日高 晶

日高晶と申します、しがない物書きです。 『塵も積もれば毒となる』というデトックスエッセ…

日高 晶

日高晶と申します、しがない物書きです。 『塵も積もれば毒となる』というデトックスエッセイを書いてます。 「王様の耳はロバの耳」のような、日常生活で絶対に表に出せない私の自虐心を軽くするためだけに吐き出す、基本は毒の塊みたいな自虐エッセイの笑い話です。 週1更新予定。

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  • 塵も積もれば毒となる

    デトックスエッセイです。 「王様の耳はロバの耳」のような、日常生活で絶対に表に出せない私の自虐心を軽くするためだけに吐き出す、基本は毒の塊みたいな自虐エッセイの笑い話です。 週1更新予定。

最近の記事

塵も積もれば毒となる 第12回 「サーフィン型CD」

以前書いたが、両親が音楽に興味が無い。 その癖ミーハーなので、世間が話題にすると急に縁も所縁も無いのに興味を持つことがある。 尾崎豊さんが亡くなった時、ニュースで何度も何度も取り上げられたので「試しにCD買ってみるか」とか言い出したので、背中を蹴りつけてやろうと思ったことを今でも覚えている。 どれくらい興味が無いかと言うと、数年前大ヒットした映画「ボヘミアン・ラプソディ」を、何の気まぐれか、やはり世間が騒いだからか、ミーハー魂が騒いだのか、テルが急に観て来たことがあった

    • 塵も積もれば毒となる 第11回 「憧れ?恐怖?」

      私とジャイアンは2歳差で、中学迄は同じ学校に通っていた。 学生時代の2歳とは大きなもので、中1の時の中3は大人に見えたものだ。 小学校の頃は気にならなかったが、制服の世界に身を投じると、知ってる人も知らない人に見えてくる雰囲気を味わうことになる。 家では犬猿の仲で憎まれ口を叩き合うような関係のジャイアンが、学校に行くと「優等生の上級生」に変わってしまうのだが、これが当時は相当な違和感だった。 以前も書いたが、テルとジャイアンは「外面が良い八方美人タイプ」なので、家での

      • 塵も積もれば毒となる 第10回 「棘の一言」

        ユダは必ず余計な一言を言う。 そのタイミングがまた、絶妙に人のやる気を奪い、棘のように小さく消えない傷をつける。 よく、学生の子供がダラダラしていて、いい加減痺れを切らした親が苛立って「早く宿題済ませなさい」とか「お風呂に入りなさい」と叱ると、逆ギレした子供が「今やろうと思ってたのに、やる気がしなくなった」と不貞腐れる風景があるが、そんな微笑ましいレベルのモノではない。 朝、洗面所ですれ違うと、挨拶より先に「臭い」。 これから綺麗にしようという気も失せる。 頑張って

        • 塵も積もれば毒となる 第9回 「私って、貧乏だったの?」

          タイトルは往年のドラマ「私って、ブスだったの?」のパロディだが、美人が言う「私ってブスだから」とか、猛勉強の末に一流大学に入った人の「何で私が東大に?」という、鼻につく嫌味なぐらいの謙遜はともかく、特に自覚が無かったけれど、もしかしたら我が家は貧乏だったのかな・・・と徐々に気づいて行く過程を悲しい実例を元に、年代ごとにまとめてみた。 幼少期、友達がスナック菓子やアイスを食べているのを横目に、ジャンパーのポケットから出て来たのはスルメの足だった。 小学生になり、我が家では一

        塵も積もれば毒となる 第12回 「サーフィン型CD」

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        • 塵も積もれば毒となる
          12本

        記事

          塵も積もれば毒となる 第8回 「最後の拳」

          最後に殴り合いの姉弟喧嘩をしたのは、ジャイアンが16歳、自分が14歳くらいのことだったと思う。 そこそこ大人になり始めている年齢で殴り合いにまで発展した大喧嘩の原因は、将来のことを漠然と話していた時、ジャイアンが放った「家は私が貰うから親はアンタね」という心無い失礼な一言。 私が激怒した理由、大人の方なら理解して貰えると思う。 姉をジャイアンと呼ぶ理由も納得して貰えると思う。 こうした旨い汁を自分だけ吸おうとする心根が彼女の中に昔から根付いているからこそのジャイアニズ

          塵も積もれば毒となる 第8回 「最後の拳」

          塵も積もれば毒となる 第7回 「『帰れ!』と言われたから帰ります」

          昼間のショッピングセンター、または休日の行楽地に行くと高確率で遭遇する光景。 年端も行かない子供が様々な理由で癇癪を起して半狂乱になって泣き叫び、対する親御さんも様々な理由で折れるわけにはいかない時の光景。 地域とか男女とか関係なく、誰でも自分自身の幼少時の経験を思い出して、ほろ苦い気持ちになる光景。 私も例に漏れず、子供の頃に我儘勝手な理由で癇癪を起して、喉が裂けるんじゃないかと思うくらいの声で泣き叫んだ覚えがある。 言うことを聞かない暴走状態の子供に対して、親がつ

          塵も積もれば毒となる 第7回 「『帰れ!』と言われたから帰ります」

          塵も積もれば毒となる 第6回 「優先順位おかしくね?」

          ここに一枚の写真がある。 真っ赤な頬が尋常じゃないくらいパンパンに膨らんだ、今にも破裂するんじゃないかというくらいのアンパンマンフェイスに涙を浮かべ、苦しそうな表情で着物を着ている。 これは別に極端な肥満のリンゴ病児童のお茶会ではなく、おたふく風邪に罹った気の毒な子供を、七五三の撮影を写真館に予約しているから、キャンセルするのも面倒だし連れて出ちゃえ!という、人間としても親としても最低な我が愛しの両親によって連れ出された決定的証拠写真である。 もう40年近く前になるが、

          塵も積もれば毒となる 第6回 「優先順位おかしくね?」

          塵も積もれば毒となる 第5回 「甘いお誘いの裏に隠された悪意」

          「ロールケーキ買って来たんだけど、食べる?」 たまにユダがそう持ち掛けてくることがある。 一見普通におやつを買って来てくれた親切な言葉と捉えられるが、長い付き合いになる私はその裏に隠された真意を既に見透かしている。 ユダはそのロールケーキが気に入らなかった(または不味かった)ので、全部を一人で食べる気を完全に失い、家族に分け与えるそぶりをしながら処分したいだけである。 ユダ本人は気づいていないのだろうが、買って来たスイーツを振る舞う際、その口ぶりが全く異なるので、振る

          塵も積もれば毒となる 第5回 「甘いお誘いの裏に隠された悪意」

          塵も積もれば毒となる 第4回 「幼少時の思い出はそのままの姿で」

          ユダ(母)は気まぐれにお菓子をつくる。 文字通り本当に気まぐれで、私達子供が小学生だった一時期、憑りつかれたようにベイクドチーズケーキを焼いていたことがあったが、ある時期を過ぎると、この世の中にベイクドチーズケーキなど存在しないかのように、チーズケーキという名すらも口にしなくなる。 次に私がユダのベイクドチーズケーキを口にしたのは、確か成人した後だったのではないだろうか。 そしてユダは、冷蔵庫に入れなくても良い調味料は永遠に腐らないと思っている節がある。 その最たるは

          塵も積もれば毒となる 第4回 「幼少時の思い出はそのままの姿で」

          塵も積もれば毒となる 第3回 「それは早朝ではなく深夜」

          テルは良く言えば几帳面だが、悪く言えば融通が利かない。 時間に正確なのは良いけれど、「そんなに早く行動したら、却って迷惑にならない?」ということが多々ある。 (餌を前に置かれた犬の方がよっぽど待てるよ)と思うくらい、待つことが出来ない短気なテルが家族に無会って放つ恫喝は、まるで広域指定の人のよう。 ジャイアンが八方美人で外面が良いのは完全にテルのクローン。 爪が甘いのは、ご近所半径500メートルにその怒号が響き渡っているのに、未だに家の外には自分の声は響いていないと思

          塵も積もれば毒となる 第3回 「それは早朝ではなく深夜」

          塵も積もれば毒となる 第2回 「ジャイアニズム」

          姉をジャイアンと呼んでいることを人に話すと「そんなに大柄なお姉さんなの?」、「そんなに歌が下手なの?」と聞かれるが、「いや、どちらも下の中」と答える。 そうか、世間的にジャイアンと言うと、大柄な人か音痴な人だと思われるのかとその時初めて思う程、姉のことをずっとジャイアンと呼んでいる。 少し話が横にそれるが、ドラえもんに出てくるジャイアンは、剛田武という名前がありながら「ジャイアン」というあだ名で呼ばれるのは何故だろう?と子供の頃考えたことがある。 私が立てた予想は2つ。

          塵も積もれば毒となる 第2回 「ジャイアニズム」

          塵も積もれば毒となる 第1回 「挨拶」

          私は世間一般的に言う「(どうでも)いい人」である。 たいして関係が深くない人には「波風を立てない人」、「物腰が柔らかい人」、「優しい人」と言われるが、それは不要な敵を作りたくないから当たりを柔らかくしているだけだ。 本当は好き嫌いがハッキリしている竹を割ったような性格をしているので、仕事じゃなかったら2秒と一緒にいたくない人はいるが、当然そんな感情は表に出さない。 本当に心を許せる人には何処までもオープンに本性を曝け出すが、そんな人はこの世にごく僅かしかいないことを身を

          塵も積もれば毒となる 第1回 「挨拶」