政体篇 第六章 国の統治と人の病気は同じ

貞観五年(西暦631)、太宗は側近の者たちに次のように言った。
「国を治めるのと病気を治すのとに、違いはない。病人は、治ったと思った時こそ、いよいよ養生しなければならない。もし禁止されていることを破ったならば、必ずや命を落とすであろう。国を治めるのも、また同じである。天下がようやく安泰になった時こそ、最も恐れ慎まなければならない。もし、そこで驕って政務を怠れば、必ず滅亡に至るであろう。今、天下の運命は、私にかかっている。だから、一日一日を慎んで、賛美されても自分で立派だと思わない。しかし、私の目や耳や手足は、汝らに頼っているのであり、その意味で言えば私と汝らは一心同体である。どうか力を合わせ、心を一つにしてほしい。もし、私に良くないことがあったら、隠すことなく言葉を尽くすべきである。君臣が互いに疑って、思うことを十分に打ち明けられないのであれば、それは国にとって誠に大きな害となるのだから」


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