雑誌『HERS』のこと。

自分の推しモノが消えてしまう事がよくある。
好きだったレストラン、よく買っていた油揚げ、気に入っていたリップクリーム、見ていたTV番組、行きつけの自然食の専門店などなど。

最近(といっても去年のことだけど)ショックだったのは光文社の女性誌『HERS』の休刊。今は食をテーマにした不定期刊行になっているそうだが。
ふつう雑誌の表紙って文字のスタイルや色、写真の配置もこの雑誌はこう、ていう定型があるものだけど、『HERS』は毎月ガラッと変えてきていた。
スッキリして他の雑誌よりおしゃれであること、だけをルールにしていたかのようだった。
内容も同世代向けの他女性誌に比べて少し厚めの紙のページに記事もゆったりスッキリ配置されていた。
要するに情報量は少なくなっているはずだから厳選されていたはず。だからこそ毎回満足感高かった。私は雑誌を読むとき気になるページには付箋をつけていたのだが、『HERS』にはいつもペタペタ貼りまくっていた。
その『HARS』がなくなるなんて・・これもコロナの影響なんだろうな。

昔から雑誌が好きで、それもこれ、と決めたら続けて買う偏愛タイプ。そんな私でもこのコロナ禍、気持ちが変わってしまった。おしゃれで綺麗なものが、急激に無意味になったのだ。
去年の緊急事態解除後、久しぶりに本屋に行って置かれた雑誌を手に取ってペラペラめくり、そっと戻す。それだけだった・・
「女性誌なんて結局お金出して広告読んでいるようなものだよ」という人もいるが、違う。
例えばエクササイズの記事(好き)。最近はやっているものが一部紹介されているのだが、一部、というところが大事なんで、一冊分はやらないのがわかっているから、雑誌の数ページを切り取ってそこだけ実践してみるのだ。
旅行の記事も、専門の本を読んでもどこに行こうか迷うだけ。その雑誌で紹介されていた場所、たいていものすごく素敵な文章で紹介されているそのスポットこそいくべき場所!に思えてくるのだ。

雑誌って、今この時代をトリミングしているようなものだ。それはエッセンスであり方向性であるはず。
最近はコロナ以前の気分も少し戻ってきた。そこに『HERS』がないのが本当に残念に思う。
これからもこの時代の女性誌が出てきて欲しい。私にとっては飲むサプリメントより元気のもとになるのだから。

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