありがとうございます」「ふたりで協力したおかげだよ」
🌫🌫🌫🌫🌫🌫🌫🌫🌫ふと、先週職場で後輩Kと話したことを思い出す。「なんであんな意味不明な国に旅行して面白いエピソードの一つも話してくれないんだろう、それがやなんです」「きっとあの人は、君に話す価値はないと思ってるんだよ」「絶対なんかあるでしょ、インドとかだってみんなだいたいタクシーぼったくられたっていう話するじゃないですか。そういうのが欲しいんですよ、向こうのおじいちゃんに訳わからない言葉で話しかけられたけどノリで話したらなんか二人とも笑ってたとか、やたら物価が安いとか、食べ物がどうとか、海外行ってそういうの話してくれないのってなんかやじゃないですか?」「中東、行ってみたら案外日本と全部同じだった説もあるよ」「そんなわけないっす!」「変なところ気にするね…」🌫🌫🌫🌫🌫🌫🌫🌫🌫🌫
「…!! さて、そろそろ飯の時間だから出るか」(帰ったらあいつに飯の話とかしなきゃ…)「はいっ!」
ボイル蟹、焼き蟹(刺身でもいただいた)、蟹鍋、蟹雑炊…蟹の料理を列挙したが、もちろん懐石なので天ぷらとかお造りとかもたくさん出てくる。年末年始に家族で蟹を食べるのが恒例という人もいるが、うちはそうでもないので蟹の身をほじくりかえす作業なんて10年以上していない。石川も同様らしい。なのに食い意地ばかり張っている二人なのでいつになく真剣に蟹の解体に取り組み、気付いたら2時間近く経っていた。一回食べた蟹の脚、時間をおけばまた身が復活することがわかって2周目をかけるが、さすがに作業にも飽きて給仕係のお姉さんに絡み始める。
「時間かかってすみません。嫌ですよねこんな人たち。」「いえいえ、こんなに綺麗にお召し上がられる方珍しいですよ」「蟹に慣れてない上、卑しいので…へへ」今思い出すと自分らがカニだったのかと思うほどキモい。
そんなこんなで一人1.5杯の松葉蟹を完食し、部屋に戻る。
チルッ…!!手くさっ!!
部屋を消灯し、テラスハウスで覚えた「チル」という言葉を連呼しながら庭園に面した窓際で涼んだ。
翌朝。
部屋風呂の眺めが良いのと温泉が出ることに気付き、上機嫌になった俺は北風小僧の寒太郎をしつこいくらい歌っていた。しかし待ってくれ、そんな目先のくだらない楽しみのために来たのではない。東光園といえばメタボリズムを代表する有名建築!
中庭から見た。かっこいい。頭のてっぺんまでテンションが上がっても、口をついて出てくるのは北風小僧。何故だ。幼少期に聴いた歌が何故今更33歳になって無性に歌いたくなるんだ。いつどこにこの歌が刷り込まれたというんだ。
冬で〜ござん〜す〜🍃ヒュルルンルルル〜⛷
嗚呼、石川。君はこのフレーズの中に俺が微分音を混ぜて歌ったということに気付いたかな。
チェックアウト。名建築を後にし、天気が芳しくない中、弓ヶ浜を見に行ってみる。思ったよりずっと重苦しく、荒々しい。前に本で読んだ「白い海」という現代詩を思い出す。
波がテトラポットに砕ける音が、まるでいつかテトラポットを砕いてしまうんじゃないかと思うくらい力強い。湘南の海なんて目じゃない。友達になれないタイプの海だ。
米子駅で特急を待つ間に寄った喫茶店のママがめっちゃ訛ってたのが印象的だった。出雲大社に着く。
何かでも書いた気がするけど、高い木はいい。自由な気持ちになる。参道にはそんな高い木がわんさか生えていた。
屋根と縄がおかしいくらいデカい。石川も実際同じくらいデカいが、彼はおかしいから仕方ない。縁結びの神様がいるらしい。神の力は偉大だ。さて、最後の観光ポイントである出雲民藝館に向かいたいところだが、俺はお土産の島根ワインを買う使命があったため参道沿いに立ち並ぶお土産屋を全軒制覇することにした。意外にも早い段階で目当てのものが手に入ったので、余力でのどぐろ丼やすなばコーヒーに舌鼓を打った。民藝館までのバスがなかなかこない中、石川がタクシーを捕まえて、前の人が降りてくる前からずっとタクシーの近くに突っ立ってて殺人鬼みたいな佇まいが怖かった。民藝館はめちゃくちゃ良かった。「民藝」という庶民のための日用品というくくりの中でいかに親しまれるものを作るかという工夫や、陶器の重厚感を感じられたのが良かった。objectsに行けなかったのもあって、ここのショップではちょっとかっこいい皿を購入した。出西窯という、このへんでは割と名の知れた窯で作られたものだ。石川もいい感じのマグを買ってた。
海底とか宇宙っぽい。出雲市駅に到着。19時前の寝台列車「サンライズ出雲」を待つ。
「とりあえず蕎麦食うか。その後カツカレー食おう。」
続く
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