政体篇 第三章 昔と今の政治家の違い

貞観二年(西暦627)、太宗は黄門侍郎(門下省副長官)の王珪に質問した。
「近頃、君臣が国を治めるやり方が、多くは往古より劣っているのは、なぜらろうか」
王珪は答えて言った。
「昔の帝王は、政治をするにあたって、いずれも志は静謐を尊び、人民の心を己の心としていました。近頃の帝王は、ただ人民を痛めつけ、自分の欲望を叶えようとするばかりで、その任用する大臣たちも、儒学に通じた者ではありません。漢代の宰相には、一つの経典に精通していない者はいませんでした。朝廷で政治の疑問が起こった場合には、皆、経典の教えを引用して決定しました。そのために、人々は礼教を知り、太平の世が現出されました。ところが、近頃では、武力を重視して儒学を軽視し、ある者は厳しい法律による取り締まりを導入して、儒教の礼教を行われなくなり、純朴な風俗は
すっかり廃れてしまいました」
太宗は、王珪の言葉に深く賛同した。それからというもの、官僚のなかで学業に秀でて、政治の本質を知る者がいれば、多くその官位を進め、盛んに抜擢したのだった。

昨今の政治家や成功者と言っている輩は経済効果だけを論じ、人としての生き方を示しているのだろうか?

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