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回覧板の話 

私が、ネットの世界に足を踏み入れるのは、実に15年ぶりになるのではないだろうか。
今の若い子に、「魔法のiらんど」といっても伝わるだろうか?ケータイ小説という、恋愛、薬物、学校、などがひとつになった物語を軸とするシリーズが一世を風靡した。
その代表が、恋空や赤い糸 である。

そして、私も創作活動に勤しみ、たくさんのいま思えば イタイ小説を投稿しまくっていた、ひとりなのである。

が、私に創作の才能はなかった。
皆無である。それは日本がサッカーでブラジルに勝つ確率並みに皆無である。

私の平々凡々な、日産アベレージ、ビヨンド ザ
阿部礼司並に、平均的な人間に、映画化決定されるような物語の創作などはどうしても得られない、才能なのだ。

そんな私の人生を振り返ると、私は周りの人間が、異種、亜種、雑種、だったことに気づき
人物像を描くことに思い立った。

どうか当の本人がパンドラの箱を開けない事を切にここに願い、記憶と共に振り返りたい。

これはある日の話だ




チバリヨ。
沖縄などの島国で使わせている列記とした方言で、ガンバレの意味を表す言葉である。

日常会話で、使うことは日本人の9割はないかもしれないが、私はこの言葉と意味を偶然知っていた。
地方の小中高ではよくある話かもしれないが、
歌手を目指し、メジャーを目指す地方歌手が学校にライブにくるイベントがみなさんにもあったかと思う。
私の学校にもその類の歌手イベントがあり、
売れない歌手は皮肉にも チバリヨという歌詞が何度も入った歌を私たちに熱唱したのだ。

今思い返すと、その歌手にそっとブーメランを渡してあげたかった。
そんな学生時代から時はたち、
20代になったころ、私は隣の家に回覧板を持って行くことになる。
夏の時期でいつもなら、隣のおばちゃんが畑で、野菜の家庭菜園に勤しむ時間帯であった。

その日は、おばちゃんの姿はなく、
珍しく物静かな佇まいであったと今思う。

チャイムを鳴らすが返事がない。
しかばねのようだ。
私はもう一度だけチャイムをならした。
こんちはー。声をだしてみた。

すると、この何年も通ったおばちゃんの家に実は
陽の光を浴びずに、まるで、違法栽培された大麻のように押入れにいたのか!と言わんばかりの40代の髭面の明らかにニートの男が、現れた!

知らないぞ、私はこの男を。
誰だ、この男は…

そのまま言えたらいいが、そういうわけにいかない。

あのー回覧板を…
 勇気を出して言ってみる
すると男は答えた、  ああ、どうも。
もう一度勇気だして聞いてみた。
あの、おばさんは?
以外にもスラスラと男はしゃべった。
どうやら息子らしく、
あの野菜をいつも大事に育てていたおばちゃんは
階段でこけてしまい、入院したんだと話をした。

しかし、実はその話を聞き終える前に私は眉間に皺を寄せながら、千原ジュニアの形相で
「お前だよ!」とツッコミを入れるタイミングを今か、今かと悩んでいた。

その息子の着ていたtシャツには
皮肉にも書かれていたのである。
チバリヨの文字が。

なぜ、お前がそのシャツを着ている!

おいニートよ、
階段でころんだばぁさんのことが
少しでも好きなら
お前が頑張れ!

お前がチバリヨ!

















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