【ネットカフェ・サンサーラ♯0】


ネットカフェの仕事内容は退屈だ。
基本的には受付でボーッとし、客が来たらレジを打ち空いている部屋の鍵を渡して「ごゆっくりどうぞ」
そして客が帰ったら部屋の掃除。
あとは便所掃除を1時間に1回。

しかし、人間模様には退屈しない。
色々な事情がありそうな人、ド直球に言ってしまうとヤバそうな人が日々やって来る。

何ヶ月も滞在している所謂ネットカフェ難民や、ラブホテル代わりとして部屋でいかがわしいことをしている男女。そして意味のわからない迷惑行為を働くクレイジー。毎日毎日ヤバ客を見ない日はない。

私がかつてバイトしていたネットカフェは価格破壊ゴリ押し戦法で営業しており、同エリアの他のネットカフェと比べるとかなり安い。
ちなみに店があるのはラブホテルや夜のお店が立ち並ぶ歓楽街である。
立地と、室料300円〜というバカ安設定の為、客層も悪い。
世の中の良くない部分を掻き集めてギュッと絞って残ったカスみたいな人間が主な客層である。

しかし、私も高校中退・30代フリーター・実家暮らし独身・月収10万円と大概下層部のお先真っ暗人間で、どこに行っても居場所がないような苦しみや社会に置いてけぼりにされる孤独感、貧困、そして全てがどうでもよくなって自暴自棄になってしまうような気持ちは他人事とは思えない。明日は我が身と本気で思う。
きっとネットカフェの客もそれぞれ色々な事情を抱えていて、それでも生きている。
働いていると、脳内で中孝介の「サンサーラ」が流れることがままある。

そんな日々出会うネットカフェ利用客たちの人間模様を、特定防止の為フィクションも交えつつ書き残していこうと思う。

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