私の失敗ストーリー#1『後悔先に立たず』
僕の名前は中村圭佑。
昨年の春に10年間続けていたお笑い芸人を卒業し、今年の夏から保険外交員として外回りに勤しむ営業マンだ。
今日は神社と梨と妻をこよなく愛するこの僕の少し苦い思い出を、あなたにコッソリと話そう。
あれは僕が中学生の時の話しだ。
この頃の僕は思春期真っ盛りで、他人の目を異常なほど気にしていた。
異性への興味も始まった頃だったので、色々な面で過敏になっていたのだろう。
青少年の成長過程としては誰もが通る道だ。
そんな中学生活のある日のこと、野球部だった僕は同じグラウンドで練習しているサッカー部と陸上部に迷惑のかからないように、トスバッティングの練習をしていた。
トスバッティングとは相手から軽く投げてもらったボールをワンバウンドで打ち返す練習だ。
普通は軽く打つのだが、僕と他の3人とで途中からふざけだして、少し強めに打ち始めた。
徐々に悪ノリが加速して、そのうちサッカー部や陸上部にも影響が出るくらいのフルスイングをし始めた頃に事件は起こった。
それまで職員室にいたはずの野球部の監督が鬼の形相でグラウンドに戻って来たのだ。
どうやらサッカー部か陸上部の誰かが、監督に苦情を伝えたらしい。
『お前ら何しとんじゃぁ。』
監督は普段からおっかない人なので、怒るとそれはもうめちゃくちゃ怖い。
『今、ふざけとった奴、正直に出てこい。』
言葉に心は反応していが、怖くて体が動かなかった。
すると僕以外の3人が観念したかの様におずおずと前へと出ていった。
監督の怒りはMAXへ達していた。
『他の部の奴らにケガでもさせたらどうするんだ。お前ら責任とれんのか!ああ。』
正直に前へ出た3人は、順番に頭を叩かれ怒鳴られていた。
僕は自分だけ名乗り出なかったことに罪悪感を感じて前に出ようとしたが、今更になって出たら余計に怒られるのではないか?という恐怖心から、その一歩を踏み出すことが出来なかった。
頭の中を色々な可能性が駆け巡り、考えれば考えるほど悪い展開しか想像出来ず、結果として3人が怒られているのをただただ見ているだけだった。
その日の練習が終わって片付けをしているときも僕は罪悪感から3人の顔をまともに見れなかった。
その中の1人と一度だけ目が合った時の(お前だけ逃げやがって)と言わんばかりの表情を僕は今でも忘れられない。
結局その後も僕は、3人にそのことについて謝ることが出来なかった。
責められるのが怖かったのかもしれない。
しばらくの間は、この一件をみんなが早く忘れてくれる様に願っていた気がする。
これが僕の苦い思い出だ。
今思い出しても胸の奥がなんだかチクチクする。
ただこの出来事があったからか、今の僕はその時に思ったことをなるべく正直に伝えるように意識しています。
それが良いのか悪いのかは別として、その方が僕にとって心地が良いからそうしてます。
もし僕のこの話しを聞いたことで、今後のあなたの人生が少しでも豊かになったらとても嬉しいです。
最後まで聞いてくれて、どうもありがとう。
中村圭佑プロフィール
1985年11月8日生
宮崎県小林市出身
神社と梨と妻をこよなく愛する34歳。
10年の芸人活動、1年のフリーター期間を経て、現在保険営業マンとして、初のサラリーマンを体験中。お客様の喜びを目の前で見ることが出来るセールスマンは天職なのではないかと、なんとなく思い始めている。
中村圭佑noteリンクhttps://note.com/p105085k
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