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【都議選2021】麻生太郎副総理の応援演説を聞きに昭島市まで行ってきた【疲れた】

 今日は都議選の告示日。午前中は吉祥寺駅で立憲民主党の枝野幸男代表の第一声を見物して、その勢いで囲み取材も付き合い、午後は昭島市に向かった。JR青梅線の東中神駅前(昭島市)で、麻生太郎副総理が自民党新人候補の応援演説に入ったのである。

 と、ここまで書いていたら、共同通信が麻生副総理の都議選候補応援時の発言について配信しているのを見つけた。

 麻生太郎財務相は25日、過労で静養している東京都の小池百合子知事について「自分でまいた種でしょうが」と述べた。同日告示された東京都議選で、青梅市選挙区の自民党新人候補の応援演説をした際の発言。

 麻生氏は、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会を「代表の国会議員がいないから(国に)話が通じない」と指摘。「従って知事が自分でやる。過労で倒れた。同情してる人もいるかもしれんけど、(小池氏が)そういう組織にしたんだから」と批判し、都議について「自民党とつながってる人がいなきゃ話がつながらない。一番上が国会であるならば」と強調した。

 相変わらず、下品な方だ(苦笑)。ただ、あまりにも記事が短いので、どういう文脈で出た発言なのか理解できない。本来、これに対して記者が「どういう意味ですか?」と問うて初めて、記事としては成立するが、記事の短さから察するに、シンプルにこの部分だけ切り取ったのだろう。

 私はこの発言を直接聞いていない。麻生副総理はこの日、青梅市選挙区でも新人候補の応援に入っていたようだ。私はたまたまTwitterで麻生副総理が東中神駅にやってくることを見つけた。今回、コロナ禍で自民党は党幹部の遊説日程をHPやSNSでほとんど公表していない。報道機関にはプレスリリースが入っているのかもしれないが、フリーの立場の私には公表されなければ、追いかけようがない。

 東中神駅に着いて、日差しを避けて日陰のベンチに腰を下ろして、演説が始まるのを待っていた。ようやく始まり、選挙カーの前方に移動しようとしたら、候補者のスタッフに「取材ですか?」と呼び止められた。どうやら、報道陣は1カ所に固められた。大臣級が2人もそろうため、SPの数もハンパない。

 まずは、東中神駅での麻生副総理の発言を書き起こしておきたい。

 麻生太郎です。井上衆院議員の応援で衆院25区に何度か入ったことがあると思うんですけど、たぶん、昭島は初めてだと思うんだけど。今日は初めて生でこの面を見るって人。おお。じゃあ、安保さんを見たのも初めてって人はどのくらいいる?

 やっぱり選挙ってのは、長い間、地元でいろいろやってくれている人はだんだん顔が売れてくる。そうすると、なんとなく、その人に対して信頼も感じます。その人がいろんなことをやってくれるのを見ているわけです。したがって、長いこと継続してやるのは大事なことなんです。若い人でいいやっていう人、いっぱいいるけど、つい10年くらい前、民主党内閣の頃、あの頃、何が起きましたでしょうか。みんな、まだ記憶があると思うんですけどね、役人はいらない、俺たちが決めると言って、何にも決められなかった。あの3年半、あれが日本の景気を決定的に悪くした。

 少なくとも、今、我々が戦っている相手は、悪いのはコロナ。コロナと我々は戦っているわけですが、誰が悪いかって、一番悪いのはコロナなんですよね。人が悪いでもなんでもない。コロナが悪いですよ。そのコロナにどう対応するのかという話。人の流れを止める。人の流れをロックダウンして完全に止めたけど、相変わらずだ。アメリカでは55万人亡くなっております。人口が3倍ったって、日本は1万人。ぜんぜん桁が違う。日本の場合は先進国でも亡くなった方が最も少ない。10万人当たりにしたら、6人、7人、ぜんぜん桁が違う。そういった意味では、それなりに成果は出ている。

 今はなんといってもワクチンです。このワクチンがどれだけ早く広まるか。既にワクチンの確保は終わりました。ワクチンに対するお金も出ました。問題はこのワクチンを、東京都に渡った、その渡った東京から下に降りてこにゃいかん。昭島市のどこどこに。ここが肝心なところだ。我々はとにかく急ごうと、ワクチンを1日100万回。笑われましたよ、100万回なんてできるわけないって。この3日間、ずっと100万回を超えている。それを一つ一つ確実にやっているのが、我々、自由民主党、政権政党なんです。

 都民ファースト(の会)というのが前回、出てきた。完勝しましたよ。ここにも投票された方がいっぱいいらっしゃると思いますけど(笑)でないと、勝てるわけがない。なんかいいんじゃねえかなと思った人もいるんだと思う。ねえ、それはそれでいいですよ。結果として、我々がどんな結果になったのか。都民ファースト所属の国会議員はいませんよ。都民ファースト所属の市議会議員、区議会議員もそんなにいない。皆さんの住んでいる市、都、国、ぜんぶつながって、みんな、仕事が上から下までさっと動く。そのつながりがあるかないかは、極めて大きい。この安保満君の場合も、間違いなく国会議員や現職閣僚ともつながっています。もちろん、私をはじめ、多くの応援している仲間は、いろいろと知っている人たちだ。そういう候補者こそが私どもは役に立つ。見てくれはあまり関係ないんだ。女性だって、男性だっていい、若い人でもいい。若くても能力はあるし、年寄りでもやれる人もいる。見てくれだけの人もいる。肝心なのは、やる気がないと話にならない。私はもう80。この世界に40で入った。しかし、ずっと連続して当選させてもらわないと、いろん意味で…。前回、4年前は都民ファーストに入れた人は、この4年間、どうだったのか思い出してみてください。

 7月23日にはオリンピックが開会する。前のオリンピックを記憶している人もいらっしゃるだろう。私は当時23歳。あのときだって、やれ、公害がどうの、こんなところに人が呼べるのかって、みんな言ってたじゃない。でも、終わってみれば、大成功としか書いてない。結果としてアジアで初めてのオリンピックは極めて成功裏に納められた。言う時は言うけど、決まったらやるのが、日本の持っているいいところだと思っている。ぜひ、今回もそういったものを片付けて、オリンピックを開いて、そして、仕事がある、元気がある、活力がある、やる気がある、

 貯金が溜まったって意味がないんです。その貯金を何に使うか。それが一番肝心なんです。抱えている問題は多くあるが、一つ一つ片づけて、きちんと対応する。それによって初めて日本という国が動き始める。

 音がハウリングして聞き取れなかったところは省いているし、元々、酔っ払ったようなしゃべり方をするから、非常に聞き取りにくい。だが、しゃべった内容はおおむね起こせていると思う。

 少なくとも、昭島市では「小池百合子」の「小」の字も出てこなかった。

 これは、他の応援弁士も候補者も同じだ。彼らは、小池都政との対決姿勢はいっさい見られなかった。小池知事や都議会に対する現状認識は全く聞かれなかった。少しだけ昭島市選挙区選出の都ファの現職の悪口は出たが、そこは主題ではなかった。

 彼らにとっては、昭島市選挙区から自民党の都議会議員が選出されていないことが問題なのだ。衆院小選挙区も、市議会にも自民党の議員がいるのに、都議会にだけ自分たちの代表がいない。

 都議選の昭島市選挙区は定数1だ。民主党が第1党となった2009年の都議選で、野党系の候補者が当選したが、自民党に逆風が吹かない限り、自民党の指定席とでも言える選挙区だ。2017年の都議選では、その指定席に都民ファーストの会の新人候補が風穴を開けた。今回は、都ファの現職、共産の新人、自民の新人の三つどもえの戦いとなっている。

 昭和の時代には社会党が強かった時期もあるが、基本的には自民党の強い保守的な地盤である。

 麻生副総理の演説でも強調されていたのは、国や都とのパイプなのである。小池都政のここを質したいとか、小池知事と対峙するとか、そういうかっこいい話ではない。都市部の選挙区での論戦と比べると、拍子抜けしてしまう。これは、昭和の時代から脈々と続いている従来型の組織選挙である。首都・東京ですら、地方選挙はこんなものだ。

 青梅市選挙区で飛び出した麻生副総理の発言も、おそらくそういう文脈の中で脈絡もなく口が滑ったものだろう。病気の人間をいじって笑い飛ばすのが現職閣僚として不適切なのは間違いない。だが、告示の様子を見て回った感想として、もう自民党は小池知事を追い落とそうとか、小池都政をやっつけてやろうとか、そういうレベルの選挙はやっていないことは確かだ(全て見たわけではないから、そうでない候補者もいるかもしれないが)。

 そう考えると、共同通信の屁のツッパリにもならない記事が空しく見える。しかも、ヤフーニュースがトップに挙げている。

 で、思うのだ。

 共同通信さん、そこ、ですかと。

 ヤフーニュースさん、そこ、ですかと。


 

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