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「科学的に根拠に基づく最高の勉強法」レビュー

アメリカで医師をされている安川康介さんの著書「科学的に根拠に基づく最高の勉強法」をレビューします。Amazonでもつねに上位にランクインしているベストセラーです。興味を持った方はぜひ読んでみてください。安川さんはYouTubeでも情報を配信されています。今回はその中でも中学受験に応用可能な4章をレビューします。実践しやすいのでこの章から読むのもおすすめです。


CHAPTER4 勉強にまつわる心・体・環境の整え方

勉強のモチベーションアップ

・アカデミック・セルフコンセプト(学業的自己概念)=自分自身についての理解や認識

日本では、教育において理系・文系というものが二項対立的に扱われることがあります。そのせいで「自分は文系(もしくは理系)」というアカデミック・セルフコンセプトを持つ方が多いように感じます。「自分は文系だから」と自分で決めつけ、特定の分野の勉強しかしないで、自分の可能性を狭めてしまうのはとても勿体ないことです。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.161)

肯定的なフィードバックはいいと思うのですが、「あなたは算数が苦手ね」「あなたは平面図形が苦手ね」というようなフィードバックはモチベーションにおいてプラスにはなりません。決めつけないことが大切です。子どもは変わります。よかったときは「得意だね」というように声掛けするとさらにモチベーションが上がるのでおすすめです。小さな成長でも見逃さないようにしましょう。

・自己効力感(=「自分にはこれができる」という感覚)を高める 

「自分にはできる」、そう信じることが、何か高い目標を達成するための大切な鍵になります。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.162)

学習において自己効力感を高める1つの具体的な手段としては、達成可能な小さな目標を設定し、成功体験を積み重ねていくというものがあります。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.164)

中学受験でも目標設定を誤ると早い段階で暗礁に乗り上げます。まずはがんばれば達成できる小さな目標を設定しましょう。応用まで1日で宿題を終わらせる目標よりも確実に基礎基本を終わらせるという目標にした方がモチベーションは上がります。少しずつ少しずつが大切なのです。

・セルフモニタリング 自分の勉強の進捗状況を記録する

毎日、起きてからその日の小さな目標を書き、終わったら線で消していく。解いた問題集や問題数を記録していたことがわかります。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.167)

保護者会ごとに紹介しているTO DOリストのことです。予定書いて、終わったあとに消し込みをすることで自分の勉強の進捗状況の記録になります。付箋などに書いて捨てるのではなく、ノートに書いて取っておくとよいでしょう。見返した時にまたやる気が出ます。普段の勉強ではなかなかそこまでできない人は夏休みなどにやってみてはどうでしょうか。このノート(コクヨ キャンパス ノート スタディプランナー デイリー罫 B5)を紹介したところ、はまった子は自分一人で計画を立てて勉強ができるようになりました。(見事第一志望校に合格しました。)自分でリストを作るのが難しい場合はぜひ親御さんと相談しながら作ってみてください。

・自己決定理論 自律性 有能感 関係性

外発的動機づけの中でも自発性の高いものは内発的動機づけに近いと考えます。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.172)

保護者会でおすすめの本を紹介することがあります。そのときに合わせて私が言うのが「自分で読みたいと思った本を読んでください」ということです。いくつかの選択肢の中から自分で選んだ方が読む気がおきます。また読書は1冊読み終わったあとの達成感を得ることができます。こうしてまたよいモチベーションがおきていくのです。

・前期中に読んでおきたい受験生へのおすすめ本(ここから自分の感覚で選ぼう!)

勉強のヒント

・インプットは場所を変えてみる

まず、集中力が途切れた時に歩くことで気分転換をし、また集中するというサイクルが作れたこと、歩くことで運動につながったこと、そしていろいろな「環境的文脈(記憶した時の環境や感情に依存する)」で情報をインプットできたからです。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.178)

私も集中力が切れてきたらコーヒーを買いに散歩に行きます。その時も歩きながら何か考えていたり、いい案が浮かぶこともあります。受験生の皆さんだったら暗記する場所をリビングやベッドの上など変えてみるのもおもしろいかもしれません。

・スキマ時間

まとまった時間、自分の机で勉強したい、そう思う人は多いと思います。でも、通勤・通学の移動時間、休憩時間、トイレの時間、誰かを持っている時間、家事や育児の合間などは、アクティブリコール(勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと)や分散学習を行うよい勉強時間です。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.180)

ちょっとした暗記物などをスキマ時間にやることはおすすめです。たとえば白地図などはどうでしょうか。親子で山地山脈川(日本アルプスが書けないなかなか書けない人が多いです、、、)などのクイズをしてみるのも楽しいかもしれません。白地図をコピーして持ち歩けば電車の待ち時間はクイズ大会になります。算数でも暗記物はあります。(平方数、小数分数の変換、3.14の段など)楽しみながらゲーム感覚でスキマ時間を有効利用していきましょう。塵も積もれば山となります。また本書p.205で紹介されているAnkiという単語カードになるアプリも楽しそうです。(PC版とAndroid版は無料ですがiOS版は3500円します。)

・教材は簡単なものから難しいものへ

1つ目は、勉強や課題でも「Optimal challenge(最適な難易度)」が人の興味やモチベーションを高めるからです。難しすぎると、「自分にはわからない」と感じ、自己効力感や有能感が感じられなくて挫折してしまいます。その点、比較的簡単な教材を読むと、1つ小さな目標を達成することができるので、その後の学習のモチベーションにもつながります。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.193)

たとえば語句でしたら「ちびまる子ちゃんシリーズ」が、歴史や公民だったら「中学入試まんが攻略BON!シリーズ」をおすすめしています。マンガは中学受験の強い味方です。これで何となく大枠を理解してからテキストを読み込むと理解が深まります。算数でもまず基礎基本をしっかりやることをおすすめします。基礎基本がグラグラのまま応用問題に行って痛い思いをしたことは誰しもあるはずです。計算で今の学年が難しかったら思い切って1つ前の学年のものに戻ってもいいのです。
 
テスト直しも同様です。モチベーションが高いときはすべての問題の直しをすべきと思うかもしれません。しかしこれが罠なのです。しっかり正答率で区切る。(下位クラス50%以上上位クラス30%以上)難問を必要以上に追いかけないことがコツです。時間がないときは問題数で5問、時間で30分以内なども有効です。

・本当に大切なことを忘れない 家族 友人

いくら勉強が大変でも、ユーモアを持ち続けること、人生を楽しむ視点を持ち続けること、大切な人のことを思いやること、そうしたことを忘れないようにしたいと考えています。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.209)

中学受験は必ずやらなければならないことではありません。むしろやっている人の方が少数派です。またお金もかなりかかります。子どもが嫌がっているのを無理やりやらせる必要はないと思います。高校受験すればいいだけです。ただ、いずれ壁にぶつかる時がきます。それは早い方がいいと私は思っています。壁にぶつかったときにどうするかが大切なので、早い段階でそれを親子で乗り越える練習をしておくことは人生にとって必ずプラスに働きます。ただし、一番大切なものは家族です。それを忘れないようにしましょう。

勉強で不安を感じたとき

未来のことを考えることは大切ですが、やらなければいけないことが多く、不安になってしまうこともあると思います。そんな時、僕が意識したことは「今日、一日の区切りで生きる(ウィリアム・オスラーの言葉)」ということです。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.234)

受験間際に保護者様に相談を受けることもありますが、その時に私がいうのも同じようなことです。「今を生きる」精一杯今できることをすればよいのです。目の前のTO DOリストにあることを1つずつ終わらせていけばよいのです。たとえば本を読むのが苦手な人には賞の終わりに付箋をつけて、1章ずつ読むことをアドバイスします。5章だったら5日で読み終わります。その繰り返しが受験勉強です。

ジャーナリング 自身の感情や考えを書き出す 対処法

①悩んでいる事柄を詳しく書き記す。
②それについて自分にできることを書き記す。
③どうするかを決断する。
④その決断を直ちに実行する。

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.239)

子どもだったらテストの前の日などに書いてみるといいかもしれません。

計算ミスをするかもしれないと不安に思う。
→ではどうすればよいか?
→ていねいに計算をする。見直しをする

など自分自身に事前に問いかけてシミュレーションしてからテストに臨むとよいでしょう。本文にあるようにメタ認知を鍛える良い手段です。メタ認知(自分を俯瞰して見ること)についてはまた別の機会にお話ししたいと思います。親御さんでしたらノートでもいいですし、XなどのSNSに不安をつぶやいてみてもいいでしょう。同じような悩みを抱えている人と共有できるかもしれません。

勉強を頑張っている、あなたへ

「あなたならできると思います」

科学的に根拠に基づく最高の勉強法(p.242)

子どもは変わります。これは毎年子ども達を見ていて確信しています。いつ変わるかわからないのでもどかしいですが信じて待ちましょう。最後まで応援してほしいです。


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